破壊王

我が家お初の黒い肉球は、とかく楽しいことには恐ろしく貪欲である。

中でもキッチンスペースは最大の関心場所で
案じていた通り、成長とともに備わったジャンプ力でキッチンカウンターの上を
右往左往するようになり、その平然たる態度には誰もが唖然とさせられた。

歴代のコたちを浮かべても、
かつて我が物顔でキッチンを闊歩して周るコなどいなかったし
しかも、奴はまだまだキッズである。

時に諭し、時に強弱をつけて叱ってみるも一向に修正の気配はない。



時は元旦。
一年のはじまり。
はじめての朝。

二階まで届いた絶叫と、そして破損音に
瞬時に、ダレがナニをヤらかしたのか想像がついた。

最速で階下に降り、目にしたのは床一面に散ったカフェオレ。
その先に転がり割れたマグカップ。
いや、床だけでなく飛び散ったカフェオレは壁をも染めていた。

雑煮の支度中にうた丸がまたもキッチンに上がって来たため
それを制止しようとした矢先に、マグを蹴飛ばしたという経緯の結果
雑煮は一時休止され、床掃除に始まった。



その後。
父の十三回忌では法事の席。父をもてなす料理をのせたお盆をひっくり返し
そして母が旅の記念にと買ってきた干支形をした置物を破壊した。

アニバーサリーには気をつけろ！
我が家の合言葉である。