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どんこの空(そら)に 。

きっと何かが足りない~それを探す日記~

山奥の夜と朝。

2016-10-20 | Sandstorm



山奥の一軒宿。
煙草を吸いに外に出る。
冷たい空気。
月明かりに照らされる山の稜線。
真っ暗な世界にひとつ。
宿の明かりは生きる灯火。
どこへも行けない。
何もできない。
ひとり。
暖かさも明るさもありがたくいただく。
集まってたかる夜の虫たち。
自分もそのひとつ。
今夜ここから足を踏み出し、
足下すら覚束ない真っ暗な世界に足を踏み出したら
自分は一晩中畏れに苛まれるだろう。
生きたいという欲求に。
月を見上げて
幾星霜の先人を想う。
静かだ。
穏やかだ。
ありがたい。
生きるのに不自由のない場所がある。
すこし躰が冷えて
すこし震える。
心。
温かい布団に帰ろうと思った。
火を消す。
部屋に帰る。
今日の寝床に。
朝が来るまで。
眠る。
朝とは何か改めて気付いた。
朝とは
陽が昇ること。
そこで目を覚ますこと。
静かで
穏やかで
ありがたい。
朝。
やがて光は
例えようもなく美しい
金色と朱の秋を照らし讃えていた。
あたたかい朝。






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