WADA WADA

和田教授のWEB講義
http://blog.goo.ne.jp/wadawada4274/

訂正

2007-01-24 13:24:13 | テーマイベント論
すみません、テーマイベント論の最終授業は1月29日(月)でした。訂正したします。履修者全員に一応メールで連絡をとる予定です。
最後の授業は、前回の授業で私が説明した小樽と札幌のイベントを、直接担当している学生の側から説明をしてもらうことにしました。イベント形成過程で、どのような問題がおき、どのような解決をした、あるいはしようとしているか、和田ゼミの高岡君に協力してもらいながら授業を進めたいと思います。
問題を発見する、発見した問題を解決する、この二つは通常のペーパーテストではなかなか高めることのできない能力です。ペーパーテストの特徴は、3つあります。易しい問題から解くことが有利、問題は既に決まっていること、必ず正解があることです。問題発見能力は何が問題か分からないという前提で問題を自分から発見することです。さらに問題解決能力は、正解が分からないという前提で問題を自分から解決することを要求されます。さらに世の中には易しい問題よりもはるかに
難しい問題の方が多いのです。易しい問題を手際よく整理できても、世の中の複雑な問題に挑戦する能力がどうしても必要になると思います。その意味では、イベント、とりわけテーマの明確に設定されたイベントは問題発見、問題解決能力を養う上で、きわめて有用な能力です。皆さんが社会に出て、必ず役に立つ能力ではないかと思います。この授業ではそんな能力養成はできませんが、こうした能力の必要性に対する理解は、学生の皆さんにして頂けたのではないかと思います。

最後の授業です

2007-01-22 09:54:24 | テーマイベント論
二つのイベント

和田ゼミが行う二つのイベントの解説を通じて、この授業を締めくくりたいと思います。

1.テーマ・イベント1.
日時:平成19年2月10日(土)

場所:小樽市駅前・日専連ビル8Fホール・13:00-15:00

テーマ:2月10日(土)はニートの日、ニートの正しい過ごし方

概要:現在ニートは社会的に大きな問題として取り上げつつある。そうしてその処方箋は、いづれもニートをなくすことに主眼が置かれている。ニートの存在しない世界が良い世界だという仮説の上に、一種のニート撲滅運動を展開しているようにみえる。しかし和田ゼミの仮説は異なる。成熟した社会では、ニートはなくならない。ニートの存在は社会の一部であることを容認する。ではそのニートがどう社会と関わるべきかをこのイベントを通じて問題提起したいということだ。



2.テーマ・イベント2.
日時:平成19年2月24日(または25日)

場所:札幌市狸小路3丁目・きくや楽器ホール6F

テーマ:チョイ悪世代と商店街

概要:今、全国の商店街はシャッター通り化している。その一方で少子高齢化が急速に進展している。特に2007年問題といわれる、いわゆる団塊世代の大量退職を生む。そうしてこの団塊世代の居住は大きく二つの分かれる、都会派と田舎派といってもいい。田舎派は地方でのんびり農業をしたい。都会派は、子供たちがいなくなった郊外一戸建て離れ、都心回帰を見せている。札幌でも高層マンションが続々と乱立するようなった。都市文化を楽しみ、特に北海道の冬の雪投げの苦労を避けるために都心に集まりだしたのだ。シャッター通り化した商店街の生き残りは
この団塊世代+αのいわゆるチョイ悪世代を対象にした新しい顧客マーケットの創造にある。これを明らかにしたい。

新年おめでとうございます。

2007-01-15 10:24:12 | テーマイベント論
テーマイベント論

次の問題に各問300字以内で答えなさい。

1. イベントの本質は一時的、大衆審査の場、高い自由度(無礼講)、通常の経済性を超える、の4点にあるとされる。この4点について下記のイベントを参考にそれぞれ説明しなさい。
①小泉首相の郵政民営化を問う衆議院解散選挙
②クールビズ
③日ハムの優勝パレード
④NHK紅白歌合戦の裸踊り


2. 日本社会は、少子高齢化、IT革命そして経済グローバル化の3つの変化にさらされています。この3つの変化を象徴するようなそれぞれのイベントやニュース(もし上げられなければ、テレビのCMでも構わない)をあげなさい。さらに上記の3つの変化がどのように日本の将来を変えていくと思われるか、具体的に説明しなさい。キーワードとして下記に掲げる。

① 2007年問題
② 都心回帰
③ ボーダーフォーンからソフトバンクへ
④ ジャネットたかた
⑤ ワーキングプア
⑥ ホワイトカラー・エグゼンプション


3. 本学の複数の学生(4年生)によれば、アルバイト先の新入生は年々挨拶ができなくなる傾向が強く、そのために挨拶の初歩から教育するとのことであった。このような若者の挨拶ができなくなったと思われる原因を述べよ。あなたがその教育担当者であれば、若者が普通に挨拶できるようにするためには、どのようなイベントをアルバイト先の職場で計画すべきか、5W1Hの原則にもとずいて企画書を作成しなさい。



イベントの資金調達

2006-12-18 09:53:45 | テーマイベント論
06年12月18日(月)
イベントを行うときに必ず遭遇するのは、資金調達です。この資金調達の壁を乗り越えることがイベント成功の試金石になります。採算のとれることが基本です。
これを多くの人は誤解しています。「お金がないからイベントができない」といいます。この発想は逆です。「お金が集まるのような魅力的なイベント」の企画ではなかったと考えるべきです。たとえばほぼ時期を同じくして、北海道神宮のお祭りとヨサコイソーランまつりが行われます。北海道神宮の駆り出される若者は、アルバイトといて募集されます。一方のヨサコイは、団体の参加料を支払って、間接的にですが、参加者がお金を支払う仕組みです。
お金をもらって参加する北海道神宮型のイベントと、参加者が自発的に参加料を支払ってでも参加したいと願うイベントの成功の確率は、あえて指摘する必要もないくらい明らかです。そこには、イベントの工夫、おもしろさを演出するソフトウエアがどうインストールされているかが重要となります。イベントの正否は、このソフトウエアの開発にあります。その際に必要となる考え方は、ソフトウエアのネットワーク化です。一見何の関係もないと思われるソフトをつなげる、高知のヨサコイと北海道のソーラン節は本来何の関係もないはづです。それをつなげるという発想です。前回の授業では、狸小路のイベントについて述べました。この狸小路のイベントに必要となる資金調達をこのソフトウエアのネットワーク化によって実現する手法を、今回の授業で説明したいと思います。








狸小路再考

2006-12-04 10:05:32 | テーマイベント論
12月4日(月)

今、中心市街地、たとえば商店街が衰退し、シャッター通りになっています。今はそれだけではありません、さらに北海道の老舗デパート丸井の経営危機が叫ばれました。中心市街地全体の地盤沈下が大きな問題となっています。本学でも狸小路商店街と商店街活性化の一部を担い、実験店舗を設けましたが、あまりうまく行きませんでした。まず起業を行った学生諸君の勇気を称えたいと思います。しかし同時になぜうまく行かなかったか原因を考える必要があります。
私は商店街の方々が重要な点を見落としていることが大きな原因ではないかと思います。その一つは「若者」願望があります。若者が商店街に寄るようになれば商店街は活性化する。二つは商店街の活性化は物販で成立する。
かつて60年代「若者」が多数を占めていたとき、商店街は大変な活気がありました。しかしその「若者」は少数になり、多数を占めるのは高齢者です。このことは
実験店舗の顧客をみても明らかです。訪れる顧客はほぼ中年ないし高齢者であったように思います。商店街の人々はかつての繁栄が「若者」を中心に考える価値観から抜けてていないように思います。狸小路に限定していえば、北海道でもっとも
可能性の高い、有利な立地条件を備えているといえます。特に団塊世代を中心とする高齢者の都心回帰がはじまっています。創成川の東側には、高層マンションの乱立することになるでしょう。その居住者の大半は、独身女性と今後退職を迎える
団塊世代を中心とする高齢者でしょう。この人たちが欲しがるものは、何でしょうか。モノではなく、サービスです。ヒトとのふれあいです。大半の団塊世代は会社人間として職場を生活の中心に置きました。しかし「2007年問題」といわれるように、この会社人間は、空洞化した家庭と地域に戻ります。この地域に戻るときにこそ、商店街は本来の機能を回復する可能性を秘めていると思います。この人々はモノではない、サービスを欲しがっています。このニーズを満たすことができれば、新たな狸小路の再生は可能ではないかと思います。その再生の試み、短期間としてのイベントが是非必要ではないかと思います。このイベントを通じて、先の二つの原因、物販よりもサービス重視、若者よりも団塊世代を中心とする顧客に対応することを認識を共有できれば、狸小路の再生はありえると思います。


イベントの運営組織

2006-11-27 09:47:00 | テーマイベント論
11月27日(水)

今日はイベントする運営する組織(チーム)について誤解があります。イベントのために組織は一つの型しかないという考えです。しかしイベントのためのチームは3種類あります。
イベントを成功に導くためには、それら3つのチームのうち、イベントに最適なものを選択することが必要です。第一の組織は野球型である。チームの構成員は、形としてチームをなしているが、一体化したチームとして働くことはない。野球では、選手のポジションは固定している。野手はそれぞれのポジションをしっかり守ればよい。お互いに直接助け合うことはできない。野球では、昔から「バッターボックスでは孤独」と言われる。しかしこの種のチームは、最近あまり人気がない。最近のイベントのチーム造りは、この種のチームから決別を意味する。反復やルールが固定化したイベントでは、野球チームが理想である。事実、大量に物を作ったり運んだりする仕事すなわち大量生産が組織され、かつ成果をあげているのは、この野球型チームによってである。
第二はサッカー型チームである。このチームでも野球と同じように固定したポジションを持つ。この種のチームの構成員はチームとして動く。それぞれの分担について、相互に調整しつつイベントを運営する。このサッカーチームには、監督が必要である。彼の言葉が法となる。オシム語録が必要である。サッカー型チームは、まとまりさえよければ、野球型チームよりも、はるかに柔軟であって、きわめて迅速に動く。第三のチームは、テニスのダブルス型である。少人数編成のジャズ・バンドである。この種のチームは小規模なイベントには最適である。チームの構成員は、ポジションが固定しておらず、優先すべきポジションがあるに過ぎない。そして、彼らはお互いの領域をカバーしあう。同時に、彼らは互いに強みと弱みを調整しあう。ダブルスの後衛は、前衛の強みと弱みにあわせてプレーする。ダブルス型チームでは、他の構成員の強みと弱みに応じた調整を条件反射的に行うことができてはじめて機能する。
イベントについてチームの選択が適切であっても、それだけでイベントが成功するというわけではない。しかしチームの選択が誤れば、イベントは必ず失敗する。








イベントを創る組織

2006-11-20 10:17:18 | テーマイベント論
平成18年11月20日(テーマイベント論:6回目)
イベントが大規模になるにつれてイベントの創り手は組織を必要とします。
イベントを対象とする組織には二つのパターンがあります。
機能的組織と共同体的組織です。機能的組織は、イベントのテーマを目的として外部から与えられた組織であり、共同体的組織は組織内の安定を目的とするイベントを対象とします。北海道神宮のお祭りは、本来地域の住民を対象とするイベントであります。一方よさこいソーランは共同体的組織の様相をとりつつ、実は機能的組織といえます。一つのビジネスとして成立すること、そのために内部というよりはより外部の人々の協力、いわば開かれた組織です。共同体的組織は、もっぱら組織内の構成員の満足に重点が置かれ、いわば閉ざされた組織です。
しかし機能的組織も、いつまでも機能的組織で存続するわけではありません、絶えず共同体化しようとする強い力が働きます。機能的組織が、外部評価を重視するのにくらべて、共同体的組織は、内部評価を重視します。「能力よりは人柄」ということになります。企業でも軍隊でも、官庁や政党でも、組織が確立し構成員が定着すると、構成員の満足と私利を追うようになりやすい。機能的組織の共同体化といわれる病理現象が生まれる。
アメリカのMIT大学教授ジョン・ダウワーは、「これまで成功した大国は賞賛されるとともに世界の人々の憧れを集めていたのに、今日の大国日本は『羨望なき賞賛』を受けており、外国人が『日本人のようになりたい』という願望を表明することはめったにない」と述べ、その理由を「五つの欠如」としてまとめています。
その第一は「よろこびの欠如した富」、第二は「真の自由の欠如した平等」、第三は「創造性の欠如した教育」、第四に「真の家庭生活の欠如した家族主義」、第五は「リーダーシップの欠如した超大国」というものです。私たちが抱える時代の閉塞感を端的に表現していると思います。この5つの欠如を打ち破る力は、形を変えた様々なイベントを繰り返し、試行錯誤を通じてはじめて生まれてくるのではないかと思います。今日の授業は、テーマ・イベントを運営する母体となる組織の機能的組織と共同体的組織の峻別とあいまい化について論じます。

イベント論から見る「いじめ」

2006-11-13 10:19:00 | テーマイベント論
テーマイベント論(11月13日:5回目)

「いじめ」が悪いことは誰でもわかる。その悪い「いじめ」がこの世の中から消えたことが、おそらく一度もない。しかし「いじめ」に会って、自殺するという傾向は最近のような気がする。おそらく戦後教育は、「人命は地球よりも重い」ということを、日本のどの時代にも増して教育してきたはづである。しかし自殺する子供にとって、「いじめ」は死よりも怖いなのかなのだ。「仲間はづれ」が「死」より怖いのである。では過激な行動をとるイスラムの諸国はどうか。反イスラム主義者に対する自爆は、つまり死は宗教的には正しい行動のようだ。太平洋戦争の末期に「特攻隊」が正しい行動と認識されたことに似ているかも知れない。
しかし戦後人命尊重の教育が叫ばれてきたにもかかわらず、なぜこのような子供たちの自殺が起きるのだろうか。この問題を考える上で、ある韓国人の行動を思い出す。東京の地下鉄の駅で、線路に落ちた子供を救った代わりに、自分は命を落とすという行動である。これは人命尊重の行為なのか、自分の命を粗末にあつかった行為なのかどちらだろう。ハリウッドのアクション映画では既に結論が出ている。ヒーローとして扱われるのだ。さて日本ではどうか? そうして戦前・戦後でこの考えが大きく変わった理由は何か? テーマイベント論のこの授業の中で私見を述べたいと思います、できれば皆さんの率直は考えを議論したいと思います。


イベントって、遊びでしょ!

2006-10-23 09:12:34 | テーマイベント論
イベントって、遊びでしょ!(4回:10月18日)

朝起きると、山はごま塩頭のようになっていました。初冠雪です。今日は急に寒くなりました。学生諸君は風邪など引かないように。
本来ならば、今日の授業から、テーマイベント論から見た、北海道の懸案、北海道新幹線問題をテーマイベント論に沿って展開するつもりでした。
しかし東京のIT企業の社長が私を訪ねてくる、理由は学生求人のためということなので、授業は早く終わらないとなりません。実際採用されるかどうか分かりませんが、2名の面接が確定しています。
従って今日の授業のテーマを代えて、「イベントって、遊びでしょ」にしました。その遊びの分類です。フランスの社会学者・ロジェ・カイヨワの「遊びと人間」(講談社学術文庫)からイベントの基礎になる遊びと4つに分類します。この4つの分類は、イベントを分析する上で有力な道具になるので、必ず理解してください。その4つとは次の通りです。
アゴン - 競争
アレア - 運
ミミクリ- マネ
イリンクス-めまい
来週以降の予定としては、「北海道新幹線をテーマイベント論の視点から論じる」、その次は「狸小路商店街のテーマの創造とイベントを行う」、これが今年後中の実際です。できれば来年がこの「イベントを行う」という実際のフィールドワークを来年1月の授業中に行いたいと思います。



知事選というイベント

2006-10-16 09:48:21 | テーマイベント論
テーマイベント論(第3回)道知事選というイベント

今日のテーマはこの授業の冒頭で、政治の「政」はまつりごとと読むといいました。つまり政治とは「まつり」、イベントなのです。芸能人やスポーツ選手が政治家になることは、このイベントとしての性格が強くにじみでています。イタリアではAV女優が政治家になったという例があるくらいです。
そこで来年4月に統一地方選挙が行われます。北海道におけるその最大イベントは道知事選でしょう。この知事選を巡って、自民党が押す現職の高橋はるみ知事と民主党の押す候補の恐らく一騎打ちになると思います。民主党の候補者はまだ未定ですが、この北海道における地方選のハイライトである道知事選をおもしろいイベントにするにはどうしたら良いのでしょうか? 表現を変えると、おもしろいイベントの仕掛けに成功した方が勝つということです。
こうした場合、ベテランの政治家は政策の中身が重要といいますが、この授業では
政策の中身と同じく、政策を選挙民にどう表現するかも重要という視点から問題提起するつもりです。ベテランの政治家はこの点を見逃していることが多いように思います。私の取り上げたい知事選に向けたテーマは「北海道新幹線」です。
このテーマにイベントの性格を持たせるために、大胆に表現方法を変えてみました。これを皆さんに今日説明したいと思います。たぶん楽しい授業になる、つまりイベント的な授業を期待してください。