ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Hawaii's Greatest Instrumentalists (1971) / The New Hawaiian Band

ニュー・ハワイアン・バンド名義での1971年の録音。60年代末に立て続けにリリースされた二枚はアメリカ本土のメジャー大手Decca作品だったが、こちらはTrim Recordsというハワイ・ホノルルのレーベルからのリリース。しかし参加メンバーはほぼ同一で、以下の通り。

Ohta San - Ukulele
Benny Saks (aka Ben Sakamaki) - Vibraphone
Jimmy Kaopuiki - bass 
Atta Issacs - Slack Key Guitar (※)
Barney Issacs Jr. - Steel Guitar 
Pua Almeida - Guitar
Jerry Byrd - Steel Guitar (※)
Sonny Kaopuiki - guitarist

このうち本作には参加していて、一作目には名前が見られなかったのが(※)で記した二人。Jerryだけはアメリカ本土ナッシュビルのミュージシャンで、他はハワイのトップ・ミュージシャンという顔ぶれ。BarneyとAttaの二人は、「Poki-san & Friends」という名義による1974年リリースの覆面バンド作品でもオータサンと再共演しているが、それぞれハワイを代表するスティールギター、スラッキーギターの名手。プロデュースとアレンジはCharles "Bud" Dantが本作でも引き続き担当しており、正当なシリーズ続編(再会セッション)と位置付けられるだろう。

アルバムの構成を見てみると、本作の売りのひとつであったろうJerryとBarneyの二人によるスティール・ギター・デュオが4曲(1,4,6,9)、オータサンのウクレレをフィーチャーした4曲(3,5,8,11)、Attaのスラッキーが4曲(2,7,10,12)の全12曲がオリジナルLPの体裁で、各スター・プレーヤーそれぞれをフィーチャーしたコンセプトになっている。オータサンがメインの4曲は普通のハワイアンに留まらないバリエーションを持たせたアレンジで、自作の1曲も含めていつものオータサンのウクレレのレコードと遜色ない出来映え。

1.Ke Kali Nei Au    
2.Medley (Maikai Makani - Kui Au)
3.Chotto Matte Kudasai  ハワイ・ローカルヒットを得意のボッサ風にアレンジ
4.Analani E'
5.Kaulana O Hilo Hanakahi  フラでもお馴染みのハワイアン・ソングをスイング風のリズムで。終盤はオータサンのウクレレがアドリブで盛り上げる。
6.Beautiful Kahana
7.Green Rose Hula
8.Ebb Tide 70年代によく演奏していた「引き潮」、昭和ムードの情感たっぷり
9.Lei Aloha, Lei Makamae (Forevermore)
10.Haole Hula
11.Red Hibiscus  トレモロ単音弾きでのメロディーが印象的なオータサンのオリジナル曲。
12.Kekapu (Love Song)
13.Night Time
14.Across The Sean
15.I Don't Mind

なお最後の3曲は1992年のCD化に際して追加されたボーナストラックで、ハワイの歌手Nohelani Cyprianoによる1978年録音のEPのための伴奏トラック(歌無しのカラオケ)。Jerry Byrdのスティールギターに加え、Peter MoonやHenry Kaponoなどの新世代(当時)のスタープレーヤー達も参加している。メンバーも録音時期も異なる為、この部分だけコンテンポラリーなハワイアンで、トラディショナルな本編とはサウンドが異なりミスマッチな印象だが、Jerry Byrdのスティールギターがお目当てのリスナーには嬉しい追加収録だろう。

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