every word is just a cliche

聴いた音とか観た映画についての雑文です。
全部決まりきった常套句。

2012 BEST ALBUMS

2013-01-01 | 雑記
「年間ベストって1.選者の趣味=「自分はこういう人間ですよ」というのと2.歴史観=「自分はこういう風にシーンを見てますよ」っていう二つの軸があると思うんだけど、面白い人はそのバランスが取れているなぁと思う。

1.だけで書かれた文章は「ああ、そんなんだ。この人は趣味合うなぁ」って思ったり思わなかったりするだけなんだけれど、2.の軸がある人の文章は羅列されている作品を全く知らなくても楽しめる。

という観点から2012年のBESTを。

「My Best Albums 2012」


1.Traxman『Da Mind Of Traxman』(planet-mu)
・・・ ・・・圧倒的に1位。来日公演も◎。付随して盛り上がった日本のFootwork /Jukeシーンも面白かった。初めて聴いたとき「すげえフレッシュだなぁ」と思った。そして、この年でそういう感情を抱けたことを嬉しく思った。 http://ow.ly/gqPC




2.山下達郎『The Opus』(Wea)...まさか毎週『サンソン』聴くようになるとは1年間には想像すらしなかった、です。




3.小沢健二『我ら、時』(パルコ出版)http://hihumiyo.net/
「ようやく90年代を相対的にみられるようになったなぁ」とか思いました。
”小沢健二と90年代"論について、ず~っと考えてました。



4.Shackleton『Music For The Quiet Hour / The Drawbar Organ EPs』(WOE TO THE SEPTIC HEART) http://ow.ly/gqKDs




5.Mala『Mala In Cuba』( Brownswood )http://ow.ly/gqKDs

テクノ・ハウスという狭い範囲の世界の話ですが、2012年を振り返った時にTRAXMAN『Da Mind Of Traxman』に触れてないのは手落ちだなと思っちゃいます。

なんでかっていうと...、Juke/Footworkの最先端アルバムがパッケージ製品としてちゃんとリリースされたことは大きな意味を持つと考えているからです。そしてそれは2012年にならではの出来事だったでしょう。趣味は別として、歴史として、総覧的に見た場合、このトピックは外せない。それとそれに反応した日本のシーンの動きに対しても。

JUKE布教活動に邁進しているD.J. AprilさんによるとJuke/Footworkシーンはダンサーが中心の文化で、DJもダンサーチームのために曲を作るという。普通のお客さんは壁の花になってFootworkerの足裁きを固唾を飲んで見つめているそうだ。

ポップスというのは不特定多数(の若者)に聴かれる事を命題として作られてきた。
だから、ミリオンヒットを生み出し、ポップスターという存在を生み出してきた。
対してJuke/FootworkはDJが所属するダンス・チームのために作られ、サウンドクラウドにUpさればいい方で、多くの曲はチームの"武器”として使われる。拍を無視したような変拍子な曲、フリーキーなスネアもそういうったダンサーからの要請で生まれたものらしい(といってもDJがダンサーでもあるので、はっきりとは分けられないけれど)。

8歳からDJをしてきた40過ぎのベテラン=TRAXMANがこのタイミングでまとまった作品をリリースした経緯(心持など)は気になるが、曲をプロデュースすることとビジネスの距離が取れた方ではないかな・・・と個人的には推測している。

前述したように多くのお客さんはダンサーを目当てに入場料を払ってクラブへくる。それは所謂クラブ・パーティとは一寸、趣の違うモノだろう。

そして、それは多くの人といっしょに音楽を楽しもうというポップスの基本からも大きく逸脱していると思うのです。


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