「起こりうる可能性のある偶発症」のうちのひとつ、最も恐れていた膵炎の重症化が起きてしまったのだ。
6月30日、1時半だった予定のERCPが早まり、点滴したり注射したりしてお昼にはストレッチャーに乗せられた。
前回のEUSでフラフラになった鎮静剤はこの時はなんともなく、外来棟地下のCT室の奥にある検査室へ入っても目をキョロキョロして観察したりして元気だった。
またカップに入ったバニラ味を飲み、口の中を麻痺させる液を注射器みたいなやつで喉の奥へスプレーされた。
ストレッチャーから検査台に移されると仰向けではなくうつ伏せに寝かされ、すぐに口枷が嵌められ麻酔薬が投与されると、3秒で落ちた。
どれくらい時間が経ったのか?ストレッチャーに移されたときはすでに激痛の真っ只中。
病室のベッドに移された時も呻き声をあげ息も絶え絶え、まだ麻酔が残っていたのだろう、気を失うように寝た。
痛みで再び意識を取り戻したのは3時過ぎ、検査後2時間はベッド上でまっ平のまま安静、その後ベッドを上げ下げしてもいいが一日中ベッド上で安静。
とはいえ、動ける元気など一欠片もない。
ということだが、耐え難いほどにオシッコがしたくなってナースに告げると、尿瓶を持ってきてくれたのはあの可愛いナース「クウアちゃん」。
「お手伝いしますね」
と言いながら布団をまくりズボンに手をかけようとしたので、
「じぶん、で、する」
と応えたのはほんの僅かなジジイの意地。
こんな可愛い娘に怯えて縮こまった愚息を晒すわけにはいかぬ・・・。
できたてホッカホッカのたっぷたぷの尿瓶をラックにかけホッとひと息どころか痛みを堪えての作業で、激痛は治るどころじゃなく激しさを増しているようで、痛み止めの点滴を投与してもらった。
しかし痛み止めは効いているのかどうかちっとも変化なく、まさにチェストバスターが腹を食い破って出てくる「エレン・リプリー」の悪夢が再現される。
冷や汗はダラダラ流れ、体温は8度ちかく、血圧は190を突破した。
その夜はほぼ眠れず、迎えた7月1日の朝も激痛は治らず、朝っぱらから痛み止め投与。
昨日は朦朧としていたので意識できなかったが、口の中と鼻の違和感に手をやれば、点滴のチューブよりも細いワイヤーみたいなものが体の中に入っているのが確認できた。
膵臓から膵液を吸い上げ、十二指腸、胃、咽喉を通って鼻から出てベッド脇に置かれた空気清浄機くらいの大きさの機械に繋げられていた。
これがウワサの鼻ホース、自撮りしようかとiPhoneに手を伸ばすが、両手に点滴が2つづつ繋がれた点滴祭りの状態を見て、ため息ついて諦めた。
相変わらず痛み止めはちっとも効かず、せめて鼻ホースは外せないのかと問うと、医者が来て脇の機械を確認して膵液の量が足りたのだろう、外すことになった。
どうやって抜くかって、そりゃ言わずと知れたこと。
ポコちゃんホースとおんなじ、体の中に入ったやつを引っ張ってズルリンゴと抜くだけさ😱
医者が機器からホースを外して巻き鼻のテープを剥がすと、
「それではいきますよ、力を抜いて」
と言うなり、ズル、ズルズル、ズルリとえも言われぬ体が震えるような気色悪さとともに、体の奥に入っていたホースが抜けた。
その全長50〜60センチ、コイツが体の中でチェストバスターさながらに蠢いて痛みを出していたのか⁉️
しかし鼻ホースが抜けてもスッキリはせず、痛みが治る気配はない。
で、痛み止めを筋肉注射に変えることになった。
これは効き目は点滴より強いが、腎臓に悪影響を及ぼすのであんまり使えないという。
コロナのワクチン注射と同じくらいの大きさで、痛みもコロナと同じ程度だともう2回接種を受けているナースが言う。
腕をまくってプチュ、液が入る時がやや痛いが、10分ほどすると痛みが和らいできた。
ああこれで寝れるとばかりに横になり、小一時間爆睡。
目を覚ますと車椅子に乗り、入院以来3回目の造影剤CTへ。
こんな短期間に何度も放射線浴び過ぎ、被曝しまくり、大丈夫なのか?
ひょっとして電装人間になっちまわないか、放射能Xになりはしまいかなどと余計なことを考えCTのドーナツの中へ出たり入ったり。
この日の検査数値、
アミラーゼはなんと1397に
急上昇⤴️それに伴ってリパーゼもCRPも⤴️
もはやため息しか出ない・・・。
7月2日もほぼ同じ、終日点滴、絶食、痛みの中で1日が過ぎた。
7月3日、激痛は治ったものの、腹の内側からグリグリされているような痛みが常にあったが、新しい抗生剤を投与されてしばらくすると少しラクになった。
お気に入りのナース「ミホちゃん」がおしえてくれた検査結果は、
な、な、なんと
アミラーゼが2000を突破したと‼︎
ゲゲゲ、上限値125に対して2000‼️
ゲロゲロの16倍だと
!(◎_◎;)
恐るべし我が膵炎、音読み聞いただけだと中華料理屋みたいだけれど、侮ってはいけない。
ベテランナースが
「こんな数値の人ひさしぶりに見たわ」
なんてウワサしたそうな。
そりゃ、痛えわけだ。
目眩してきた・・・。
7月4日も引き続き終日点滴祭り、絶食。
腹の中からのグリグリ痛みは相変わらず、せいぜい眠れて2時間だったからまぶたが重い。
ベッドから起き上がるのも苦痛、腰も痛くだるい。
ところがERCP以来なりを潜めていた腹の虫が盛大に鳴きはじめ、屁も出るようになった。
ひょっとしたら💩もでるかも、出せば少しはラクになるかもとしゃがんでみたら、これが出るんだな固形物が👀小ちゃなかりんとうみたいなやつが。
ようやく腹が活動しだしたのか?痛みが消えてくれるか?
担当医が頼りなさげなお姉ちゃん先生から、年の功なら三十路の終わりか四十路の初め、「米倉涼子」ほどではないがキリッとして背筋の伸びた良い女「マリコ先生」に変わった。
ハキハキとモノを言うできる女で、このポンコツの疑問に明瞭に答えてくれる。
曰く、膵臓のなかの嚢胞は、急性膵炎のために短期間に大きくなったもので、食べ物や薬が痛みの引き金になったのではないと。
入院前から何度か続いた激痛によりできたもので、痛みや炎症が治れば自然に消えることもあるらしい。
が、その水嚢胞に隠れるようにして見つかった黒い点が腫瘍だと言うのだ。
組織サンプルを取って詳しく分析しているが、結果はしばらく先になり、よほどのことがない限りは一度退院することになると言う。
しかしいろいろやっても分かるのはグレーな答えで、そのため東北大学のその道の権威の大先生にデータを送って判断を仰ぎたい、しかしそれでもグレーな結果になることもあるとのこと。
◉ グレーと言われてもそれを放置していいのか?
⬜︎ それは処置または手術をする必要がある。
◉ 処置・手術をするとしたら2週間程度で済むのか?
⬜︎ 最低一ヶ月は入院する必要がある。
◉ 退院後の結果待ちの期間にまた痛みが出る可能性は?
⬜︎ あり得る。その場合あまり我慢をせずにこちらにくること。
嗚呼、やはりコイツは一筋縄ではいかない代物なのか・・・、甘くみていた。
午後「マリコ先生」がチラッと言っていたことを思い出し、アイスノンを持ってきてもらった。
膵炎は温めるより冷やす方がラクになるということで、鳩尾から臍の下にかけてアイスノンを縦に置き冷やしてしばらくすると、鳩尾の周辺に散らばっていたグリグリ痛みが体の正中線に沿ってまとまってきたような気がし、少し痛みが和らいだ。
その後抗生剤を投与されてまた落ち着いて、夕方まで眠れた。
その晩、色付きのリアルな不条理な夢を何度もみた。
夜中に痛み止めを打ってもらい、寝たり起きたりを繰り返して早朝5時、入院18日目突入。
前回の入院日数を超えた。
が、痛みが消えている。
強く鳩尾を押すと痛いが、グリグリ痛みは消え去った。
だが、なんだかだるくスッキリせず、なによりも空腹感というか飢餓感が襲ってきて胸はハラハラして落ちつかず、ベッドから起き上がるのが辛い。
ナースに聞くと、膵炎で倦怠感は出るそうな。
しばらくはだるいかもしれないとのこと。
たが、気持ち悪くなるほどの飢餓感に何か口に入れたいと、かあちゃんから差し入れてもらったクールミント味の飴を舐め、水以外の味のついたものと思い自販機でアセロラドリンクを買った。
飲んだところでこの飢えが治まるはずもないが、少しはマシになり体重を計ったら49.4㎏‼︎
ついに49㎏台、女子の体重、小さいオジサンになりつつあるのか😨
「マリコ先生」がやってきて数値を告げる。
「アミリパは162の44に下がって、痛みもないようなので今日からエレンタールを始めましょう」
そう、それはそうにしかならないのよね、退院への通過儀礼エレンタールを避けて通るわけにはいかんのです。
了解です、喜んで拝飲いたしますですm(_ _)m
それにしても、点滴の大量投入と6日間の絶食で、あの
アミリパ2000が
(ってユンケル2000みたいな言い方やめれ)こんなに下がるもんだ。
でもこれからも引き続き気をつけなくてはならないのは経験済み、悪魔のエレンタールが3日間続き、重湯、粥と続いてようやく退院なのだから。
7月ももう諦めた。
まんぼうも続くらしいし、オリンピックでコロナがどうなるかわからんし、再再入院も今月中になるだろうし。
ため息と屁しかでやしない。
かあちゃんとは3日間音信不通になり、不安に駆られて病院に電話してきたとナースからおしえられた。
「マリコ先生」からもかあちゃんに電話して説明してもらい、その後やっと電話できて近況を伝えられた。
こんなしょうもないポンコツのブログを読んでくださる皆さま、ご心配、お待たせしました、オヤジまだ死んでません🙏
上記のような状態なので、数値が上がらず痛みが出なくて復食が早まれば、ひょっとしたら今週土曜日に退院できるか、しかし順当に考えると来週水曜日あたりになりそう、かな。
これからはマメに更新できる、と思います。
7月5日午後4時50分、ベッド上にて
初代 膵炎斎 腎臓 拝
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mogmas
キングジョー
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