ゆるーい思春期ネットワーク

キヅキ☆ミツメル

こころの目を通して真実を見よう

正したい反射の失敗(4)

2012-06-25 12:15:41 | 動機づけ面接

(前回からのつづき)

【振り返り】

「こちらがゴールを決めず、相手の気持ちに寄り添って引き出す」
というところがまったくなく、単なる知識の押し付けとなってしまいました。

実は、「正したい反射」自体は本来誰しもが持つ人の性質であって、
これが良い悪いではないという事ではありません。
それをどういう気持ちで使うかが大切という事も分かっている一方で、
自分を正当化するように、途中で「心配してるんですよ」
と言い訳をしてしまってもいます。(※5の部分)

善意の気持ちからでた正したい反射であったとしても、
これでは患者さんに不快感や抵抗を与えるだけになってしまっていて、
こちらの説明がほとんど届いていないという事がわかります。

さらに、あろうことか、患者さんが差し出した握手を断り、
自ら不協和を作ってしまっています(※4の部分)。
最後の喘息の話の部分でも分かるように、
医療者の持つ善意の押し付けが強すぎると、
不協和が改善されないまま進んで行きます。

この事例を冷静に振り返っとき、今後、再喫煙した場合に、
また禁煙したいという気持ちをつぶしてしまうかもしれない。
患者さんにとって、とても申し訳ない気持ちになりました。

だまって禁煙外来に来なくなる人はこれまでも経験していました。
しかし、面と向かってもう来ない、その理由が「もう治ったから」と
勘違いしているというケースが、初めての経験だったため、
冷静な対処ができなかったというのも、
今回の失敗の理由のひとつだと感じました。

患者さんがうまく禁煙のスタートを切れただけに、
ここで治療を中断されるのはもったいないと焦ってしまった結果(※1~3の部分)、
そして医療者が持つ、善意の押し付けのようなものが
強く出すぎてしまった結果だと思いました。

MIは、私のような医療者にこそ、本当に必要なものなのだと、
考えさせられ、より一層真摯に勉強したいと思いました。

from ミッキー先生


 

このミッキー先生の振り返りを受けて、T先生からのコメントです。

 

振り返りの最後の分析は非常に鋭くかつ、
この症例の本質をついているように思います。

この※1の部分で、もっと目いっぱい一緒に喜んであげたらよかったかも、
とも感じました。そして、えらいなあ、立派だなあ、良かったなあ、
とアファーミング(是認)しつつ喜びを共有する。

そしていい気持を一緒に味わった後で、すこし顔を引き締めて、
一応、○○さんには当てはまらない、私の取り越し苦労だとは思いますが、
と前置きして、他の患者さんがどうなった知りたくないですか?と持ちかけて、
再喫煙の危険性について話をしていくかなあと。
常に、○○さんは大丈夫だとは思いますが、
再喫煙してしまう人も結構いるから、こうしたら、ああしたら、
あるいはこういう手もある、というように話していくと思います。

常に、ここまで来たら、再喫煙は嫌ですよね、
という部分に戻って進むととよいと思います。

そして、薬は飲まなくてもいいから、
通院だけはしていただく選択肢とか、
念のため処方だけはしておくとか、
とりあえず、飲み続けてもらって
飲み忘れてしまうようならそのまま止めるとか、
またほかに、リセット禁煙の読書療法をやってみるとか、
禁煙外来を続けるかどうか、という
二者択一ではない第三、第四の選択肢を示すのが
定石となるでしょう。

 

では、どうしたら良かったのでしょう。

次回は、このアドバイスを受けたミッキー先生が、
患者さんの言葉はそのままに、
MIでの理想のシナリオへの書き換えに
挑戦してくれましたので、そちらを紹介したいと思います。

みなさんも一緒に考えてみてくださいね。

from mimi


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