上左は花期 上右は結実期
イヌタデ (犬蓼 タデ科 イヌタデ属 学名Persicaria longiseta 花期夏~秋 別名:アカマンマ) 通常タデと言えばヤナギタデを指し、葉に辛味成分を持つので香辛料に使われるが、イヌタデは葉に辛味がないので役に立たずイヌを冠する。茎長30~40cm。葉は互生、葉身は披針形~広披針形、基部は楔形で葉先は長く尖る。托葉梢は筒形で縁部から長い毛が生えているのが特徴である。立ち上がった穂状の花序に小さな赤花を密につける。別名のアカマンマはこの花を赤飯(あかまんま)と呼んでままごとに使って遊んだことに由来する。花被片(萼)は紅色で花後も残り受精結実した子房を包み込み、果実(そう果)は花被に包まれて成熟する。本種は陸生し、タデ(ヤナギタデ)は水辺の湿地に生育する。
属名Persicaria ラテン語でpersici は桃、葉が桃に似ていることに因む。(モモ/桃 学名Amygdalus persica)
種小名longiseta longi+seta 長い剛毛 (托葉梢から出る長い毛を指す)
オオイヌタデ (大犬蓼 タデ科 イヌタデ属 学名Persicaria lapathifolia 花期夏~秋) 荒地に生え、茎長は1mほど。葉は広披針形で細長く葉先が長く尖る。節は膨れ、托葉梢は筒形で、縁は無毛。花穂は白っぽい薄紅色又は白色の花をつけ弓なりに曲がって垂れる。
種小名lapathifolia lapathi/lapathum = acetosa スイバ+folium 葉 スイバのような葉をしたl
花被片5、雄蕊7、柱頭2裂
オオケタデ/オオベニタデ (大毛蓼/大紅蓼 タデ科 イヌタデ属 学名Persicaria pilosa 原産地:中国南部) 和名は大型植物で全体に毛が多いことに由来。帰化植物で畑の縁などで見かける。茎長1.5~2mほどの大型。葉は大きな卵形で長い葉柄を持ち、托葉梢は筒形或いは葉状で、縁は無毛。夏~秋にかけて茎の先の大きな花穂に紅色の小花が密生し下垂する。花被片(萼)は5片、雄蕊7個、柱頭2裂を観察。マムシの毒を解毒すると言われハデコブラの別名を持つ。毒虫に刺されたとき生葉を揉んでその青汁を患部に擦り込む民間療法がある。
種小名pilosa 毛が多い (茎などに毛が密生していることを指す)
ヤナギタデ (柳蓼 タデ科 イヌタデ属 学名Persicaria hydropiper 花期夏~秋 別名マタデ、ホンタデ) 水田や湿地、河原などに生育する。茎は高さは30~80cm。葉は互生し、長さ3~10cmの披針形~長卵形。葉に辛みがあり香辛野菜として利用される。托葉鞘は筒形で、縁に短い毛がある(イヌタデは長い剛毛がある)。花序は穂状でやや疎らに花をつける。花は白花又は先が紅色帯。花被は5裂。刺身のツマにされる芽蓼(めたで/発芽子葉)としては、ヤナギタデの品種あるいは変種の発芽子葉が利用され、紫色の芽蓼が白身魚に、緑色の芽蓼が赤身の魚に利用される。料亭にいくことがあれば薀蓄を披露しながら舌鼓を打つのもよかろう。
種小名hydropiper hydro+piper 水+胡椒 水辺に生える胡椒の意。胡椒はラテン語でpiper piperis (英名water pepper)