かっこいい和楽器の世界へようこそ!

和楽器・現代邦楽の音源について紹介します。

吉松隆「双魚譜」の音源CD

2012-06-01 21:30:02 | CD等音源紹介

どうも。
5月は、家に帰り着くのが精一杯の毎日をすごしておりました~

さて、あきらんさんから下のようなコメントをいただきました。

>「吉松隆作曲「双魚譜」」が大変気に入ったのですが、これのCD音源ってあるのでしょうか……?

ええ、ありますよ!^^

吉松隆さんは、今やNHK大河「平清盛」のテーマ曲で有名な作曲家になりました。現代音楽を「非音楽的」として反発しているそうで、メロディアスな曲風を好んでいるようです。
吉松さんは、実は和楽器の曲もたくさん作っています。とくに二十絃箏奏者の吉村七重さんとのタッグは、かなり年期が入っています。今も、しばしば和楽器の新曲を発表されています。

「双魚譜―尺八と二十絃のための四つの古典的寓話抄」は、1986年の作品です。
吉松さんは星をモチーフにした作品の多い人ですが、「双魚譜」も魚座(双魚宮)からつけられたものです。4曲構成で、それぞれ「序の魚」「破の魚」「緩の魚」「急の魚」と名付けられています。

私が知っている限りでは、「双魚譜」が収録された音源は2つ。

1つは、カメラータ・トウキョウ発売元の吉村七重『TAQSIM(タクシーム)』(1999年、¥2,625)。
西村朗、三木稔、助川敏弥の4人の作曲家の曲とともに、吉松隆「双魚譜」を収録したCDです。「タクシーム」は西村朗さんの曲名です。

もう1つは、日本伝統文化振興財団発売元の『新編 現代の箏曲ベスト30』(CD5枚組、ビクターエンターテインメント、2006年、¥10,500)。
ディスク4に伊福部昭、宮田耕八朗、三木稔、沢井忠夫、吉崎克彦の曲とともに収録されています。

『新編現代の箏曲』に収録された音源は、上のカメラータ・トウキョウのものと同じ音源です。
どちらも吉村七重・三橋貴風の演奏ですので安心。
吉村七重さんの安定して繊細な二十絃箏の音と、
三橋貴風さんの真面目一徹でロマンティックな尺八の音。いいですよ!

『タクシーム』は、洋楽系作曲家の和楽器曲が嫌いでなければ、お買い得。他の曲も悪くないと思います。ちなみに同時収録の三木稔作曲「結Ⅱ」は箏とチェロの曲です。
『新編現代の箏曲』は、無印の『現代の箏曲』の出来と比べてはいけませんが、まあ悪くはないと思います。ちょっと高いですが、人気の作曲家の和楽器曲をたっぷり聴けますので、どっちかっていうとこちらの方がwasabi的にはおすすめです。

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日本音楽集団『ディヴェルティメント』

2012-04-08 10:12:30 | CD等音源紹介

たまに和楽器のおすすめ音源(今でも手に入りそうなものに限って)を紹介します。

第1回目は、これ↓
日本音楽集団35周年記念CD第2集 『ディヴェルティメントDIVERTIMENTO』
制作:ライヴノーツ 発売:ナミ・レコード 2000年 税込み¥2,835

2000年1月の演奏を収録。日本音楽集団の代表曲である「ディヴェルティメント」と「ダンス・コンセルタントⅠ」を収録しており、かつ演奏も気合いの入ったすばらしい演奏! これは買って損なし、文句なしにおすすめ!
☆洋楽器のオーケストラが好きで、和楽器にも興味のある人には、最適の名盤CD。

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<全曲目>
 佐藤敏直作曲「ディヴェルティメント」(1974年)
1) 第一章
2) 第二章
3) 第三章
4) 三木稔作曲「三本の尺八のためのソネットⅠ」(1973年)
 長沢勝俊作曲「秋の一日」(1985年)
5) 1.序曲
6) 2.どんぐりごままわそう
7) 3.いわし雲みつけた
8) 4.祭囃子がよんでいる
9) 5.終曲
 三木稔作曲「“四季”ダンス・コンセルタントⅠ」(1973年)
10) 1.踊る春
11) 2.水巡る
12) 3.秋、そして
13) 4.風の花
14) 5.エピローグ

佐藤敏直作曲「ディヴェルティメント」と三木稔作曲「ダンス・コンセルタントⅠ」は、日本音楽集団の代表曲。作曲から40年以上も経っていますが、今でもコンサートではよく演奏されています。

佐藤敏直作曲「ディヴェルティメント」は、笛・尺八2・三味線2・箏2・十七絃・打楽器による大編成曲。「ディヴェルティメント」とは、「嬉遊曲」または「気晴らし」という意味です。この曲は、まさに聴く側を「嬉しくさせ」、「気晴らし」をさせてくれます。それでいて、しっかり作り込まれており、演奏する側にはかなりの演奏の力量を要求する曲でもあります。そんな曲ですので、日本音楽集団以外でも、力量の高い邦楽サークルが「いっちょ挑戦してみようか!」という気分で取り組むことが多いようです。

三木稔作曲「ソネットⅠ」は、尺八3本のかけあいが面白い曲です。「かっこいい和楽器の名曲」にはまだ使ってませんが、いずれは紹介したいと思っていました。三木さんの曲らしい、ただキレイなだけでない、高度な美しさを感じさせてくれます。ちなみに1962年に作曲された「ソネットⅠ」の原曲は、三木さんが和楽器のために作った最初の曲だそうです。三木稔マニア?には重要な曲ですね。ちなみに、「ソネット」はⅠ~Ⅴまでありますが、残念ながら私はⅠとⅢしか聴いたことがありません。

長沢勝俊作曲「秋の一日」は、笛・尺八・三味線・琵琶・二十絃箏・十七絃・打楽器による大編成曲。あまり激しすぎず、親しみやすいメロディを重ねた、とても聴きやすい曲です。作曲年は、春夏秋冬シリーズ(?)の2番目に古いもの(「冬の一日パート2」(1980年)→「秋の一日」(1985年)→「夏の一日」(1994年)→「春の一日」(1997年))。和楽器の可能性を引き出すために邦楽オケの編成の肥大化を問題視し、エッセンシャルな編成を目指して作曲されたそうです。そう言われれば、たしかにムダのない編成と曲調です。「冬の一日パート2」の次に人気のある曲、だと個人的には思っていますが…どうでしょうか。

三木稔作曲「“四季”ダンス・コンセルタントⅠ」は、笛・尺八2・三味線・琵琶・箏2・十七絃・打楽器による大編成曲。三木さんの代表作であり、「ディベルティメント」と並ぶ日本音楽集団の代表曲です。人々を惹きつけるメロディと、洗練された曲の構成。ちなみに、学生邦楽の世界では、「ダンコン」と略されている様子w それほど人気な曲だということです。「ダンス・コンセルタント」は、Ⅰ~Ⅳまでありますが、私はⅠとⅡしか聴いたことがありません。しかもⅡは一度聴いてそれっきり機会に恵まれず。日本音楽集団さん、Ⅳまでまとめて音源化してくれないかなぁ… 

本CDに対するwasabi的不満は、やたら音量が小さいことだけ。まあ聴く際にボリュームを上げれば問題なし。というより不満はそれだけ。70年代の日本音楽集団全盛期の演奏とは比べてはいけませんが、本当に名盤。

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