Woody Bar チュー太郎

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オールド・パル

2010-01-24 10:23:48 | カクテル

別のブログ記事を書いていて、このカクテルのことを思い出しました。
どうせ書くならこちらだろうと、こうしています

「古くからの仲間」を意味するこのカクテルは、きれいに透き通った赤が印象的な、古くから伝わる“男性的な”カクテルです。

世界的には有名なスタンダードカクテルですが、我が国ではあまり認知されてないようです。


このカクテルとの出逢いは、20年余り前に遡ります。
当時、ほとんど毎晩のように通ってくれてたT橋くんがカクテルブックを見ていて、
「チューさん、これ飲んでみたい」と曰うので、恥ずかながらそのレシピを見ながら初めて作ってみたのでした。


スッキリとした飲み口ながら、結構なキック力があり、ほんのりと苦甘いそれは、確かに大人のカクテルであり、ネーミングもぴったりだと思います。




この画像は借り物です。
(いずれ僕が作ったものをアップしたいと思いますが・・・)


レシピは、

ライ・ウイスキー --- 1/3
ドライ・ベルモット --- 1/3
カンパリ --- 1/3
以上の材料をミキシング・グラスに入れ、ステアする。カクテル・グラスに注ぐ。


ここで登場するライ・ウイスキーとは(以下ウィキペディアからコピペ)、

ライ・ウイスキー (Rye whiskey)は、ライ麦を主原料とするウイスキー。
原料については2種類あるが、基本的にライ麦から作られている。
アメリカでは、ライ・ウイスキーは法律でマッシュ(原料となる麦芽液)の51パーセント以上がライ麦で作られているものと決まっている。
マッシュの残りは、主にトウモロコシと麦芽である。
ライ・ウイスキーはアメリカ北東部、特にペンシルベニア州とメリーランド州での生産が一般的であったが、禁酒法のあと、わずかな生産業者が残った。


ということで、カナディアンウイウキーでも代用可と言われています。
カナディアンクラブという銘柄が有名ですね。

但し厳密には、現在のそれには言い訳程度しかライ麦原料の原酒がブレンドされてないようです。

うちにはジムビームのライがあります。

ジムビームはバーボンウイスキーの銘柄ですが、そも、このバーボンとライの線引きが面白いのです。

すなわち、一般的なバーボンウイスキーは、『トウモロコシ』と『ライ麦』から造られており、その原材料の配分によって、『バーボンウイスキー』と『ライウイスキー』とに分類されます。

『ライウイスキー』の製造方法は、『バーボンウイスキー』と全く同じ(バーボンの製造工程参照)。

違うところは原材料の配分で、51%以上『トウモロコシ』を主原料とする『バーボンウイスキー』に対して、『ライウイスキー』の主原料は、51%以上『ライ麦』を使用するという点です。

ですので、おおざっぱに言うと『ライウイスキー』とは『バーボンウイスキーと同じ製造方法・熟成方法で造られ、ライ麦を51%以上使って造られた蒸留酒』と言う事なのです。


有り体に言えば、清涼感の強い味わいがウリのウイスキーということでしょうか。

そして、このカクテルのバランスには、この『ライウイスキー』がうってつけだということです。


このカクテルのポイントはもう一つ、【ステア】です。
シェークと違って、その仕上がりは透明感が出ます。

がしかし、その反作用的にベッタリとした味わいにもなりがちなのです。
ですから、バランスの悪いカクテルではそれに耐えません。

勿論、そこにはバーテンダーの腕も大きく関係してきますが。


最後に、プロの文筆家が書いた「オールドパル」にまつわるエッセーを貼り付けます。
やはり本職には、その引き出しの多さに圧倒されますね・・・




オールド・パル、昔の仲間という名前のカクテルがある。ルビーのように透き通った、きれいな赤い色の酒である。
 ウイスキーとドライ・ベルモット、カンパリをほぼ同量ずつステアし、ぎりぎりに冷やしてカクテル・グラスで飲む。ほろ苦く、そしてほんのりと甘い、どこか都会の哀愁を感じさせるカクテルである。
 20世紀の初頭あたりに、どうもニューヨークで生まれたらしい。ニューヨークといえば、有名なカクテルにあのマンハッタンがある。そのマンハッタンをドライにし、カンパリを加え、チェリーを抜けば、このオールド・パル。いうならば、あのマンハッタンの男性版のような風味の酒である。
 当時のニューヨークは、血の結束を誇るイタリー系マフィアがのしてきた頃。イタリー産の赤いカンパリが使われたあたりに、オールド・パルの時代背景がうかがえるようで、ちょっと興味深い。
「ニューヨーカー」派の作家ジョン・オハラの小説に、タイトルに同じパルという言葉を使った『パル・ジョーイ』という作品がある。しがない歌手ジョーイが、ステージ用のタキシードと靴だけを手にニューヨークを落ちて、あちらこちらの田舎町を流れていく。その各地方からニューヨークの友人へ、女がらみ、事件がらみの近況報告の手紙を出すという書簡体の連作小説だった。
 ある夜、都心のバーのカウンターで、友人とその『パル・ジョーイ』の話で盛り上がっていた。それを耳にしていたアメリカ帰りのバーテンダーが、ちょうどいいカクテルがあると、このオールド・パルをつくってくれたのだ。もう30年も昔の話である。
 その時、一緒に飲んだ友人、それこそオールド・パルも今は音信不通。一体どこでどうしてることやら……。そんな昔の仲間が気になる夜、バーの片隅でしみじみ飲むにはもってこいのオールド・パルである。


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