「MIは終わりなき職人の世界みたいですね」
あるMI学習者の方が、そう話してくれたことを日々痛感しています。
MIは、クライエントの話をPACEの態度をもって聞きながら、
クライエントの先を行かずに、少しずつクライエントの動機を促し、
クライエントとともに特定の方向に動機をつけていく面接のスタイルです。
MI習得は、多くの人にとって可能ですが、
トレーニングを続ける必要性、そして、そのトレーニングを続けるには、
多くのクライエントの協力を必要とします。
カウンセラーはクライエントに対して、その人の生きてきた過程に真に受容の気持ちを持てるか。
PACEの態度でもってクライエントに臨まなければ、
クライエントは行動を変えることはありません。
人は、話を聞いてくれる相手に、信頼や信用を感じるからこそ、
自らの行動を変えようと思うのだと感じる場面が、MIを多少使えるようになってつくづく感じることです。
(しつこく言えば、PACEの態度がなく、チェンジトークだけを引き出しても、
クライエントにとっては「自分の気持ちを置いていかれた」となり、行動は変わらないのです。)
そして、カウンセラーとして自分の正したい反射とクライエントの先に行ってしまおうとする気持ちを
どれだけ抑えられるか。
これらは匠の技を持つ職人さんたちがそうするように、あくなき鍛錬によって、身につくのだと思います。
匠の技を持つものづくりの職人さんたちの多くは、自分たちが作りだす作品に対して、
その作品を使う人たちのことを想像し、その人たちがより使いやすくなるにはどうしたらいいだろうかなど、
きっとそういうことを日々考えて、試行錯誤されて、多くのすばらしい作品を生みだされているのだろうと思います。
MIもまさにそう、有機的に、常に、クライエントとカウンセラーとで紡ぎだしていくもの。
そのためには技術的な鍛錬以上に、常にあなたの目の前にいるクライエントの真の幸福を願い、
想像し関わっていこうとするPACEの態度を身につける鍛錬を続けていく必要があるのかもしれません。