上:ニホンスイセン 房咲き、花冠白色、副花冠黄色 下:別種 房咲き、花冠・副花冠ともに白色
ニホンスイセン (日本水仙 ヒガンバナ科 スイセン属 学名Narcissus tazetta var. chinensis 花期12月~早春 原産地:地中海沿岸地方~スペイン・ポルトガル等) 多年生球根植物。葉は深緑色の長い線形で先は尖らず。花は長い花筒を持ち横向きに咲き、花筒の基部に濃緑色をした子房が膨らんでいる。花被片は同形大の白色(等花被)で平開、その中心部にカップ状の黄色い副花冠が立ち上がっている。花被片は外花被片3片と内花被片3片の6片。雄蕊は長3・短3個で葯は黄色、雌蕊1で小さな柱頭が2個(又は2裂)観察される。花序は花茎の先端の薄い膜質の苞から出て、4,6個ほどの花をつける。所謂房咲きである。スイセンには多数の種類があり、花被片、副花冠の形状・色及び花のつき方で分類される。鱗茎、茎・葉にアルカロイドを有し誤食には注意を要する。
属名 Narcissus 美少年ナルキソス(ナルシソス)が水面に映った自分の姿に恋焦がれて死に、その後に1輪のスイセンの花が咲いていたという物語からくる。
種小名 tazetta 房咲きの意。
Narcissus tazetta var. chinensis スイセン属 房咲き種 変種・中国に産する。古くヨーロッパからシルクロードを通って中国に伝わり、鎌倉・室町時代の頃に修業僧が日本に伝えたと言われる。
Narcissus papyraceus 房咲き、花被片・副花冠共に白色 papyrusパピルス・紙 ホワイト・ペーパーのような
Narcissus tazetta odoru 房咲き、花被片・副花冠共に黄色 odorus 香りのよい
宮沢賢治童話「水仙月の四日」
雪童子ゆきわらすを使って猛吹雪を起こす雪ふらし妖怪 “雪婆んご”の命令で、4人の雪童子はそれぞれ雪狼を従えて、この冬最後の猛烈な吹雪を起こす。ところが、町へ使いに行った帰り路の赤い毛布の子供がこの吹雪にあい行き倒れそうになった。これを見た一人の雪童子が雪婆んごの眼を盗み、凍えないようにと雪で埋もらせてその子供の命を救うというおはなしである。水仙月とは諸説あるらしいが、花巻あたりでは4月中旬頃から咲き始めるのだろうか。