ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Islands Forever with good old folks (1993) / Ohta-san

オータサンとは1953年に日本ウクレレ協会の発足に伴い銀座で出会った、というマイク山野氏との個人的な長年の交流により実現した録音盤。山野楽器(Yamano Music)からMike's Pocketというシリーズで1993年にCDリリースされた。録音は93年1月17日ホノルルにて。

本盤でオータサンの伴奏を務めるのは70年代に多くのオータサン名義のアルバムに参加していたFrancis Hookano(ビブラフォン)に加え、ベースのRobin Parazは、オータサンの覆面バンド「Poki-San & Friends」のアルバム(1974、後にオータサン名義で「Instrumental Hawaiian Favorites」としても再リリース)でベースを弾いていた他、アルバム「Hawaiian Musical Treasures (1980)」でもオータサンのバックをつとめた(両アルバムともFrancis Hookanoも参加)が、ベースのピッチが時折気になる箇所があり、この人は他の吹込みでも同様の傾向があるようだ。ライナーノーツによれば25年余に亘り幾つかのホテルを渡り歩いて共に演奏していた仲間との事で、そのせいか作品としてしっかりと作り込まれたレコーディングというより近しい仲間内でのリハーサルを雰囲気もそのままに記録したような音源のように聴こえる。一部の楽曲ではチープなリズムマシンが使れ、オータサンご自身も本当に正規にリリースされる作品として考えていたのか或いは私的なデモテープ録音のつもりだったのか微妙な所ではあるが、今となっては日本での再ブレイク直前に残された貴重な記録音源ともいえる。楽曲はハワイアンの有名曲をラウンジ・ジャズ風味でアレンジした演奏を中心とした構成で、或いはこのメンバーでのハワイのホテル・ラウンジ等における"営業"ライヴ用の演奏メニューであったのかもしれない。

1.Kuu Ipo I Ka He'e Pueone  
2.Hawaiian Wedding Song
3.Beyond The Reef
4.Kalua
5.In A Little Hula Heaven
6.Pili Ho'oipoipo
7.I'll Remember You
8.Waikiki
9.Waikoloa
10.E Maliu Mai

93年というとちょうどオータサンが日本のレコード会社と契約して日本"再"デビューを果たす前年の「空白期間」に当たり、一方でウクレレという楽器が再ブームの盛り上がりを見せる中でリリースされる機会を得た本音源では、正規盤らしからぬ私的なデモテープのような内容が却って興味をそそる、謎多き一枚



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