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フィリピン地滑り:災害から1カ月 募る喪失感と不安

2006年03月18日 | フィリピンニュース
【ギンサウゴン村(フィリピン・レイテ島南部)大澤文護】フィリピン・レイテ島のギンサウゴン村で発生した大規模な地滑り災害から17日で1カ月を迎えた。茶褐色の土砂に埋め尽くされた村では152人の遺体が確認されたが、捜索は約1000人が行方不明のまま打ち切られた。生き残った村人たちは毎日のように現場を訪れている。

 ◇喪失感◇

 「ここだけが心の落ち着く場所なんだ」。地滑りで妻子6人すべてを失ったアルフレッド・グアブさん(33)は、かつて村の中心部だった場所に出来た丘の上でそう語る。「奇跡を信じたい。でも、この光景を見たら、家族は帰ってこないと思うしかない」

 今は、心の中で妻と5人の子供たちに呼びかけ、現実を受け入れる努力を続けている。

 被災現場から車で約30分のセントバーナード町中心部の高校内に設けられた避難所では、今も約500人のギンサウゴン村の人々が心に大きな傷を負ったまま、避難生活を送っている。

 ◇将来の不安◇

 避難所を管理するキリスト教団体の責任者、ロサリオ・アヤアイさんは被災者用の住宅建設の遅れを気にする。

 今は学校の教室を避難者の宿舎にあて、生徒の授業用には敷地内に並ぶテントを充てている。新学年は6月。学校側は新学期には教室の明け渡しを希望する。だが政府や自治体の住宅建設計画は遅々として進まない。

 家族を失った子供たちは放課後、心理カウンセラーのいる避難所にやってくる。父母と5人の兄弟姉妹を失ったクリシー・ナボスさん(14)と、父母と3人の兄姉が行方不明のジェイアン・アルビオルさん(15)の2人の女子生徒に出会った。「最初はずっと泣いていた。今は友達と一緒にいれば落ち着くの」

 しかし、2人の語り合いの場である避難所はなくなる可能性がある。いつまで一緒の時を過ごせるか分からない。カウンセラーは「やっと落ち着き始めたばかりなのに」と心配そうに語った。

 ◇再発の恐怖◇

 政府や地元専門家は地滑りの原因を豪雨と、レイテ島を南北に貫く巨大な断層の活動が重なった「不幸な天災」と断定した。しかし、地元住民の疑問と不安は消えない。

 隣村のダルグドゥガン村長によると、地滑り再発を恐れた近隣村長がそろって、避難対策の確立や援助を州や町に求めた。しかし、明確な返事は聞こえてこないという。

 「本当は逃げ出したい。でも他の場所では、生きるすべがない」。村長は不安そうに家族と顔を見合わせた。

 ▽ギンサウゴン村のある南レイテ州セントバーナード町のマリア・リム町長の話

 埋まった小学校の屋根が見つかり生存者救助や遺体発見の期待を持ったが、建物本体とは別の場所に流されていた。現在は生存者の移転先確保に焦点を切り替えている。

 村全体を聖域として保存しようという声があるが、どうするかは生存者の意思を尊重したい。しかし、現場ではいまだに小さな地滑りが続いている。日本を含む国際社会から多くの支援を受け感謝している。さらなる支援をお願いしたい。

毎日新聞 2006年3月16日 

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