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仕事に対する心構えと考え方

IT系商社の管理職として後輩に伝えたいことを書き溜めたものを公開しています。

残念なこと

2011-07-15 18:20:43 | 日記
先日弊社主催のプライベートセミナー+展示会で残念な光景を目にしました。
カンファレンスセンターをフロアで借り切り、セミナールームの外に製品を陳列し、お客様対応をします。
私がフロアに上がった時はちょうどセミナー中で、セミナールームの外はお客様がまばらでした。
ある製品のところに一人のお客様?が立ってパネルを見ていました。弊社の説明員は何人かいるにも関わらず、声をかけようとしません。
おかしい、と思い、そのお客様?に声をかけようとしたところ、それは弊社の会長でした。
“お忙しいところお越しいただき、ありがとうございます”と私が挨拶しますと、“盛況だねえ。この製品は何?”ということで、ひとしきり最近の状況についてお伝えをしました。

会長がふと、“あそこに立っている女性は弊社の人?”とおっしゃるので、“はい、そうです”と答えると、“何年目ぐらいの人?”と聞くので“ここ3 – 4年で入社した人ですね”とお答えしました。
会長曰く、“いや、私がここにいても声をかけてこないもんだから、てっきりメーカから派遣されてきたヘルプの人かなんかと思った。まあ、最近の入社した人だと、私のことをブログや発表会で遠くから見るぐらいだろうからわからないのかなあ、ハッハッハ”

とんでもないことです。

会長の顔がわからないわけがありません。
よしんば会長とわからなかった、というのであれば、なぜ、お客様と思って声をかけなかったのでしょうか。もし、声をかけていれば、“XXだけど”と会長は名乗りますし、わざわざ忙しい中、展示会の会場まで来ているということは、皆と話したいからで、いろいろと話かけてくるでしょう。

私は単に会長が偉いから挨拶しろ、と言っているわけではありません。

元々、大手有名メーカに勤めていた会長が、大企業の不条理さを感じ、理想の会社を作るのだ、と若くして夢をもってスピンアウトして作ったのが弊社です。
その間、何度か倒産の危機を乗り越え、上場企業にまでなったわけです。もちろん、会長が一人でやったわけではなく、社員がいて初めて会社が成長したのですが、会社の規模が大きくなっても、働きやすい環境やお客様からも褒められる弊社の文化というものを継続されてきたのです。
そんな会長と話せる機会、人柄や考えに触れるいい機会ではないですか。

そういった歴史の中で我々は縁あって雇ってもらい、働かせていただき、給料をもらっているわけです。

私は悪くは考えたくないですが、社員が気付きながら会長に声をかけなかったとしたら、それは、社員とかなんとかいう以前に、社会人として、いや、人間としての自覚が欠けている、としか言いようがないと思います。

会長の理念がまとめられた冊子が配られ、それを元に議論をするというプログラムを組んでいますが、きっと読んでも理解していないし、年に一度ある会長の講演も聞いていないのでしょう。

同じ社内ですら、こんな状態なので、社外(お客様や仕入先)に対する対応も推して図るべし、でしょう。

ただ、一方的にその担当者を責めることもできません。
我々がきちんとした教育をしていないのがそもそもの問題なのだと自覚し、会長にお詫びをいたしました。

私は単に経済的な理由だけではなく、社会的・文化的にも存在意義のあるこの会社を存続させていきたいと思っています。ですので、多少厳しいオペレーションになったとしても、このようなベーシックなところから変えていこうと思います。

隠蔽体質

2011-07-07 10:13:11 | 日記
最近隠蔽体質という言葉を聞くと、福島原発における東京電力の対応を思い浮かべる人が多いと思います。憤りを感じている人も多いと思います。

ただ、我々の通常のビジネスに置き換えた時、問題の大小はあるのですが、同様なことはやっていませんでしょうか?

これは非常に難しい問題です。自社の不利益になることをわざわざ相手の会社に言う必要はない、という話も納得できないことはありません。ビジネス上の戦略、もっとオペレーションに近い部分であれば戦術の一つとして有効な場合もあります。たとえば、いきなり製品原価をお客さんに伝える必要はありませんよね。

テレビのニュースを見ていてもわかるとおり(特に官僚による隠蔽なんかがいい例でしょうね)、隠蔽体質は主に内向きであることが多いです。しかも、それは、組織の利益を守るためと口ではいいながら、単に困難を回避したいがために、あるいは、相手に本当のことを言う勇気がないために、問題を先延ばしすることを目的に事実を伝えることを避けている、という逃げの姿勢であるように私には思えます。
問題はそこから得られる利益というものが正義(社会通念とか道義に沿った、という言い方になりますでしょうか)に則ったものであるかどうかに関わっているように思えます。

“これをいうと、仕事が増えるから(突っ込まれるから)”
“前に同じお客さんで一度失敗をして、同じ失敗が二度目になってまた怒られるから”
大体こんなケースです。

私はこんな風に考えます。
まず考えなければいけないのは、本当に重要な事であれば正義はなにか、そして相手の信頼を得るにはどうしたらいいのか、ということです。
たとえば同じ問題を二度起こしたのであれば、それは仕組みを変えるべきです。人的ミスで片付けてはいけません。原因を調査し、真因(Root Cause)を見つけ、それに対しどのように対応するのかを損害を与えた相手に明言するのです。

また、言うと突っ込まれたり、仕事が増えるのでイヤだ、という考え方は幼稚といわざるを得ません。なぜなら、その仕事はよく詰められていないと判断できるからです。小手先でかわそうとするので感じるのです。

ただ、一番重要なのは、そのお客さんとどれだけ信頼関係が築けているか、ということです。それは、付き合いの長い短いではありません。お互い会社として、いや、人間としていかに相手にコミットし、問題を解決していくのか、といった強い意思表明とコミットをやり切る事によって信頼が生まれるのです。
友達感覚でお客さんと飲みにいって信頼関係ができている、などという人がいますが、ビジネスですから、会社のプレッシャーがかかった瞬間にその脆弱な信頼関係(と思い込んできるもの)は簡単に崩れます。ビジネスですから、ビジネスで信頼関係を築き、さらに円滑にビジネスを進めるために接待をする、と考えるべきです。
“窮鳥懐に飛び込む”という言葉をご存知でしょう。やるだけやり尽した相手には、回りは結構優しいものです。
ただ、やるだけやり尽くしたら、という条件が必須となりますが。
それも、自分がやるだけやったではなく、相手がそう思えるような。
ですから相手の期待を理解する能力と期待に応えられる能力が求められます。
当然、自分の手に負えないと判断したら、上司に相談しましょう。上司は百戦錬磨の修羅場をくぐってきていますから、あなたの理解できないことでも対応策がわかるはずです。そして上司と二人三脚で問題を解決することによってあなたの経験値は飛躍的に向上するはずです。

情報 - 知識 - 知恵

2011-06-22 20:42:51 | 日記
時々社内メールで“情報共有です”と書いてある、本当に毒にも薬にもならないメールが飛んできます。誰が誰に対して、なにを伝えたいのか、あるいはなにをして欲しいのか、もしくは、なにを期待しているのかまったくわからないメールです。
私はこの手のメールが大嫌いですので、嫌いだ、といい続けたらあまりそのようなメールはなくなりましたが。

そもそも。情報とはなんでしょうか?見たり聞いたり、もうちょっというと本やネットで知ったり、ということなのでしょう。加工のされていない、一次情報ですね。それを何人もの人にメールをすること自体になにか意味があるかというと、まったく意味を為しません。

情報に自分なりの考察を付け加え、他の人から意見をもらうのであれば意味もあるでしょう。情報(事象)に対する自分の考えが合っていた、間違っていた、あるいは違うといわれたが、やっぱり自分は納得いかない、なぜなら・・・という思考をめぐらし、情報が自分の“知識”になるからです。情報を知識にするためには、自分なりの考察を持っていなければならず、それを肯定されても否定されても自分が納得できる理由がなければ、“知識”にはなりえません。

それでは、知識を持っていればそれでいいのでしょうか?
それは、おそらく間違いです。

我々は学者ではないのですから、知識を“知恵”に変える必要があります。“知恵”とは、単純に人を納得させるロジックだけではなく、我々はビジネスマンなのですから、実際のアクションにつなげて“お金”に変えることだと私は思います。
私も昔上司に“知識を金に換えられなきゃ、無駄な知識だぞ”と言われた事がありますが、知識は世の中の誰でも気がつくことであり、そこに一工夫を入れた“知恵”でないと、なかなかお金には結びつかないでしょう。誰でも知りえる知識なら、とっくの昔に誰かがお金に換えてしまっていますから。

情報を知識に変え、知識を知恵に変える。

簡単そうで相当難しいと思います。では、どのようにすればよいのでしょうか。私はこんな風に考えています。
1.46時中世の中で起こる事象にアンテナを張っておく。仕事に関わろうとかかわるまい  と関係ないです。
2.これはと思った情報を自分なりに解釈をする。その場合に、鵜呑みにするのではな   く、その事実の本質はなにかを考える。(つまり、疑ってかかりなさい、という    ことですが)。さらに、情報の裏取をし、自分なりのロジックを作り上げる。
3.さらに、自分であればどうするかを考える。決して表面的な賛同や批判のみをするの  ではなく、自分なりの意見を持つ必要があります、批評をするだけなら、テレビのコ  メンテーターや評論家に任せておけばいいのです。
4.もしできれば実行に移してみる。
上記のうち、1.が情報、2.が知識、3.が知恵になります。
そして4.で実行して初めてお金になる(ならないこともありますが)わけです。

こんなことをやっていると、仕事においても、同じ話を聞いたのにすぐに実施すべきことが見え、具体的なアクションも思いつくようになります。

後は日々実行するのみですね。

お客様に必要とされる営業とは

2011-05-10 20:28:53 | 日記
そもそもビジネスは、人が抱えた問題を解決することに本質があります。自分の問題をいくら解決しても報酬は発生しません。社内の課題もその延長線上にあり、社内調整が必要な場合でもそれは社外の人(ビジネスの場合、主にお客様)の問題を解決するものでなくてはなりません。給料は社内ではなく社外からいただくもの、と心得てください。

デフレの進んだ今の時代、価格や製品力では品物は売れません。類似品が多く市場に存在し、我々にとって大きな違いに見えても、実際お客様にとっては大した差はないのです。

そのような時代に必要とされる営業はどんな営業か。
それはお客様の期待を上回る対応ができる営業、の一言に尽きます。

誤解を恐れずに言えば、いかに無理だと思われることをスピーディーに可能にしてくれるか、がお客様の期待値になります。
社内都合で通り一遍等に“できません”と回答した瞬間、無警告カットされます。よくお客さんにアポイントをお願いしてもなかなかアポイントがとれない営業がいますが、上記のような対応を過去にしたことがないでしょうか?お客様も忙しいので、役に立たない営業とは面会する時間も惜しいのです。
社内の規則(と思い込んでいるもの)やメーカの仕組み(と思い込んでいるもの)は所詮人間の作った仕組みです。人間の作った仕組みを人間が変えられないわけはないですから、それを盾にとって“できません”と答える営業は怠慢で傲慢というに他ありません。お客さんを好きになり、お客さんの中に入り、お客さんの立場でモノを考える営業が必要な営業となります。

しかしながら、注意も必要です。

我々は慈善事業をしているわけではないので、だれかれかまわず無理難題を聞け、といっているわけではありません。当然それに見合った利益をいただけるお客様に限って、という前提がつきます。

お客様はモノではなく、価値(この場合、モノの価値以外にUser Experienceも含みます)に対して報酬を払ってくれるので、期待を上回るアクティビティを見せれば、お客さんも喜んで報酬を払ってくれます。そこから信頼関係が生まれるのです。
採算度外視でやるのも考え物です。MNCが利益を稼げなければ、会社が存続できず、お客様にサービスを提供することができなくなってしまうのですから。

ただ、その場合にも近視眼的にその案件だけを見て採算を考えるのではなく、将来に渡ってよい関係が築け、お互いにWin - Winとなるのでなるのであれば、”損して得を取る”という戦略も有効です。このあたりは自分の意見を上司や先輩にぶつけ、相談してどのような対応をするのがベストかを考えるのがよいでしょう。

今われわれにできること

2011-03-17 19:49:47 | 日記
このたびの地震により被災されたみなさまに心からお見舞い申しあげます。また、被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

被害が甚大な地震から約一週間が経過し、徐々に全容が明らかになってきました。
弊社においても義援金の募金や救援物資の提供など、被災地の救済に向けた動きが活発になっています。
あくまでも個人の善意ですが、海外からも絶賛されている日本人の助け合い精神を元に賛同していきたいと思っています。

一方、日本の経済には今回の震災が大きなダメージを与える事は想像に難くありません。
わずか数日で日経平均株価が1600円も下がり、日本の資産が吹き飛びました。
また、原発懸念から円安になるのかと思いきや、国内投資家が現金を保有するために海外への投資を控えたり、一部保険会社が震災への支払いのための資金を調達するために海外債を売却したり(これはほとんど風評のようですが)ということで、円高に振れています。自動車をはじめとした輸出製品を生産する工場もストップしており、日本経済に与える影響は45兆円にのぼるとの試算もあります。

今われわれにできることはなんでしょうか。

被災地の方々は非常にお気の毒であり、できれば現地で救援や復興をお手伝いしたいのはやまやまなのですが、プロでない我々が出て行っても邪魔になるばかりです。自衛隊やボランティアなどのプロにお任せする他ないでしょう。

われわれのお客様にも困っている方はたくさんいます。特に外資系の日本支社は本社より自宅待機の指示が出て出社がままならない方もたくさんいます。
われわれにはそういった方々が在宅で仕事ができる製品をご提供することができます。
ただ、気をつけなければいけないのは、今が平常時ではないということです。
会社でも何度か見かけたのですが、急いでいるお客様に通常通りのオペレーション(というのは、メーカや弊社が勝手に決めたもので、さらにはかなり安全を見込んでいる)を通り一辺倒に説明をし、時間がかかる旨話をしている輩がいることです。
今は緊急時なのですから、メーカを説得し、社内の手続きは後回しにしてでも、急いでお客様対応をしてあげることが必要なのではないでしょうか。

ただでモノをあげよう、ということではないのです。被災地に救援物資を送るのとはわけが違います。ある意味、今連絡をしてきているお客様は被災地に比べて連絡をしてくるぐらいの余裕があるお客様、ということです。
上記のとおり、日本経済がダメージを受け、それを正常化する努力(つまり経済活動)をするのもわれわれにできることです。そのために適正な経済活動は行うべきだと考えます。

ただ、勘違いをしてはいけません。
本当に急いでいるお客さんはいくらでもいいから譲ってくれ、と言ってきます。実際本日それに近い事がありました。
そんな場合にも高い金額で吹っかけるなど、冗談でも考えてはいけません。

阪神大震災の時に、被災地に救援物資が届かない時におにぎりを1個1000円で売っている輩がいました。テレビ局に取材されそうになると、おにぎりを置いて逃げていきましたが。なぜ、逃げていってしまったのか考えればわかるでしょう。

火事場泥棒、それは犯罪行為です。

会社は社会があって初めて成り立つものです。社会の役に立たないのであれば、無用の長物以外のなにものでもありません。
会社で働く一員なのであれば、それを肝に銘じ、頭を使って非常時になにができるのかを考えて行動をしましょう。

私のオヤジの世代は、戦後焼け跡の灰の中から必死に日本を復興してきました。
われわれにそれができないはずがありません。