WADA WADA

和田教授のWEB講義
http://blog.goo.ne.jp/wadawada4274/

電話代と乗物料金(運賃)

2006-10-25 11:22:17 | 国際ビジネス論
前回の授業で交通機関の利便性は3つあると言いました。それは運賃、所要時間、便数(サービス)でした。北海道新幹線の議論は、主に所要時間だけが重視され、運賃の安さや便数の多さも大きな利便性にもかかわらず、ほとんどありませんでした。今日の授業は、乗客にとっておそらく最も重要な交通機関の選択要素である、運賃についての従来の議論とは別の視点から論じることにします。
たとえば電話を例にとりたいと思います。私はYahooの電話を利用しています。国内どこでも3分7円ですが、この3分7円はアメリカに国際電話をかけても同じ電話代です。私が子供だったころ、黒の固定電話の時代ですが、市内、市外そして国際電話と分かれており、市内は3分10円でした。市外になると長距離電話といい、距離に比例して電話代が設定されておりました。国際電話もまったく同じで国内電話の数倍の電話代だったように記憶しています。電話代が距離と無関係になった、これは規制緩和の結果です。私が子供の頃は電話会社はたった一社、電電公社という国営会社だけでした。これは民営化され現在のNTTとなっています。その会社の一存で価格が決まっていました。今は違います。
NTT、KDDI、SoftBankの3社が会社ごとの判断で電話代を決めています。そうして
その運賃は距離と無関係です。最近になってようやく、交通機関の分野でも規制緩和が行われ、距離と無関係に、運賃の設定が行われるようになりました。
今日の授業は交通運賃の特性と距離に比例しなくなった運賃設定について論じます。この場合、国際ビジネスの視点から、特に距離を超えた運賃設定の可能性が北海道新幹線の議論にどのような影響を与えるかを論じます。


イベントって、遊びでしょ!

2006-10-23 09:12:34 | テーマイベント論
イベントって、遊びでしょ!(4回:10月18日)

朝起きると、山はごま塩頭のようになっていました。初冠雪です。今日は急に寒くなりました。学生諸君は風邪など引かないように。
本来ならば、今日の授業から、テーマイベント論から見た、北海道の懸案、北海道新幹線問題をテーマイベント論に沿って展開するつもりでした。
しかし東京のIT企業の社長が私を訪ねてくる、理由は学生求人のためということなので、授業は早く終わらないとなりません。実際採用されるかどうか分かりませんが、2名の面接が確定しています。
従って今日の授業のテーマを代えて、「イベントって、遊びでしょ」にしました。その遊びの分類です。フランスの社会学者・ロジェ・カイヨワの「遊びと人間」(講談社学術文庫)からイベントの基礎になる遊びと4つに分類します。この4つの分類は、イベントを分析する上で有力な道具になるので、必ず理解してください。その4つとは次の通りです。
アゴン - 競争
アレア - 運
ミミクリ- マネ
イリンクス-めまい
来週以降の予定としては、「北海道新幹線をテーマイベント論の視点から論じる」、その次は「狸小路商店街のテーマの創造とイベントを行う」、これが今年後中の実際です。できれば来年がこの「イベントを行う」という実際のフィールドワークを来年1月の授業中に行いたいと思います。



道新幹線は国際ビジネスとどう結びつけるか?

2006-10-18 09:58:11 | 国際ビジネス論
国際ビジネス論/経済論(10月18日:5回目)
過去2回にわたって発展途上国のビジネスモデル、それも1日2ドル(2百円)で生活をしている市場に向けたビジネス創造論を展開して来ました。本来の国際ビジネス論/経済論は、主に欧米諸国、先進国のビジネスや経済を扱うのが中心でしたが、この授業では先進諸国のビジネスモデルはあとで論じることにしました。
できるだけ学生の皆さんが授業に関心を持ってもらえるように工夫したつもりです。同じような考え方で、本日を含め向こう3回の授業は、皆さんが住んでいる北海道と国際ビジネスのかかわりを論じます。より具体的な事例として道新幹線を取り上げます。この道内を走る予定の新幹線が、道内や国内市場を超えて、国際ビジネスと出会う仕組みはどんなことが考えられかが主なテーマです。1回目(本日)は交通の基礎理論を勉強します、2回目(10月25日)は道新幹線の計画概要と課題を明らかにします。3回目(11月1日)は国際ビジネスの視点から国際ビジネス市場を創造する、具体的な地域政策を提唱します。
しかもこれは単に授業で言いっぱなしではなく、実現可能な政策として社会に影響を与えたいという思いもあります。できればこの授業での提案が、来年4月に予定されている統一地方選挙、とりわけ道知事選の争点として浮かびあがれば、学生の皆さんは「あのときの授業で話していたことが問題になっているんだ」というときがくれば、すごく嬉しい。今日の授業は次の3点の理解をすることです
1.観光客とビジネス客
2.地域経済効果とは何か?
3.タクシーとパス



知事選というイベント

2006-10-16 09:48:21 | テーマイベント論
テーマイベント論(第3回)道知事選というイベント

今日のテーマはこの授業の冒頭で、政治の「政」はまつりごとと読むといいました。つまり政治とは「まつり」、イベントなのです。芸能人やスポーツ選手が政治家になることは、このイベントとしての性格が強くにじみでています。イタリアではAV女優が政治家になったという例があるくらいです。
そこで来年4月に統一地方選挙が行われます。北海道におけるその最大イベントは道知事選でしょう。この知事選を巡って、自民党が押す現職の高橋はるみ知事と民主党の押す候補の恐らく一騎打ちになると思います。民主党の候補者はまだ未定ですが、この北海道における地方選のハイライトである道知事選をおもしろいイベントにするにはどうしたら良いのでしょうか? 表現を変えると、おもしろいイベントの仕掛けに成功した方が勝つということです。
こうした場合、ベテランの政治家は政策の中身が重要といいますが、この授業では
政策の中身と同じく、政策を選挙民にどう表現するかも重要という視点から問題提起するつもりです。ベテランの政治家はこの点を見逃していることが多いように思います。私の取り上げたい知事選に向けたテーマは「北海道新幹線」です。
このテーマにイベントの性格を持たせるために、大胆に表現方法を変えてみました。これを皆さんに今日説明したいと思います。たぶん楽しい授業になる、つまりイベント的な授業を期待してください。

国際ビジネス論/経済論

2006-10-11 09:39:46 | 国際ビジネス論
国際ビジネス論/経済論(10月11日:4回目)

1日2ドル(2百円)未満で生活する経済ピラミッドの底辺に位置する人々が約40億人、世界の人口の80%近くいるという話をしました。この市場は、民間企業が参入することができないという固定観念が長く世界を支配してきました。しかし近年になって、このマーケットに参入する企業が登場しはじめています。このビジネスモデルは、先進国のそれと際立って違います。
ケーススタディとして
1ブラジルのカサス・バイヤ、
2メキシコのセメックス、
3インドの①ヒンヅウスタン・リーバ・リミテッド、②アラビンド・アイ・ホスピタル、③ICIC銀行を紹介します。

カサス・バイヤは「信用販売」、セメックスは「金融機能付き住宅」、ヒンジスタン・リーバ・リミテッドは「手洗い習慣の促進」、アラビンド・アイ・ホスピタルは「失明の根絶」、ICIC銀行は「女性自助グループへの融資」でビジネスとして成功をおさめています。単なる経済援助や寄付ではなく、あくまでビジネスとして成功している点が重要ですが、欧米などの先進諸国のビジネスモデルを真似をしても成功はなかったと思います。この発展途上国のイノベーションは、先進国に逆輸入することによって大きな成功をおさめる可能性もあると思います。なぜこれらの企業が成功したのか、皆さんと大いに議論し、何が参考にできるかを考えたいと思います。


あなたは1日2ドル(2百円)で生活できますか?

2006-10-04 10:40:16 | 国際ビジネス論
国際ビジネス/経済論(10月4日:第3回)

世界で最も急速に成長する、魅力的な市場があります。それは「BOP」-Bottom ofPyramid(ピラミッドの底)-といわれる市場です。世界には1日2ドル、日本円に換算すると2百円未満で生活する人々が約50億人いるといわれています。日本の人口は1億2千万人ですが、日本にはこの市場に属する人は一人もいません。
この1日2百円の収入しかない人々は、ビジネスの相手として、無視される存在ですが、彼らも「消費者」です。

今日の授業は、こういう人たちがいるということを知ること、この人たちを「顧客」に変えるには、何が必要かを学びます。「欧米や日本のような先進国の商品を少し代えて対応する」といった従来の手法では、彼らを満足させることができません。

インドとブラジルの事例を紹介を通じて、いかに「BOP」を「顧客」に変えたかを学びます。この貧しい、しか巨大な市場を、いわば隠れたビジネスチャンスとして把握し、その市場にふさわしいイノベーションを実現させることです。従来の発想や視点を離れて、新たな市場を創造する、大変楽しい作業です。

私は札幌のJICAが約10年くらい前に出来て以来、主に30代の発展途上国の若手官僚を対象に、日本経済の授業を担当しています。JICAは国際協力事業団といい、皆さんとの関係でいうと、海外青年協力隊の窓口をしています。
授業は英語ですが、するどい指摘や質問もあり、大変楽しいのですが、少し疑問に思っていることがあります。それは途上国では確かに役人の人材育成も重要ですが、民間部門の育成について、つまり市場があまりにも貧しいために成立しないという強い思い込みがあるような気がしています。この点で私は大学が果たす役割があると思い、心密かにある構想を暖めています。これを皆さんにお話したいと思います。



テーマイベント論2回目

2006-10-02 09:43:06 | テーマイベント論
イベントの本質
古くはラジオ、そしてテレビ、現代ではインターネットや衛星放送や携帯電話など通信技術の発達やめざましい交通手段の発達が、人と人が会う機会を減じると考えられた時代がありました。しかし実際は、通信技術や交通手段の発達は人と人とが会う機会を大幅に増大させてきたと思います。それはCD発売とライブの関係に似ています。CDがヒットすれば、ライブが多く開催されます。さまざまな技術の発達が人と人との接触を拡大せずにはおかない、それが現代社会であり、未来社会です。
人と人との接触を人工的に作り出す仕組みが、イベントです。本来の意味でのイベンの本質は3つあります。
一つは期限付き、期間が限定されているということです。
イベントは非日常化しなければならず、期限付きを条件とします。
二つは善悪、正不正を超えた人間の本能にうったえるものということです。
これには一方で巨大な大衆審査の場であること、他方では自由な発想を促す「無礼講」を意味します。
三つは通常の経済性を超えという点です。
通常の採算性とはコスト+利益=価格ですが、価格は市場によって与えられたものとして利益=価格-コストを意味します。
以上の3つは必ずイベントの本質として理解してください。

今回の授業においてはこの3つ事例を具体的にあげながら説明していきます。