消滅寸前

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『障害を問い直す』 松井彰彦/川島聡/長瀬修編著

2011-09-26 | WABLOG
 

 ある日新聞を見ていると気になった書評があった。
少し抜粋縮小して載せよう。

 障壁なき共生社会は可能か?

 日本には「障がい者」と呼ばれる人が多く存在する。

 その他いわゆる「ふつうの人」を基準に作られてきた常識・価値観・制度諸々は「障がい者」にとって経済的にも精神的にも不利益を被る現実。

 バリア・フリー化などはまだほんのカケラに過ぎない。
「ふつうの人」基準に適応できない「障がい者」の不利益は、不運に帰されるべきものであろうか?
それとも、「ふつうの人」たちの差別意識や無関心に帰されるべきものであろうか?

 この本は、共生社会にふさわしい障害問題の解決法を探ろうと、経済学、法学、社会学、心理学、教育学など、異分野の研究者15人が、それぞれの立場から交流を重ねたプロジェクトの成果だという。

 目ざすべきことは、「障害者」を社会的障壁に順応させるのではなく、社会的障壁を取り除いていくことである。

 課題は多い。たとえば、「障害者」に烙印や恥辱を与えない認定と等級の決定。
顔の異形など、「障害」に含まれない特徴をもつ人が受ける差別。
「障害者」の兄弟姉妹の苦悩。
等々複雑な問題を、地道に、息長く、当事者とともに解決していかなくてはならないのだ。

 つまり、

 本当に問い直すべきなのは、「障害者」や家族が抱える問題を知ろうとしない「ふつうの人」の意識障害であり、機能障害なのかもしれない。

プロジェクト・チームの今後の活動に期待したいが、多くの「ふつうの人」はこの本に興味を持たないだろう。

障害者にとってこの本は高値だろう。


(2011年9月26日 読売新聞)の書評より

『障害を問い直す』
東洋経済新報社 3600円