蟷螂亭日記

「蟷螂の斧」という言葉は、弱き者が抵抗するという意味であるが、たとえ無駄であっも抵抗しなければならないこともあると思う。

地震予知失敗と過失致傷罪

2012年10月30日 10時41分18秒 | 日記
・イタリア中部ラクイラ大地震の発生を「可能性が薄い」とそのリスクを過少評価したイタリアの地震学者たち7人が過失致傷罪に問われた事件で、イタリアの裁判所は地震学者の判断に基づく直前の「安全宣言」が犠牲の拡大を招いた(大地震では309人が死亡)として禁錮6年の実刑判決を言い渡した。この判決が各国の地震学者に波紋を起こしている。

・日本においても、日本地震学会の加藤照之会長が「強い懸念を感じる」などとしてこの判決を批判する声明を出した。その理由として、日本でも地震研究者が国や自治体の防災行政に関わっており、「意見表明が刑事責任をもたらす恐れがあれば、研究者は自由にものが言えなくなるか、科学的根拠を欠く意見を表明することになりかねない」と指摘し、「長期的に見れば、科学的根拠が不十分な防災対策につながり、社会にとっても大きな損失になる」としている。

・確かに、科学者が己の研究を自由に発表できなくなるような環境は科学の発展を阻害することとなり、これは絶対に避けるべきことだろう。だが、イタリアの事例はこれとは異っている。地震の前兆現象らしきものが確認され、これが大地震につながるかどうか、行政が現実的な判断を行う場面で地震学者たちは政策的に関与したのであり、彼らの判断により安全宣言という政治判断がなされたことに対して、当然ながら、その結果責任は問われるべきものだ。特に、リスクを過少評価することは、余程確実な根拠がないかぎり出すべきではなく、そんな根拠がないままに安易な判断を行った責任は逃れることができないだろう。

・それでは日本の場合はどうだろう。イタリアの「起きないだろう」という例とは逆の「起きる可能性がある」という形であるが、それを根拠にして国や自治体などの防災対策が立てられているという意味では、即ち、現実的な政策関与という面で似通っている。要は、日本の地震学者がどの程度まで実際の政策に関与しているのかが問題なのであって、その関与の度合いによって、発表した見解に対しての責任が生ずるということだ。

・こうした観点から今の日本における地震の予知なり予想を評価すると、過去の地震の実績から導きだした単純な確立論以上のものではない。「昔大きな地震があったのだから今また起こるかもしれない。災害は忘れた頃にやってくるというから気を付けよう。」という素人判断となんぼも変わらないということだ。そんなあやふやな根拠しか持たない彼らの見解が、防災対策等の実際の行政場面で使われることについて、彼らはその未熟さについて注釈をし、あくまで見解を実際に活用するのは行政の責任において実施すべきとコメントしたことはない。かえって、行政と一緒になって地震への不安を煽り立てているというのが現状だ。

・彼らにすれば、起こるか起こらないか解らない地震について起こる可能性が高いと言っておけば、実際に起これば当たったと言えるし、当たらなくても防災対策を実施しておけば安心が得られるという論理で何時でも逃げを打つことができるのである。これは無責任としか言いようはない。

・日本の地震学者のこうした無責任なハッタリは、国や自治体から地震に関する研究費を引き出すための意地汚いパフォーマンス以外の何者でもない。そして、彼らのパフォーマンスを許しているのは、これを利用して庶民を誑かそうとする政治家たちの醜い姿勢である。だから、日本の地震学者も、実際の行政場面に深く関わっているのだから、その見解に対する社会的な責任を負わねばならないことは言うまでもないのである。

・だが、地震が起こる可能性ばかりを指摘する彼らに責任を取らせることができるのか。それはできる。地震が起こる可能性を指摘しておくことに重点を置いているならば、当然ながら東日本大震災の発生についてもその可能性を指摘すべきであったにも関わらずそれが出来なかったことに対する責任を彼らは負わねばならない。そんな責任について何の反省もせずに相変わらずアチコチで大地震の被害を誇大に喧伝している彼らの無責任ぶりは許しがたいと思う。

・日本の国民も、イタリアの地震学者の過失傷害罪事件をきっかけにして、もっと日本の地震学者の世迷言に対して厳しい眼を向ける必要があるだろう。

中国が揺れている!

2012年10月29日 01時46分10秒 | 日記
・11月の共産党大会を前に中国が揺れている。まず最初に、温家宝首相の不正蓄財がニューヨークタイムスにすっぱ抜かれた。首相就任後、約2100億円の資産を温一族が形成したというもので、真偽のほどは確かではないが、まっ、おそらくは当たらずとも遠からずといったところだろう。

・早速、温一族の代理人(弁護士)が全面否定の声明を出しているが、こんな声明こそ信用できない。それはともかくとして、注目すべきは、外国報道機関からとはいえ、中国の首脳部、それも中枢部のスキャンダルが出たことだ。3月に失脚した薄煕来側からの報復とのうわさもあるが、こうしたことも含めて、今後の党人事に関して内部で大揉めに揉めているということだろう。組織というのは、いつでもそうであるが、目標や方針が見失われ、停滞に陥ると必ず人事で揉めることになり、その結果、醜い争いが起こるものである。温家宝首相のスキャンダルはその発端となる出来事のように思う。

・次に、中国浙江省寧波市で毒性が高いパラキシレンの生産を行う化学工場の建設に反対する住民の抗議活動が1週間ほど続いていたが、寧波市当局が住民の要求を受け入れ、工場建設計画の撤回を発表したとの報道があった。これも間近に迫った党大会を無事に迎えられるよう、住民を宥め賺すための措置のようだ。

・工場建設に対する住民の抗議活動は、健康被害防止のために行われたものだが、市政府が環境保護などに約460億円を投入するなどの対策を発表し、「最も厳しい排出基準をとっている」として理解を求めたにもかかわらず、住民は受け入れを拒否した。また、デモを鎮圧すべく警察側が催涙弾使用など行い10人以上を負傷させ、多数の身柄も拘束したが、住民の反発は止まず約5000人の大規模なデモなどが繰り広げられたという。

・こうした高まる住民の権利意識は、単なる権利闘争だけでなく、次第に共産党政府への不満や批判となって現れてきている。今回のデモにおいても、一部から「市長は辞めろ」などの要求も出ており、ツィッターには「市長の腕時計は165万円もする。共産党は腐っている」などの声が次々と書き込まれたという。

・こうした事例ばかりではない。中国では年間数千件の暴動が起こっているというし、尖閣諸島をめぐる反日デモも結局は反日とは無関係に暴徒化している。私たち日本人は、中国のこうした動きを冷静に見ておく必要がある。おそらくは、今後の中国経済の停滞により、中国民衆の不満と共産党政府への批判は更に活発化するだろうし、政府がいくら抑え込もうとしても、この流れは止められないように思う。

・今後、こうした政治的な混乱の中で、中国政府や中国人民がどう動いていくのか、日本政府と日本国民はよくよく見定め、対応を誤らぬようにしなければならないと思う。

石原都知事の第3極大連合論

2012年10月28日 02時07分12秒 | 日記
・石原都知事が最後の記者会見で、次期衆院選に向け、新党「日本維新の会」や「みんなの党」などの第3極で政策に多少の違いがあっても連携すべきだと主張し、これに対して与野党幹部から「野合だ」などと一斉に批判が出たという。

・昨日も石原さんの決断について触れたが、やはりそのインパクトは強かったとみえる。石原さんは、大連合について、明治維新を例に挙げ、薩長も互いに戦争していたにもかかわらず、日本近代化のために連合したのだからこまかな違いを気にしていてもしょうがないと、大胆にかつ解りやすく表現した。なるほど、日本の有り様を根本から変えるというなら、それもありで、説得力を持つ。

・そんな大袈裟に考えなくとも、今の民主党政権の無為無策による政治停滞を打開するという意味でも、こうした連携(連合)も意味があり、有効であると考える。こんな連合を組まれたら困ってしまう既成政党の幹部たちが一斉に反発するのは、彼らの焦りの裏返しなのだろう。

・特に、民主党にとっては、そんな連合を組まれたら、ただでさえ不利な状況であるのに、もう党自体が壊れてしまう危機に陥ることになるので、見境のない批判を展開している。前原国家戦略相は「全く別々の考えの人が選挙対策で『大同』と言うのは、国民をバカにした野合だ。基本政策は一致しないと、選挙互助会を広げるだけだ」と批判しているが、この発言自体がそのまま今の民主党の有り様を批判していることになり、語るに落ちたとはこのことだ。前原発言のうち、「選挙対策で」を「政権維持のために」に置き換えてみれば、民主党の野合ぶりが解るというものだ。

・民主党よ、もう観念して国民の信を問え。そして選挙で大惨敗して、似非政党である民主党を壊せ。国民は、鳩山-菅-野田と続く無能力で恥知らずの政権から永遠に別れたいと切に願っているのだから。君たちは日本の歴史の汚点であり、二度と復活してはいけないのだ。

石原都知事の辞職と国政復帰

2012年10月27日 02時05分33秒 | 日記
・25日に石原都知事は臨時の記者会見を開き、都知事を辞職することを表明するとともに新党結成と国政復帰を宣言した。80才の爺さんが今更何を!と言いたいところだが、本人はいたく元気で張り切っているし、さすがに人気は衰えてはおらず、その反響は大きい。

・衆議院選挙が間近に予想されるなかで、早くも各政党の間に「石原新党」への期待と警戒が強まっている。「立ち上がれ日本」は喜び勇んで新党への合流を表明し、「日本維新の会」も、若干の政策の違いはあるにしても、人気が落ち込む中で、石原新党との連携に期待をかけているところだろう。「自民党」は同じ保守として静観しているが、ヒステリックに反発しているのが「民主党」である。「都知事を放り出して無責任だ。」、「国のトップになったら言動に問題がある。」、「暴走老人だ。」など、悪態の限りを吐くしている。

・まー、「民主党」はそれだけ「石原新党」の結成に危惧を抱いているのだろう。うわさでは既に民主党議員が「石原新党」への鞍替えを模索しているみたいだし、いざ衆議院選挙ともなれば関東地域での得票の不利が目に見えているからだ。「民主党」なんて党は、石原さんが出ようが出まいが、既に大多数の国民からは愛想尽かしをされているのだから、今更警戒したところで何の意味もないが、未練がましく悪あがきをしているのだろう。

・それはともかく、世上では、石原さんは反民主・反自民を旗印にしていわゆる第三極の結集を図るとされているが、私の見たところでは、どうもそうではなく、衆議院選挙は第三極として戦い、選挙後には「自民党」との保守合同を行う意図をもって動いているように思える。彼は記者会見で「最後のご奉公」と言っているが、それは保守党の単独安定政権を築くための捨て石となることを意味しているのだと思う。

・このことは、自らを「トンネルを掘る削岩機の一番銛みたいなもの」とたとえ、「トンネルが開いて、風が吹き込んでくればそれでいい。開通式やテープカットに出ることはない。それが私の宿命だと思っている」と述べたことからも解る。そして、彼とともに橋下大阪市長もそんなイメージを持っているような気がする。彼ら二人の言動を見ていると、協力して安定的な保守政権を成立させるところまでがんばり、それ以後は政治から手をひくような気がする。

・石原さんが、80才の高齢で国政復帰する理由はそんなところにあり、短期決戦しか考えていないのだろうと思う。私としては、そんな石原さんの決断を潔しとして高く評価したい。

TBSは報道機関としてまともなのか?

2012年10月26日 01時21分17秒 | 日記
・TBSという会社は余程お粗末な会社らしい。例の尼崎連続死体遺棄事件の報道で使用した被告の顔写真を間違えて、事件とは無関係の女性の写真を使用したというのだ。それも20~23日の複数の番組で使用し、その間何も気づかなかったというから恐れ入る。TBSは25日にやっとそのことが解り発表し、謝罪したが、誤認の経緯については「取材に関わることなので言えない」とふざけたことを言っている。

・そもそも正確な取材をしてこそ、その情報源を明かさないという理屈が成り立つのであるが、この馬鹿会社はまともな取材もせず誤認報道をしておきながら、その出鱈目な取材の経緯を明かさないなんて屁理屈を捏ねている。これでは何時までたっても出鱈目な取材は改善されず、相変わらずの誤認報道が続くことになる。

・TBSは、この誤認を生じさせる元となった出鱈目な取材をした記者名を明らかにするとともに、そのチェックを怠った上司(編集者)名を明らかにして、これらの者の無責任な取り組み内容(情報源まで明かせとは言わない)を明らかにすべきだ。そして厳正に処分し、それも公表すべきである。

・TBSの失態はこればかりではない。先日も触れたが「報道特集」では腐れ左翼の事実を歪めた情報を流すし、ニュース番組である「Nスタ」はろくな取材もせず、昼間のワイドショーで使ったネタを焼き直して垂れ流すし、報道機関としての資格がないように思う。私はTBSの内情というものを知らないが、余程金に困っているのだろう。不人気でCM料金もまともに入らず、節約のためにお粗末な人間しか集まらず、そんな人間たちが無責任にいい加減な取材をして、視聴者に不正確な情報を垂れ流す、そんな姿が垣間見えてくるのである。

・こんなどうでもいいような会社がどうなろうと私には興味はないが、そんな会社が大手のテレビメディアとして今も蔓延り、国民を欺いているこだけは許せない。

展望なき中国の愚行-中国海洋監視船の領海侵入

2012年10月25日 11時27分59秒 | 日記
・中国という国は共産党の一党独裁であるから一枚岩の政策が推進されていると思っている人が多いと思う。だが、実態を見れば、軍部と行政、中央と地方等、立場の異なるスターリニスト官僚どもの自己保身のための思惑の違いから、一枚岩どころかアチコチに政策の乱れを生じている。

・その良い例が、尖閣諸島近辺での中国公船の接続海域での航行や領海侵入行為である。まるで定期便のように、今日も、尖閣諸島・南小島沖の領海に中国の海洋監視船「海監」4隻が侵入したという。こうした行為が愚かしいことだとは中国も解っていると思うが、そうであっても、それが制御できなくて、闇雲に、当てもなく、尖閣諸島沖を彷徨っているのである。

・尖閣諸島を巡る日中のトラブルについては、拳を振り上げたものの自国に不利であることに思い至った中国首脳部は今なんとか事を収めたいと願っているに違いない。何故かと言えば、日中との間で経済関係が冷え込むことは、自国への投資が減少し、経済発展が阻害されるだけでなく、狂った歯車が一挙に経済破綻を起こしかねないし、これまでの民衆の不満が一挙に爆発し、政治的な混乱を引き起こしかねないからだ。

・おそらくは軍部の強硬姿勢を抑えきれずにこんな事態を続けているのだろうが、ますます自国が窮地に追い込まれることを知っているのだろうか。おそらく知っていながら、制御できないでいるのだろう。これは単に行政当局だけでなく、軍部であってもご同様であり、自己保身だけを考え無責任な振舞いしかできない共産党幹部のスターリニスト官僚としての体質がそうさせているのだろうと思う。

・こんなことを見ていると、中国という国は、もう一度大混乱を経験しないと立ち直り出来ない事態に至るのではないかと危惧する。中国人民は、もっと自覚的に、おのれの民主化要求というものを正直に表現するべきだろう。こんな馬鹿げた政府に何時までついていくのだろうか。

男女平等度ランキング-日本は101位

2012年10月24日 13時51分05秒 | 日記
・世界経済フォーラムが24日に発表した国別男女平等度ランキングで日本は101位と前年の98位から3位後退したという。普段から女性にはやさしくしている日本の男としては何か随分と低い位置のように思えるのだが・・・。

・このランキングは、あくまで男女平等に関する調査に基づくものであって、雇用機会・賃金、学歴、健康・長寿、政治参加の4分野での性別格差が少ない方が上位にランク付けされることになっているから、まっ、男女の賃金格差や社会的地位の占有率の低さなどの日本の実情を考えればやむを得ないところであろうか。ただ、もし女性の国別幸せ度ランキングがあるとすれば日本の女性が上位にランクされるだろうことを期待するばかりである。

・私に言わせれば、なんでもかんでも男女平等が良いという価値観はおかしいのであって、性差に伴う役割分担の違いは当然あるんだろうと思う。特に、子を産み育てる場面での3歳頃までの母親の役割は決定的なものがあると思っている。そうした役割分担の違いを踏まえて、あえて性差を乗り越えた形で男女平等を主張し行動するのは、それは個々人の自由であり、今の日本には、そうした選択を自由にするための制度が曲がりなりにも整備されていると言ってよいと思う。

・それにもかかわらず、日本の女性が男女平等ランキングにおいて低位に置かれているというのは、彼女らの大多数が専業主婦を理想とし、個人として独立して社会と対峙することを拒絶しているのではないか。私の仕事経験から言っても、女性のうちには男を上回る能力と意欲があって、バリバリ仕事をする人間は一部にいるが、大多数は依存心が強く一定レベル以上の仕事を望まず、単独で仕事を任かせられない人間であるように思う。

・男でも女でも自立し生きていくのは大変厳しいものである。女性が家庭を中心に生きていくか社会で揉まれて生きていくか、それはそれぞれの自由であるが、家庭中心に生きていくことも、それはそれで苦労も多く、それを選択しりっぱにこなす事も大いに尊重されるべきことだ。

・それを田嶋陽子のような馬鹿な女が訳の解らぬフェニミズムを主張し、日本の女性が言われなき差別を受けているように喧伝するのは百害あって一利無しであって、女性を益々馬鹿で無責任で我が儘な存在にしてしまうようなことになっていると思う。韓国アイドルを追っかける馬鹿な中年女、子育てを放棄してパチンコにうつつを抜かす女、欲求不満を児童虐待に転化する女、あげればキリがないが、日本の女の質が下がっているいることは確かだ。日本の女性は、現実をしっかりと見据えて、どんな選択をしようと構わないが、自分の人生をしっかりと責任を持って生きてもらいたいと思う。

TBS「報道特集」の偏向報道

2012年10月22日 01時43分09秒 | 日記
・10月20日のTBS「報道特集」を見ていて、視聴者を騙ますような歪んだ放送内容に呆れるとともにその酷さに腹がたった。それは「特集」として先の戦争による混乱の中で北朝鮮に埋葬せざるをえなかった日本人の遺骨が未だに放置されている現状を報じた上で、今回、遺族が北朝鮮を訪れて遺骨を埋葬された地に墓参を行ったことをエピソードを交えて放送したものだが、その内容は北朝鮮政府の宣伝工作をそのまま流したような偏向ぶりであった。

・少し具体的に言えば、放送では直接的に北朝鮮を擁護するようなことは言っていない。ただ、日本人遺族が墓参するのを素直に受け入れ、手厚くもてなし、遺骨のあるところを掘ってみせるなど、暗に北朝鮮が人道的な立場から積極的に協力しているような姿を見せているだけだ。そして、北朝鮮を訪問して涙を流す遺族の映像を流し、更に、高齢で訪問できなかった遺族のために思い出の小石(埋葬された地の小石)を持ち帰り、それを遺族にわたすシーンでまた涙を流すといったエピソードを加え、この墓参が如何に遺族の願いに合致したものであるかを強調しているだけである。

・一見ヒューマニズムに則っとり、先の戦争が残した遺骨問題を鋭く抉った感動的なレポートのように思えるが、実はそうではない。巧妙に仕組まれた北朝鮮の情宣放送とでも言えるくらいに、北朝鮮政府を擁護するという隠された意図のもとに作られたレポートである。

・そのひとつは、北朝鮮に残された日本人遺骨の保全や墓参団の受け入れについて北朝鮮政府があくまで協力的に行っていることを映像を通して暗に訴えていることだ。だが、北朝鮮政府はいつでもそうであるが、何事かを日本に働きかける場合、明確な政治的な意図をもって行っており、今回の遺骨訪問団の受け入れも当然ながら或る政治的な意図の下で行われていることが明々白々であるにもかかわらず、放送ではそのことに一切触れていない。いや触れていないというよりも、北朝鮮政府を擁護するために避けているといったほうが正確であろう。

・次は、日本人遺族の悲しみを利用した形で北朝鮮を擁護しようとする、いささか芝居がかった演出である。私も、未だに北朝鮮に遺骨を残している遺族の悲しみを理解するが、その悲しみなり墓参の希望を出汁にして、「小石」までも小道具に仕立て、墓参の有難味を強調するお涙頂戴式の三文芝居みたいな演出は見るに耐えなかった。こんな演出までして、北朝鮮政府の有難味を強調したいのだろうか。(放送する側はヤラセではないと言うかもしれないが、私には遺族や役員の発言が芝居の科白のようにぎこちなく聞こえた。)

・そして、最後にもっとも大きな問題は、北朝鮮を擁護するために対北朝鮮の関係で忘れてはならない拉致問題について、放送では一切触れられていないことだ。普段、正義派ジャーナリストを気取っている日下部や金平が北朝鮮の拉致という国家犯罪を意図的に見逃して、北朝鮮の墓参への協力だけを肯定的に報じているのはおかしいではないか。まともなジャーナリストならば、北朝鮮が拉致問題を隠蔽するために墓参への協力姿勢を示していることを見抜くのはいとも容易いことで、それを承知しながら拉致問題に触れないのは彼らが北朝鮮を擁護する立場に立っているとしか言いようがないではないか。

・日下部や金平について私はよく知らない。まっ、しかし、その言動をみれば、どうせ社民系か日共系の腐れ左翼に違いないと思うが、それにしても昔のよしみで北朝鮮を擁護しようというのは余りに時代錯誤の認識であり、余りに売国的な姿勢でありすぎる。個人の思想というのはそれぞれ違っているのだから、彼らが正々堂々と北朝鮮を擁護するのなら、それはそれで彼らの主張として受け取ることができるが、今回のように、そんな意図を隠して大衆を騙すような陰湿な形で北朝鮮擁護を行うようなやり口はジャーナリストの風上にもおけない詐欺的な行為であるとしか言いようがない。また、彼らとともにこんな悪質な報道を流すTBSという会社も救いがたいほど酷い会社なのだと思う。

橋下大阪市長の朝日新聞への取材拒否

2012年10月19日 01時53分24秒 | 日記
・ここしばらく世間ではおもしろくないことばかり続くので、ブログへの書き込みもサボっていたが、橋下大阪市長が週刊朝日のえげつない記事に腹を立て、朝日新聞の取材を拒否しているとの報道を聞き、久々の痛快事と感じ筆をとることにした。

・週刊朝日の記事内容は、読んでいないので詳しいことは解らないが、どうやら橋下市長の出自に関し実父のことを取り上げ、との関係を云々し、その血脈を辿り本性を炙り出すという趣旨のものであるらしい。

・この露骨な「橋下つぶし」を意図したえげつない記事に対して、橋下市長は、記者会見の席で、記事は血脈主義や民族浄化主義につながる危険な思想と指摘し、朝日新聞の見解を求めたたが回答を得られず、同社の取材を拒否しているとのことである。週刊朝日の出版元は朝日新聞出版であり朝日新聞とは別会社であるが、朝日新聞が100%出資していることから、橋下市長は朝日新聞に見解を求めたものである。

・私は橋下市長の政治的な能力はあまり評価しないが、朝日新聞の露骨な攻撃に対する見事な反撃を見ていると、相手の弱みを見つけて効果的な手法ですぐさま反撃できる喧嘩の才能だけは抜きん出ているとつくづく感心してしまう。記者会見という衆人環視の下で朝日新聞の下っ端記者に答えられるはずもない質問を繰り返し、相手をやり込めるというある意味あくどい手口など見ていると、さすが弁護士出身だけあって、切った張ったの喧嘩の上手さが目立つのである。

・まー従来から朝日新聞の保守的な政治家を貶める陰湿なやり口は誰もが知っていることではあるが、この朝日新聞を正面切って叩くことは誰もが成し得なかったのであるから、これをたとえ一部とはいえ成し得ただけでも橋下市長は褒められるべきものであろう。私も溜飲が下がるような思いを味わった。

・週刊朝日は18日、河畠大四編集長名で「不適切な記述があった」などと謝罪するコメントを出し、次号でおわびを掲載し、連載を続けるかどうかも協議するということになったが、さて、本体の朝日新聞がどう出るかはこれからのお楽しみというところか。

浜岡原発再稼動に関する住民投票条例の否決

2012年10月13日 01時47分22秒 | 日記
・静岡県議会は、中部電力浜岡原発の再稼働の是非を問う住民投票条例案を否決した。この条例案は、市民団体が県民16万5000人余の賛同署名を集めて直接請求していたものだが、条例案そのものがお粗末で可決されても実施できない見込みであることから、議会有志が修正案を作成したが、当初案も修正案も共に否決された。

・静岡県議会は自民党が多数を占め、その自民党が条例案の不備や原発再稼動の是非は県民の住民投票に馴染まないことを理由に反対に回ったことから否決されたものだが、その判断は的確であったと思う。

・原発再稼動に関しては、ともすれば反原発の感情論が先にたち、マスコミがそれを煽り立てるために、判断の眼を曇らせるようなことがしばしば起こるが、静岡県議会は冷静な対応をとったと思う。拍手を送りたい。

・県議会の冷静な対応に比べてお粗末だったのは川勝静岡県知事である。当初、16万県民の署名は重いとして賛成意見を付して議会に諮ったが、途中から、そのお粗末さが明らかになると、市民団体を批判し放り投げてしまった。情けない知事である。大衆に迎合し、マスコミ受けを狙ったパフォーマンスだけで、浜岡原発をどうしたいのか明確な意思を持たない愚か者としか言いようはない。

・そもそも県などというものは原発行政に関して国の補助的な役割しか持っていないのだから、住民投票などでチョビチョビすることはないのだ。

・更に、県知事が政治のプロならば、原発の再稼動に賛成か反対なのか己の政治的立場を明確にして事に臨むべきである。それを有耶無耶にしながら、無責任に住民投票に賛意を示すなどというのは卑怯というものだ。

・静岡県知事ばかりではない。大飯原発再稼動のときも、京都府知事、滋賀県知事などは原発再稼動に関する立場を明確にせず、ただただ国の安全基準を明確にせよなどと、大衆に迎合した無責任な立場をとり続けた。

・世間は都道府県庁と知事を買いかぶっているようだが、ほんとのところはあってもなくてもいいような役所と首長だし、本来なら道州政府に括ってしまうのがスジというものだ。そんな余計者の知事が無責任なパフォーマンスで世間を混乱させるのは止めるがいい。