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ミネソタスタディ 飢餓と過食の関係

2012-05-22 12:38:46 | 感想文

ミネソタスタディの補足です。

 

ミネソタスタディとは、第二次世界大戦中に行われたヒトの半飢餓実験(Keys,1950)をまとめたものです。

この実験の目的は、戦争で低栄養に陥った人々のために効果的な治療法の開発で、

現在・過去ともに、心身ともに健康な男性(兵士)100人を募集し、そこからさらに36人を選んで行われました。

実験の方法としては、

食事のカロリーを半年間半分に制限し、その後、

食事制限を解除したうえで3か月間の栄養リハビリを行うというものです。

食事のカロリーを半年間半分に制限していく過程での変化としては、

・体重が平均25%減少

・食べ物のことばかり考える

・集中力の低下、無気力、抑うつ、いらいら

・精神病的症状、自己評価の低下

・食べ物を盗む、残飯あさりをする などが見られました。

一方、食事制限を解除したうえで3か月間の栄養リハビリを実施した過程での変化としては、

・コントロールできないむちゃ食いとむちゃ食い衝動

・食べ物への執着

が見られましたが、これらは、最長5か月続いたのち、回復していきました。

この研究から

・飢餓状態は、体だけではなく、精神にも大きな影響を与える

・無気力、いらいら、抑うつ、自己評価の低下なども、食事制限で生じる

・食事制限は、その後、もともと精神的に問題がない人に対しても、

 過食衝動とむちゃ食いを長期間にわたって引き起こす

ことがわかりました。

そして、摂食障害の人に現在起きている、いらいらや抑うつ、あるいは過食は、

これまでの食事制限のせいであって、

当人の意志の強さや気合いの問題とは言い切れない可能性があることが見えてきます。

 

そしてこの話を聞いた人から実際にいただいたシビアな質問です。

Q. そんなことわかったって、結局は食べたくなるから、食べ吐きは治らないと思うのですが…。

この質問を聞いて、まずはこの問題に悩んでいることを打ち明けてくれて、

話を聞いて質問をくださったことに感謝の気持ちを伝えました。

そのうえで、このように回答しました。

A. 確かにその通りかもしれません。

この研究の教えてくれることは、食事の制限により、過食が生まれやすくなるということだけです。

本当に残念なのですが、本書にできることはけして多くはありません。

そして、この先あなたが実際にどうするかは文字通りあなた次第なのです。

とはいえ、せめて、健康な選び抜かれた兵士たちでも、半年間の飢餓生活の後、

過食に悩まされ、回復までに最長5ヶ月間かかったと知ることで、

読者に「食べずにいれば、誰だってそうなることはあるんだ」という気持ちがめばえ、

心が少しでも軽くなればと願っています。

 

(図解でわかる 依存症のカラクリ より一部改変)


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