9.
彼はあまりに早く<生>の杯を飲み干してしまった。
そして残滓が苦艾だとわかったのだ。
しかし聖なる地の澄んだ泉から湧き出る水で、彼は再び杯を満たした、
そしてその泉は永遠なるものだと思ったのだ。しかし無益だった!
なおも彼の身には眼に見えぬ鎖が巻きつき、
絶えず苛み、見えぬが縛りつけ、
音もたてずに重くのしかかる。
言葉もなく責めたて、多くの土地を通り抜けるその一歩ごとに
身に喰いこみ、鋭さを増してゆく痛みで、その身を磨り減らしてしまう。
IX.
His had been quaffed too quickly, and he found
The dregs were wormwood; but he filled again,
And from a purer fount, on holier ground,
And deemed its spring perpetual― but in vain!
Still round him clung invisibly a chain
Which galled for ever, fettering though unseen,
And heavy though it clanked not; worn with pain,
Which pined although it spoke not, and grew keen,
Entering with every step he took through many a scene.
quaff:((文))[動](自)(他)(酒などを)がぶがぶ飲む, 一息に飲み干す((off))
dreg:(飲み物の)かす, おり
wormwood:《植》ヨモギ;ニガヨモギ、((文))苦い[不愉快な]経験;苦悩
gall:〈人を〉いらだたせる, とても怒らせる
fetter:((文))…に足かせをはめる;…を束縛[拘束]する
pine:責め苛む
enter:〈くさび・探り針などを〉(…に)入れる, 差し込む((into ...))