鞆の浦訴訟原告団のウェブサイトに判決全文がアップされたようです。
本事案で原告は慣習排水権、漁業権、景観利益の3つを原告適格の根拠としていました。これらのうち原告らの漁業権については既に放棄されていると認定され、慣習排水権者は原告適格を有するものの行訴法37条の4第1項の「重大な損害」の要件を欠くとされ、景観利益を有する者のみ原告適格を有するとされました。
伊達火力発電所訴訟の最高裁判決(最判昭和60年12月17日判タ583号62頁)は本件と同じく公有水面埋立免許処分及び竣工認可処分について争われた事案ですが、最高裁は埋立地周辺の水面に漁業権を有する漁業権者の原告適格を否定しています。
仮に本件で漁業権が存在した場合にはどうなったでしょうか。伊達火力発電所訴訟の提起後に公有水面埋立法の改正があり、3条3項に利害関係者の意見書提出手続が新設され、4条1項2号・3号の免許基準に環境保全に配慮すべきことが定められたこと、さらには平成16年の行訴法改正で9条2項が追加されたことや判例が比較的広く原告適格を認める傾向にあること等を考慮するならば、裁判所は漁業権者にも原告適格を認める判断をしたかもしれません。
免許の違法性についても、本判決は県の判断の合理性についてかなりつっこんだ検討をしていて注目されます。
公有水面埋立法の関連法規に照らして、各種の権利を主張する原告に原告適格が認められるか。
原告適格を満たす者については37条の4第1項の「重大な損害」要件を満たすか。
訴訟要件を全て満たすとして、県の裁量判断に裁量権の逸脱濫用があるか。
(-ω-;)ウーン
行政法の試験にもってこいの素材な気がします。
今年の司法試験で原告適格が出てしまったので司法試験の素材にされることはないでしょうが、どこかのロースクールの定期試験くらいでは使われそうな気がします。
本事案で原告は慣習排水権、漁業権、景観利益の3つを原告適格の根拠としていました。これらのうち原告らの漁業権については既に放棄されていると認定され、慣習排水権者は原告適格を有するものの行訴法37条の4第1項の「重大な損害」の要件を欠くとされ、景観利益を有する者のみ原告適格を有するとされました。
伊達火力発電所訴訟の最高裁判決(最判昭和60年12月17日判タ583号62頁)は本件と同じく公有水面埋立免許処分及び竣工認可処分について争われた事案ですが、最高裁は埋立地周辺の水面に漁業権を有する漁業権者の原告適格を否定しています。
仮に本件で漁業権が存在した場合にはどうなったでしょうか。伊達火力発電所訴訟の提起後に公有水面埋立法の改正があり、3条3項に利害関係者の意見書提出手続が新設され、4条1項2号・3号の免許基準に環境保全に配慮すべきことが定められたこと、さらには平成16年の行訴法改正で9条2項が追加されたことや判例が比較的広く原告適格を認める傾向にあること等を考慮するならば、裁判所は漁業権者にも原告適格を認める判断をしたかもしれません。
免許の違法性についても、本判決は県の判断の合理性についてかなりつっこんだ検討をしていて注目されます。
公有水面埋立法の関連法規に照らして、各種の権利を主張する原告に原告適格が認められるか。
原告適格を満たす者については37条の4第1項の「重大な損害」要件を満たすか。
訴訟要件を全て満たすとして、県の裁量判断に裁量権の逸脱濫用があるか。
(-ω-;)ウーン
行政法の試験にもってこいの素材な気がします。
今年の司法試験で原告適格が出てしまったので司法試験の素材にされることはないでしょうが、どこかのロースクールの定期試験くらいでは使われそうな気がします。
ポニョの舞台・鞆の浦 工事差し止め判決 景観保護優先
本訴訟の原告訴訟代理人であられる日置雅晴先生が私の出身法科大学院にて都市環境に関する講義を担当されており、私は昨年度当該講義を受講しておりました。当該科目の中で本訴訟を題材にした講義が2回ほどあったのですが、ひときわ印象深い内容であったため本訴訟の行方には個人的に非常に注目しておりました。
日置先生は裁判長が原告の主張に理解があるようだとおっしゃっていていたのですが、勝訴判決には正直驚きました。この手の環境訴訟で住民側が勝つことってこれまではほとんどありませんでしたから。行政に対する裁判所の姿勢が変化してきたということでしょうか。
こちらで判決要旨や弁護団長の会見などがアップされています(ちなみに会見映像で弁護団長の右側に座っているのが日置先生です)。
弁護団長が述べられているように、本判決は本案で差止めを認容したという点や環境利益を根拠に住民の原告適格を認めた点など非常に画期的な内容を含む判決だと思います。
このような歴史的な判決を勝ち取られた弁護団の先生方は本当にすばらしい仕事をされたのだと思います。
弁護士になったならば一生に一度くらいはこのような歴史的な事件に携わってみたいですね。
本訴訟の原告訴訟代理人であられる日置雅晴先生が私の出身法科大学院にて都市環境に関する講義を担当されており、私は昨年度当該講義を受講しておりました。当該科目の中で本訴訟を題材にした講義が2回ほどあったのですが、ひときわ印象深い内容であったため本訴訟の行方には個人的に非常に注目しておりました。
日置先生は裁判長が原告の主張に理解があるようだとおっしゃっていていたのですが、勝訴判決には正直驚きました。この手の環境訴訟で住民側が勝つことってこれまではほとんどありませんでしたから。行政に対する裁判所の姿勢が変化してきたということでしょうか。
こちらで判決要旨や弁護団長の会見などがアップされています(ちなみに会見映像で弁護団長の右側に座っているのが日置先生です)。
弁護団長が述べられているように、本判決は本案で差止めを認容したという点や環境利益を根拠に住民の原告適格を認めた点など非常に画期的な内容を含む判決だと思います。
このような歴史的な判決を勝ち取られた弁護団の先生方は本当にすばらしい仕事をされたのだと思います。
弁護士になったならば一生に一度くらいはこのような歴史的な事件に携わってみたいですね。