さて、先日のストールですが、写真のような市販の糸で織りました。
カラフルできれいですよね。今日は糸にちなんだ話題です。
ちょうど秋田から帰省しているなぎさが、今、糸作りに励んでいます。
でもコットン糸や羊毛の糸ではないんですよ。
話しは去年の夏にさかのぼります。
美大で作品制作に取り組んでいたなぎさは、植物から繊維をとって糸をつむぐ
作業に夢中になっていました。彼女が目をつけた植物は「カラムシ」。
秋に黒い毛虫がいっぱいつく草です。
夏休み中、大量のカラムシを刈って、繊維を取りだし糸をつむいでいました。
晩秋にはその糸でとても素敵な作品が仕上がっていました。
(ここで作品をご紹介できないのが残念ですが。)
さて、今回彼女が注目したのは藤。
雪の山をずんずん登っていくとふだん手が届かないような
高い場所で、いい藤ヅルが採れるんだそうです。
ツルというより、もはや木かな。
その藤の木から皮をはぎます。
木は固くて皮をはぐのに指がとっても痛そう。
何枚も何枚も皮をはぎます。
これが、はいだ皮。
今度は灰をたっぷり入れた鍋にこの皮を入れて5時間くらいコトコト煮ます。
煮終わったら、皮の繊維と余分なものが分離されているので、
水ですすいで繊維だけを取り出します。
きれいに水洗いし、繊維をしぼって干して乾燥させます。
乾燥後、右のような繊維の束がたくさん出来ます。長さは30cmくらい。
今度は繊維の束から、左のような、さらにほそ~い繊維を取り出します。
細い繊維は1本が長くて30cm。これでは糸になりません。
まず2本分の繊維を取り出し、端の部分を少し重なるようにし、
指でつまんでねじってよりをかけ、つないでいきます。
なんとも気が遠くなるような根気のいる作業。
細い繊維をつないで、つないで、つないで、つないで・・・。
ホラ、糸っぽくなってきました。
このあとコマのような小さい道具を使って、この糸の原形にさらによりをかけて、
ようやく糸になります。
手作業で糸を作っていくって、ほんっとにスゴイことです!
その昔、カラムシからとった糸はわりと高級な衣類、藤からとった糸は農作業着
などに使われることが多かったのだとか。
なぎさの糸づくりを見ていると、糸や衣類の歴史ってすごいんだなあとつくづく
思います。