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酒とサッカーと読書&節制の日々!

酒とサッカーと本をこよなく愛する者(タック)です。

「13階段」 著:高野和明

2008-04-18 20:49:50 | 
2001年の著書である。
第47回江戸川乱歩賞受賞作!

う~ん…良かったけれど、動機の部分にもう少しリアリティーが
あれば直木賞かもしれないと感じました。

アンチテーゼとしては、揺り動かされた…

人が人を裁く…死刑制度に対する強烈なアンチテーゼだ!!


素晴らしい本であると感じました。

戦場で心が壊れて 著:アレン・ネルソン

2006-11-30 22:02:01 | 
真実の叫びに心が動いた 日本の憲法9条の素晴らしさをこれほど正面から訴えかけられたことがなかった・・・衝撃だった! 気付いていなかった日本人としての自分が恥ずかしいと感じた。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)戦争の恐ろしさをストレートに表現している。 戦争は正義でも、ヒロイスティックでもない! 一部の資本家や政治家の利己的な活動への恭順だ。そして国家によるマインドコントロールであると感じた。

日本がアジア近隣諸国に対して行ってきた行為を、正面から受け止めることでしかしょうか反省できないことを訴えかけられる内容に震撼した。日本国家がPTSDとの指摘は的確であると反省仕切りである・・・

人間が戦争に向かう真理・・・ 人が人を殺すことの心理・・・ 自分を見失ってはいけないのだ! アイヒマンではないが、自分で望んでいることの恐怖を感じた!

短編でストレートな本は多くの人に読んで頂きたいと感じました。

名もなき毒 著:宮部みゆき

2006-11-22 10:13:27 | 
タイトルにそぐわない?? ファンタスティックな表装だ。内容も比例して中々に強烈でヘビーである。

宮部みゆき氏は実に上手い!約500ページをほとんど一気に読み終えてしまった。人間社会の中に潜んでいる”毒” その恐ろしさは、本人が主体的に意識していないところにある。相手の境遇を、自分の境遇と比べ一方的に嫉み・怨む ・・・自分のコントロールできない部分での展開は実に恐ろしい恐怖だ! 

具体的に理解できない理由や行動は”真の恐怖”である。この本を読んでいて感じた・・・ 罪のない意識の罪 ・ 相対的な怒り 個人の力や社会で上手くコントロールできない、大きな矛盾 であり 人間という自我を持った存在の宿命 であると感じた。

数学的にありえない 著:アダム・ファウアー

2006-11-14 20:54:43 | 
人間は知らないことを知ることは大好きである。まして、日常的に関わりの少ない統計学や確立・・・量子物理学にいたっては”耳にしたことさえ危うい・・・

これら、想像することも危うい知識を分りやすい言葉と比喩で読者に理解させてくれる。実に知的好奇心を満足させてくれる本でありました。

上下2巻だが、エンターテイメント性を抜きにしても知的好奇心は満足させられました。

ブルー・ローズ(上下) 著:馳星周

2006-11-06 11:36:23 | 
警察組織の腐敗構造・・・その中での権力闘争に元警察官が巻き込まれてゆく!
警察組織に限らず、どのような組織においても同じようなことは起きているのではないだろうか?権力を手に入れるために、正義が曲げられる! 

正しいことが是とされる国家権力の象徴である”警察”だけに内部の権力闘争の非合法性は際立つ!

馳星周独特のデフォルメで表現されてゆく・・・精神的な歪みの象徴でもあるSMの世界とシンクロしながら物語は進行してゆく。しかし、下巻に入ってゆくあたりからはリアリティーを失ってゆく!

以前からのノワールの世界との落差は大きい。大陸系の暴力とは日本社会はまだかけ離れていると感じてしまう。
残念ながら今回の作品では衝撃を受けませんでした。

夜のジンファンデル 著:篠田節子

2006-10-29 22:11:26 | 
篠田節子は上手い! 6本の短編集で、それぞれ特殊な形で”男女の関係”を描いている。特殊といっても、「事実は小説より奇なり・・・」である。

もしや現実にありそうな・・・もしかしたら現実の方がどろどろしていたりして

タイトルの「夜のジンファンデル」は、逆もまた真なり・・・あまりにも美しくドラマティックで感動しました。

6本全ての短編が楽しめました。

愚行録 著:貫井徳郎

2006-10-04 09:06:16 | 
人間は愚かである。
まさにそう感じた。

チョッと類似の実話・・・(犯人もつかまっていない)があったような??
平凡?いや周囲からは恵まれていると思われている一家の惨殺事件から話は始まる。この事件を通して関係者にインタビューしていく過程で、人間の愚かさが露呈する。

皆自分を”賢い”と感じているが、話している過程で本音がポロポロ・・・その内容が実に愚かだ。しかし、現実にありそうなので笑ってしまった。自分だけはと思っているが、周囲は皆気付いている!! 実に愚かだ!

人間の本質 なのでしょうか?周囲との関係性の中で生きてゆくしかない人間にとっての性なのかも知れない?人里離れた山奥で・・・なんてなかなか出来ないものだもの・・・

転落 著:永嶋恵美

2006-09-18 20:21:39 | 
構成が最高に上手いと感じた。最後まで全く結末が想像もできなかった。ちりばめられたエピソードが実にリアル・・・恐ろしいほどにリアルである。病院の内情や警察の現状など全てにリアリズムを感じてしまった。

集中して読み込める本です。お勧めである! いや~感激した。

吐きたいほど愛してる 著:新堂冬樹

2006-09-07 15:19:50 | 
なんだか不快さに笑ってしまいました。「愛の形も色々」なのでしょうが、まあこんな形もありそうな・・・??

人間は不思議なもので、この4パターンはなさそうだが、きっと”事実は小説より・・・”ってことでもっと派手なものもきっとあるのだと思う。精神病の責任だけにするのではなく、自尊心って言うのはデフォルメするとこんな形になるのかもしれない??

底なし沼 著:新堂冬樹

2006-09-06 11:36:28 | 
借金地獄・・・サラ金なんて生温いものじゃなく”街金”とてつもない金利に、情け容赦のない取立て! 借りた金を返すのは当たり前だが、それは常識の世界の話で、追い込みの苦しさに苦し紛れで”街金”に手を出す。

それが”底なし沼”への入り口!! 債権の二重取りもぞっとしたけれど、チョッと未知を踏み外せば誰でも踏み入れそうな世界! 

人間の欲深さと自己保身、やくざの世界の”他者を信じない裏切りの世界”は背筋がぞっとするほどの世界だ。誰も信じられないし、誰も信じていない。恐怖と張ったりだけで成り立っている世界。生易しい世界でないと感じた。

お金を稼ぐということは、ただ事じゃないと感じた。

踊る天使 著:永瀬隼介

2006-09-01 19:32:45 | 
ちょうど今日読み終わったら、新聞に記事を見た。

『5年前の悲劇千羽鶴で悼む』 もう5年前になった新宿区歌舞伎町「明星56ビル」火災についてだ。不思議な偶然を感じた

『踊る天使』は、たぶん現実のこの記事の火災からの発想だろう?

歌舞伎町火災の現実は知らない! 事実は小説より・・・って言うから、もっと恐ろしいことが起きていたのかも知れない。 ただ「踊る天使」はバブル前後の日本の社会情勢を巧く反映していると感じた。永瀬氏の本は2冊目であるが、又読んでみたいと感じる。

去りゆく者への祈り 著:永瀬隼介

2006-08-06 10:00:26 | 
ノワール小説 リズム感のある文章で一気に読破しました。 ベタだが馳星周を思い起こさせた。国際政治の舞台裏まで描き”然も有りなん”と思った。

政府ODAを食い物にする与党大物政治家、そして中国の暗黒社会…実にリアルだ。 そして中国の現状! 虐げられ搾取され続ける姿は現代の日本の社会情勢では想像できない部分だ。しかし、これも一つの現実なのだろう?

中国からの犯罪者が、日本に密入国してきて破れかぶれで凶悪犯罪を起こす…これもリアルな話だと寒々しく感じた。 表になかなか表れることのない裏(闇)の世界を知ることは、ある意味で本物の世界を知ることだと感じる。

ダ・ヴィンチ・コード 著:ダン・ブラウン

2006-06-20 22:55:40 | 
なんとなく乗り遅れていたのでタイミングが微妙だったけれど、ついに読みました。

連日ワールドカップでサッカー三昧の隙を突いて読破しました。

巧妙に練られたミステリーの謎解きは、流石に話題となっているだけあると感心した。

宗教に関するスタンスが理解しがたい部分は仕方ないとして、いろんな薀蓄を読んでいて楽しかった。

この手の本でいつも感じることだが、知識量と取材の苦労に頭が下がってしまう。

チームバチスタの栄光 著:海堂尊

2006-05-25 22:39:42 | 
『このミステリーがすごい!』大賞受賞作です。有名な話か・・・?
結論から言うと、面白かった。ミステリーの持ち味であるスピード感も抜群で、登場人物もそれぞれが印象的に設定され個性抜群!エンターテイメントしてると思いました。

大学病院の実態やオペ室の状況、なかなかリアルです。厚生労働省の役人の設定が結構無理があるけど、そこが面白くて旧態依然とした大学病院システムをバッサリ斬ってゆくのが実に痛快でした。

保身を第一に考えがちな中で、登場するDrが素敵に描かれていた。ミステリーの設定的には本当に盲点だと感じた。主人公の役人がインタビューしながらズバズバ斬ってゆく様が癖になりそうで、連作を期待してしまいます。

久しぶりに読書をした感じでしたが、有意義でした。