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粉飾の国アメリカ

2006年02月17日 | 経済
2000年8月、エンロンは特別損失を初めて計上、翌年にかけて投資組合の赤字が暴露され、130億ドル以上の損失があることが白日の下にさらされた。粉飾決算が明らかになったのである。この結果、エンロンの株価は99年9月に最高値の90ドルをつけていたが、2001年12月にはわずか36セントにまで落ち、株券は紙切れと化した。

 だが、このような中であっても、経営陣は「インサイダー取引」によって株を売り抜け、総額11億ドルもの富を手にしたという。


◆ブッシュ大統領らにも疑惑 政界巻き込む構造的腐敗

 さらに指摘すべきは、エンロンをはじめとする巨大企業、証券アナリスト、監査会社、証券取引委員会(SEC)、そして政治家までもが、こうした犯罪・腐敗の片棒をかついでいたということである。

 エンロンの監査を担当していたアーサー・アンダーセンは、エンロンの多額の簿外債務を故意に見逃し、不正書類を「処分」していた。

 ゴールドマン・サックスなど米国の証券会社やアナリストは、エンロンの粉飾決算が暴露された後でも、エンロン株を推奨し続けた。ムーディーズなど、日本国債の格付けを下げて憤激をかっている格付け機関も、簿外債務を把握できなかった。

 また、ブッシュ政権や共和党を中心とする議員は、エンロンから多額の政治献金を受け取った。彼らは、エンロンがカリフォルニア州で電力の「売り惜しみ」を行ったことで起こった電力危機(2001年年頭)の際に、1部に起こった規制強化案を葬った。

ブッシュは、大統領選挙に際して、エンロン会長から30万ドル以上の献金を受け取った。ブッシュ政権のリンゼー首席経済顧問は、政権入り前はエンロンの顧問をしていた人物である。エネルギー産業出身のチェイニー副大統領も、エンロンとの「深い関係」が取りざたされている。チェイニーが主導したブッシュ政権のエネルギー政策の骨子はエンロンが書いたともいわれている。

 これと別に、ブッシュ自身がかつて取締役だったエネルギー会社でのインサイダー取引・不正融資疑惑も飛び出した。チェイニーも、石油会社会長時代の粉飾決算疑惑で、市民団体から告訴された。
 監督者であるSECと監査会社などとの関係にも、疑惑の目が向けられている。

 まさに「政官財ぐるみ」のゆ着、腐敗であり、今後、より大規模な事件に発展する可能性もある。




 エンロンの企業犯罪は、粉飾決算、インサイダー取引、タックスヘブンへの所得隠し、捜査妨害、政治家の買収など枚挙にいとまがない。

 しかし皮肉なことに、エンロンは米国が世界に押し付けているグローバル・スタンダードの「優等生」であった。具体的には、デリバティブの展開、社外取締役会の設置、監査法人による会計監査、ストックオプション経営などである。これらすべてが、そのデタラメぶりを全世界に自己暴露してしまった。


◆粉飾決算が相次ぎ発覚 世界経済をも揺さぶる

 エンロンの破たん後、粉飾決算が米企業にまん延していることも明らかになった。

 長距離電話第2位のワールドコムは、経費とすべき出費を設備投資として計上、収益を水増ししていたことが明らかになった。同社は、事実上解体が決まっている。

 1月末に倒産した海底ケーブル系通信会社のグローバル・クロッシングも、意図的な会計操作で不当に売り上げを膨らませていた。

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