ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

暴力的な言葉にさらされると、人間は暴力的になる……?

2021-09-30 | 旧記事群

2003年に発表された論文によると、暴力的な言葉に暴露した人は暴力的・攻撃的になることが分かった。

今回の研究では暴力的な言葉を含んだ曲を被験者に暴露させたが、結果としては曲調やその他の要素は関係なく、暴力的な言葉に暴露された分暴力的・攻撃的になったそうだ。

また暴力的な言葉に暴露されればされるほど、暴力的な言葉への反応が速くなり、効果も上がると記述されている。

暴力的な言葉によって築き上げられた、暴力・攻撃への反応速度の偏重は個人の攻撃性を介し社会に多大な影響を与えるとしている。

 

ただし、暴力的な言葉に暴露したことで得られる攻撃性は非常に短期的なものであり、長期的な影響や長期間の暴露が何をもたらすかは不明だという。

「特定情報の暴露と攻撃性」を題材とした研究では、特にどれだけの期間被験者を観察したのかによって結果がまるで変ってくる。

そもそも攻撃性は環境と性格が複雑に絡み合い構成されているもので、特定情報の暴露だけが多大な影響を与えるとは考えづらい事柄なのだ。

特定情報の暴露は変数の1つではあるが、それ以上でもそれ以下でもない。

 

ーーーこういった論文を根拠に「ゲームは危険だ」とおっしゃるのならば、

「何でおなみだ頂戴の良い話だらけなのに、一向に世の中は良くならねえんだよ」

という、北野武さんの言葉で返させてもらう。

 

 

参考文献

Anderson Craig A,Carnagey Nicholas L et al. (2003) Exposure to violent media: The effects of songs with violent lyrics on aggressive thoughts and feelings.


トロッコ問題の解答、現代の若者の傾向は……?

2021-09-29 | 旧記事群

2018年に発表された論文によると、現代の若年層は高齢者層よりも功利主義的な判断に寛容である傾向らしい。

また功利主義的な判断への寛容さと加齢・成熟にはほとんど相関がないことから、寛容さの傾向は最近の世俗により高まったものであるとの推測が立った。

 

……要は、現代の若者は半世紀前の若者よりも、トロッコ問題でレバーを操作する可能性が高くなったということ。

「暴走するトロッコを放置していれば、先の線路で作業する5名の作業員の命が奪われるだろう」「目の前にあるレバーを引けばトロッコの行き先を変えることができるが、変えた先にも1名の作業員がいる。レバーを引けば、この作業員の命はない」

このような問題に直面したとき、作業員数(最大多数の最大幸福)を最優先に置きレバーを切り替える行為、もしくはそのような意思を功利主義的な判断という。

技術発展により、より個を尊重できるようになったが故の副産物だろうか、功利主義的な判断に世間は寛容になり、一部では求められるようにもなった。

そして一部では、主観的な感情を蔑ろにしたマキャベリズムな決断が下されることもある。作業員数を優先するためにレバーを引くという、従来の道徳的価値観では戸惑ってしまうものが、何のためらいもなく行われることも。

ーーーそれらの現象が良いか悪いかは別にして。

功利主義者には1つ「従来の道徳的価値を頭ごなしに否定する」ことは避けるよう願いたい。

従来の価値観でも成り立つものはあるし、否定しても利益は得られないはずだから。

 

 

参考文献

Hannikainen, Ivar, Edouard Machery, and Fiery Cushman. 2018. Is
Utilitarian Sacrifice Becoming More Morally Permissible?


著名なレビュアーの発言は購買意欲を促進させる。それが良いことなのかは別にして。

2021-09-28 | 旧記事群

2017年に発表された論文によるとSNSで活動する著名人の活動や行動は、SNS利用者や認知者の購買意欲を促進させることが分かったのだそう。

また購買意欲の度合いは、著名人の専門性と親近感が深くかかわっているのだという。利用者は想像しやすく、身近に感じられ、また知識もある人の発言に信頼を置くため、このような傾向が発生するのだそう。

そのため、メディアで大々的に取り上げられる有名人よりも、顧客層をある程度絞った著名人のほうが購買意欲を上げやすいという。本の帯などに書かれた「○○絶賛!」は、それなりの効果を発揮するのだとか。

 

購買意欲はもう2つ「SNS上で見栄を張りたいか」「SNS上で構築された人間関係を保ちたいか」というステータスにも左右される。

故に、商品にいいイメージを持たせるための誇大表現や加工はある程度受け入れられるのだそう。

誇大表現の発信元が販売主であれ、レビュアーであれ、買い手にとっていいイメージを持たせるためのそれは「いいイメージを持たせてくれるものだからアリ」と判断されるのだという。

たとえ、商品や買い手にとって致命的な問題を切り捨て発表したとしても、だ。

 

ーーー買い物の目的は人それぞれだ。

勝手に信頼した人の発言を鵜呑みにし、いい情報しか挙がらない商品に飛びつき、優越感に浸るのも買い手の権利だ。

ただ、その選択が後々後悔を招かないかということだけは、聞いてもいいかな?

 

 

参考文献

Citation: Djafarova, Elmira and Rushworth, Chloe (2017) Exploring the credibility of online celebrities' Instagram profiles in influencing the purchase decisions of young female users.


音楽の好みと、それに対応する性格一覧

2021-09-26 | 旧記事群

2020年に発表された論文によると、ビッグファイブと呼ばれる性格特性(誠実性・外向性・神経症的傾向・開放性・協調性)と音楽の好みにはそれなりの相関があるとのこと。

今回挙げた研究には、対象が聞いている(好きな)音楽のジャンルや、音楽を聞くときの癖などで相手の性格を計れるとある。が、いまだ不明瞭で信頼性も低いため、これから挙げる傾向はあくまでも傾向として受け取ってほしい

また今回は傾向のみを扱う。なぜその傾向になるかなどの考察は一切含まない情報であることも配慮してほしい。

 

好みのジャンルと、対応する性格の参考

・開放性(新しいものを毛嫌いせず、受け入れる性格、またはその度合いなど)の高い人はセンチメンタルな曲を好む傾向にある。例:瑛人『香水』など。

 また開放性の高い人は客層が限定的なマニアックな曲から、オリコン1位を獲得するような有名な曲まで、幅広いジャンルの曲を好む傾向にある。

・神経症的傾向(ストレスにより心身ともに疲弊している状態、またはその度合い)が高い人は暗い曲調の曲や反抗的な曲を好む傾向にある。例:米津玄師『vivi』、THE BLUE HEARTS『青空』など。

 神経症的傾向が低い人、つまり心身ともに安定している人はオールドカントリーやソウルミュージックなどの明るい雰囲気の曲を好む傾向にある。

・協調性(周囲に同調する性格、またはその度合い)が低い人はパンク調やデスメタルの曲を好む傾向にある。例:WANIMA『ともに』など。

 協調性が高い人はジャズやソウルミュージックなどを好む傾向にある。例:大野雄二『ルパン三世のテーマ』など。

・良心性(倫理観や道徳に重きを置く性格、またはその度合い)が高い人はロマンチックな曲や万人受けしそうな聞きやすい曲を好む傾向にある。例:BTS(防弾少年団)『Dynamite』など。

 良心性が低い人はロック調やコメディ調などの曲を好む傾向にある。

・外向性(対人関係への労力を惜しまない性格、またはその度合い)が高い人はラブソングを好む傾向にある。例:Official髭男dism『イエスタデイ』など。

 外向性の低い人は 「“Urgent” music」を好む傾向にある……? 調べたけどよくわかりません誰か教えてください。

 

ーーーどの曲を聞くかは、基本的には自律的な意思によって決められる。

つまり、自分の願望や行動・環境、成熟によっても視聴曲は変わってくる。

が、聞き続けたい曲やジャンルには、ある程度の性格が見え隠れするのかもしれない。

 

 

参考文献

Ian Anderson,Santiago Gil et al.(2020) “Just the Way You Are”: Linking Music Listening on Spotify and Personality.


セルフハンディキャッピングを行う人の特徴。

2021-09-25 | 旧記事群

2013年に発表された論文によると、セルフハンディキャッピングの頻度は自尊心の低さと関連しており、また社会への適応能力の低さも間接的に影響しているとのこと。

 

セルフハンディキャッピングとは、自分がかかわる事柄にて失敗しても自身の尊厳を失わぬよう、あらかじめ原因を列挙(もしくは作成)することを言う。

「今日のテストつらいわ~。昨日実質一時間しか寝てないからつらいわ~」などの発言がそれにあたる。

「失敗しても仕方がない」と思わせ、成功しても失敗しても自分の尊厳が失われないようにする立ち回りは、賢いように見える。

だがその実、それは失敗を受け入れられないほどの自尊心を守るための術てあり、失われた尊厳を回復できないほどの社会適応の低さからもくる行動である。

また、セルフハンディキャッピングで自尊心を守ることはできたとしても、回復にはつながらない。それらの行為は、基本的に『自尊心が低い』という問題を列挙した原因に押し付け、問題から目をそらす行為でもあるからだ。

セルフハンディキャッピングそのものは否定しないが、それを多用するようであれば内にある原因を列挙したほうがいいのでは……と無茶な要求。

 

ちなみに、セルフハンディキャッピングは対人向けの尊厳を守る行為でもあるため、その頻度は環境や集団構成より若干の影響を受けるらしい(今回の研究では、教育学専攻の学生は比較的それを多用していたとのこと)

 

ーーー「誰それが悪かった」「環境が悪かった」「運がなかった」

しかし、成績が悪かった・失敗した事実は変わらない。どうするんだ?

 

 

参考文献

Agata Maltese,Marianna Alesi et al. (2013) Self-esteem, Defensive Strategies and Social Intelligence in the Adolescence