子供の頃、北海道の中では雪が少ない函館に住んでいたのだが、1960年代末の冬場にはよく木製のソリで遊んでいた。背もたれがあり座面の長い椅子のような形のソリである。このソリでは斜面を滑って遊んだだけでなく、買い物に行く母親にソリを押してついていき、荷物を積んで帰って来るなんて事もよくあった。
この木製のソリが壊れた後は鉄パイプでできた同様の形状のソリに代わり、さらに70年代にはこれらにとってかわって
プラスチック製のスノーボートが登場した。何故か当時スノーボートは"ボブスレー"と呼ばれていた。
椅子型のソリは丁度買い物カートのような感じで荷物を運ぶのには便利だったのだが、スノーボートに荷物を積んで紐を引くと意外に不安定だし、よりかかって体を支える事もできずイマイチだった。しかし、スノーボートは除雪した雪を運んで捨てるのには重宝だった。
北海道の士別には
木製のソリを作っていた工場があるのだが、数年前に製造をやめてしまったようで残念である。
ところで椅子型のソリにしてもスノーボートにしても、斜面を滑走する時には制動も方向制御もあまり思いのままにはならないので、ある意味では
ミニスキーなどよりもスリリングで面白かった。ミニスキーはミニスキーで急斜面を転ばないように滑るのは大変だし、あまり無茶をすると滑走中に折れてしまったりするので、これはこれでスリリングで楽しかったのだが。
プラスチック製のミニスキーが流行る前には、
先端を曲げた竹の板に乗って滑る竹スキーや、靴の底にブレードを固定して圧雪状態の雪の上を滑る雪スケートなどもあった。
今にして思えば、冬場には市内でも路上でソリを押したり雪スキーで滑れるほどの雪がいつも積もっていたというのは驚きである。大通りの車道だけは除雪されていたけれど。
街中では70年代後半くらいから、郊外の住宅地でも80年代後半くらいからは根雪になるほど雪が積もる事はなくなってきたように思う。