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ばりん3g

マイクラ補足 兼 心理学のつぶやき

同調圧力に関する5つの知見。

2022-01-27 | 旧記事群

1955年に発表された論文は、たとえ人工的に作られた些細なものであっても、集団からの同調圧力による個人の判断の歪み様は大きいものであるとし、その主張を理由とともに5つに分けた。

まず、Asch(1955)でも示された通りの状況に置かれた場合、個人の判断は集団の行動によって歪められる。たとえ集団の選択が間違っていようと、個人は「集団から逸脱している」ことを理由に判断を修正するのだ。

次に、同調圧力が匿名制によってガードされている場合、個人はその判断を変えることはない。たとえ集団からの物理的な視線があったとしても、決断の匿名性が保たれている場合はある程度圧力を無視できる。

また、「自分の判断に身をゆだねる」と言葉にできるような固い意志は、同調圧力をある程度防いでくれる。が、周囲が個人の意見を直接見ることができ、容易に批評できる環境であれば簡単に折れてしまう。これは固い意志という自身に対する一人分の圧力と、周囲からの何人分の圧力を比べた時、どっちが強いかという単純なお話で説明ができる。

最後に、判断するべき事象の情報量が少ない場合、個人は同調圧力に屈しやすくなる。これはBaron(1996)の「人間は判断の確証のなさからくる不安を抱いた時、まず周囲に頼る」という主張と一致している。

以上、5つの主張である。

 

実験ではこれらの現象を確認するために、集団に間違った答えを指すよう指示したり、わざと提示する情報量を減らしたりしている。またこのような操作は実験と称されず、かなり身近に、それなりの頻度で、報酬が渡されずとも発生している。「みんなはこっちを選んだよ?」と優しく問いかけられたことは、数えたらきりがないだろう。

だが、同調圧力を用いて「自身の判断に身をゆだねる」よう促すことも理論上可能であり、そのような圧力の場合は集団に属す個人がそれを実行できるだけの能力を保持している場合、意味が歪曲することなく持続できるのかもしれない。

同調圧力の善悪はさておき、自身の判断が同調圧力によって不当に歪められるのを防ぐためには、「自分で考える」といえるようなプロセスの獲得が必要となる。

 

ーーー「我々は同調圧力によって虐げられている!」

って、同調圧力を絶対悪として掲げているひとほど

著名な人の引用が多いのは、なんでだろうね?

 

参考文献

Deutsch, M., & Gerard, H. B. (1955). A study of normative and informational social influences upon individual judgment.

Solomon E. Asch (1955) Opinions and Social Pressure.

Baron, R. S., Vandello, J. A., & Brunsman, B. (1996). The forgotten variable in conformity research: Impact of task importance on social influence.



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