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昭和43年盛夏、初めて出会った人生の師匠は云った。
未来に羽ばたく使命を自覚するとき、才能の芽は急速に伸びる。

2012年 春季東京都高校野球大会 3回戦

2012年04月06日 | 誓球の空2011-2015

[写真] 決勝のホームランを右中間最深部に放ちホームインする相田選手
        相手捕手と主審がホームベースへのタッチを凝視している姿が、ちょっと・・・ 面白い。


2012年 4月 6日(金) 09:56~12:15 晴れ 微風 府中市民球場


春季東京都高校野球大会 3回戦


駒澤大 (東東京・世田谷区)  1  2  0   1  0  0   0  0  0 =  4
創価  (西東京・小平市 )  1  0  1   2  2  0   0  0  X =  6


[ 投 手 ] 池田

[ 本塁打 ] 相田(5回/右中間)
[ 三塁打 ] 河村(3回/右)
[ 二塁打 ] 河村(1回/左)、野田(3回/右中間)

1番 (三) 河村
2番 (二) 奥
3番 (右) 野田  → (4表/左)
4番 (中) 田中
5番 (一) 海老原 → (3裏/打)鈴木 → (4表/右)
6番 (遊) 野口
7番 (投) 池田
8番 (左) 原   → (4表/一)相田
9番 (捕) 新井


新年度が始まり慌ただしい毎日が続いたが、週末になり少し落ち着いてきたのでお休みをいただいた。
一週間で4試合を戦う3戦目、夏のシード権がかかった3回戦は昨秋苦杯を喫した府中市民球場で行われる。
対戦相手は強打が自慢、2戦連続して二桁得点で勝ち上がって来た駒澤大学高校
乱打戦は正直あまり好まないのだが・・・ 試合は序盤から波乱含みで、予期せぬ展開で進んでいった。

後攻めを取った創価のマウンドには、一昨日の2回戦で9回を投げ切ったエース池田が上がった。
トップバッターを1球でセカンドゴロに打ち取り、2番バッターも粘られはしたがセカンドゴロでツーアウト
ところが・・・ 3番打者に対してストライクが入らない。
あれっ? と思い横から見て見ると、どうも下半身に踏ん張りの効かないような投げ方になっていた。
立ちあがり特有の緊張からか? それとも体調面からなのか? 一瞬不安が過る。

3番打者を四球で歩かすと、盗塁を許して二死2塁といきなりピンチ
そして、4番にはあまく入ったストレートを痛烈に叩かれレフト前のタイムリーを許してしまった。

いきなりの1失点ではあるが、まだ初回、これで池田にエンジンがかかれば問題はないのだが
気になることがひとつあった。
それは池田投手のコンディションではなく、3人の野手が緊張からかボールが手に付いてなかったのだ。

一死1塁から盗塁の場面、変化球のタイミングで走られてるので投げてもセーフだったかもしれないが
キャッチャーが握り損ねて送球が出来なかった。
そしてレフト前タイムリーヒットの場面、バウンドが高くはずんだ不運もあったが
背伸び気味に捕球しており、レフトは握り直すのに若干のもたつきがあった。
さらにカットマンに入ったサードもボールを握り損ねている。

あの痛烈な当りで、あの位置での捕球なら直接返球が可能だと思うし
カットマンに送球したとしても、本塁で刺せると見てたのだが・・・ 現実は違っていた。
おそらく立ちあがりという緊張の中でのファーストタッチからだと思うが
記録には残らないが細かなミスが、立て続けに三つ重なれば失点があっても不思議ではない。

やらずもがなの1点が、試合を決める場合もある。
エースを中心に守り勝つチームカラーであれば、ディフェンスの1点には特に拘りが必要だと思う。

 
[写真] 万全には見えなかったが、それなりにゲームメイクをした池田投手、この経験が次につながる。

初回に1失点したものの、今日の創価打線は初回から直ぐにエンジンがかかった。
トップバッター河村が痛烈にレフト線を破り二塁打で出ると、2番奥が手堅く送って一死3塁
3番野田はタイミングを外されて、ボテボテのファーストゴロとなったが
ボテボテが幸いして3塁から河村がホームイン
この間僅か6~7球、あっという間に振り出しに戻した。

さらに4番田中はセカンドの左を痛烈に破ると、センターのカバーが遅れてると見るやすかさず2塁を狙う。
結果は、惜しくもタッチアウトとなったものの、
積極的に次の塁を狙う走塁はハラハラドキドキするが、ワクワクするし気持ちが良い。

2回表、相手は下位打線だけにピシッと押さえたいところだが、今日の池田は制球に苦しむ。
一死から7番に三遊間の深いところに内野安打されると、8番にはライト前に運ばれ一死13塁とピンチ
9番は三振に取り二死とはしたものの走られて二死23塁
早くも打者一巡でトップバッターを迎えるが・・・ ストライクが入らずストレートで歩かせ二死満塁
2番にもボールが先攻し、あまく入ったストレートをライト前に弾き返されて2者が生還する。

続く3回表もピンチの連続で、厳しい展開は変わらない。
一死から5番にレフト前ヒットを許すと、6番の犠打は池田と海老原の真ん中に転がり内野安打となる。
7番はワンスリーからセンターに打ち上げてくれて二死とするが、
8番には低めの変化球が曲がり過ぎてスパイクに当り、この回も満塁のピンチとなる。

9番がバッターボックスに入ると、相手ベンチからは「振るな。見ていけ。」との声が出てくる。
今日の池田は、それぐらい制球に苦しんでいたように見えたが・・・
でも・・・ ストライクが入らなかったわけじゃなく、自分の思ったボールが中々いかないから、
慎重になり過ぎてるだけで、ストライクを投げようと思えば投げられる。
相手が見て来てくれれば、それこそストライク先行で逆に思うツボである。

事実、4回以降も四球はあったものの、
駒澤ベンチから発せられた「見ていけ。」コールで、創価バッテリーの何かが変わり
制球に苦しむ場面も少なくなった。

それは「ヨシッ、この野郎」と思った部分が多分にあるのだろうが、
それよりは、駒澤打線がファーストストライクを比較的簡単に見逃してくれるので、
配球の組み立てが楽になったことの方が大きいと思われる。

ストライクが先行すれば、そんなに連打を浴びる投手ではない。
3回表、二死満塁のピンチを凌ぐと、4回に長打とエラーで1失点したものの池田は既に立ち直っていた。
後は打線の奮起、追いつき、追い越し、突き放すだけだ。

 
[写真左] 左に右に長打を連発したトップバッター河村選手
[写真右] 代打出場しでチャンスを広げるヒットを放った鈴木選手

3回裏、創価は一死から1番河村がライトオーバーの三塁打で出ると、
2番奥がツーボールからスクイズを決めて1点差に詰め寄る。
二死となったが、3番野田は右中間を真っ二つの二塁打、4番田中は勝負を避けられストレートの四球
二死12塁から期待の2年生海老原だったが、ここで創価ベンチが動いた。

5番強打の海老原に代打鈴木、鈴木は期待に応えてライト前にはじき返して二死満塁
6番野口に期待が高まる中、痛烈に弾き返すがセンターが左中間に走りながらランニングキャッチ
1点届かなかったものの、3回表のピンチを凌ぎ、そしてその裏に追撃の得点
流れは確実に・・・ 変わりつつある。

それにしても、海老原はどうしたのだろう。
アクシデントでなければよいが・・・ 気になる点があるとすれば2点
ファーストで牽制球を受けた後、ピッチャーへの返球が3回表までに2度暴投となっていたこと。
2度ともサード河村がカバーして大事に至らなかったのだが「どうしたんだ。」との感じは残っていた。
もう一つは3回表のバント処理、本来ファーストが捕球に行く打球だったが足が動いてなかった。
試合前のシートノックでは普通だったので、アクシデントではないと思うが・・・ 少し気にかかる。

そして再び2点差とされた4回裏、先頭の7番池田が四球で歩くと、表から守備に付いた8番の相田
手堅く初球からバンドを試みるが、相手投手のダッシュが厳しく振り向きざまに2塁へ送球された。
思わず「あっ。」と声が出たが、池田の足が一瞬速くセーフのコール
続く9番新井も初球をバンド、今度もサードはクロスプレーか?と思われたが
さすがに二つ目の犠打野選は重いと見たのだろう、3塁をチラッと見ただけで1塁へ送られた。

一死23塁、バッターはここまで長打2本の河村
盛り上がる場面で強振したが、当り損ねのピッチャーゴロ、横を抜けそうだったが相手投手が上手かった。
3塁走者池田は飛びだし挟まれるが、ボールを受けたサードからキャッチャーへの送球が暴投となり
まず1点返して、なおも一死23塁とチャンスが続く。

そして2番奥、ツーボールからスクイズに行くが・・・ これは相手が読んでいた。
普通ならスリーボールは嫌うはずだが、満塁もいとわない判断をされたのなら仕方ない。
3塁走者はタッチアウトとなったが、なおも二死3塁、そして奥は・・・ 死球で歩いて二死13塁

バッターは3番の野田、外めコースに逆らわずミートすると
ショートの頭上をフワリと超えた打球は、センター前で跳ねていた。
ついに追いついた。4対4の同点、苦戦したが・・・ ついに追いついた。

 
[写真左] 威圧感たっぷりのフォームでバッターボックスに立つ4番キャプテン田中選手
[写真右] 飛距離的も、試合展開的にも・・・ 値千金の長打を放った8番相田選手

そして、勝負の山場となった5回の攻防
5回表、駒澤は一死から四球の走者を出し盗塁を仕掛けるが
走者を助けるために空振りをした打者が、ホンの少しだったと思うがバッターボックスを飛びだして
送球を妨害したとして守備妨害を取られアウト
これは大きい。それほど気になるプレーには見えなかったが、流れがこちらに来ている証拠だろう。

その裏の創価は5番の鈴木、俊足を生かしてセーフティバンドで出ると、野口が手堅く送って一死2塁
池田はセカンドゴロに倒れるが二死3塁でバッターは7番の相田
ツーストライクスリーボールから振り抜いた打球は、右中間最深部のネットに突き刺さった。

打った瞬間に分かるような特大の当りだった。
相手ライトが、途中から追うのを諦めた打球だった。
今シーズンは海老原の控えの1塁手で背番号17番を背負ってはいるが、
昨秋は海老原にスターティングメンバーを譲ってはいたが、背番号3を付けていたのは相田だった。
173センチと大きくはないが、パンチ力は非凡だ。
相田は満面の笑みでダイヤモンドを一周する。
ひと言で表現するとすれば「一閃」、本当にナイスバッティングだ。

そして、がっぷり四つに組んだまま試合は最終回の駒澤の攻撃に進む。
先頭バッターは初回に痛打を浴びた4番バッター
池田の渾身のストレートを振り抜いた打球は、強い当りではあったが射し込んでおり
若干振り遅れで気味で12塁間に転がる。セカンド奥が勢いよく前進してきたがファンブルしてしまった。

一死1塁から5番の打球は当り損ねのピッチャーゴロだったが、池田がタイミングが合わずこれもファンブル
だが・・・ 後処理に慌てることはなかった。
ファンブルしたボールを冷静に処理して、まずワンアウト

続く6番打者の時、2塁走者が3塁へ走られるが池田はバッターに集中していた。
ツースリーと厳しいカウントの中、今日一番のストレートを投げ込み見逃しの三振、これでツーアウト
7番打者はツーツーと追い込むが、厳しいところへ投げたボールが際どく外れて四球となり二死13塁

これで長打が1本出れば同点の場面となったのだが・・・ 正直言ってヒヤヒヤ感はなかった。
池田の腕が気持ち良く振れている。
そして、打者に向かって行く闘志がスタンドにも伝わって来ていた。

さらには、監督の采配がズバリと当っている。
代打鈴木のチャンスメーク、途中出場相田のホームラン、最後まで辛抱強く池田に託した決断
さらにはスクイズやランダンプレーでの暴投、試合の流れはこちらに向いている。
こういう試合は、どんなに縺れても負けない。

最後の打者の打球が、先頭打者の打球をはじいたセカンド奥のところに飛んだのも何かあるのだろう。
緩い当りだったが、しっかり腰を落として堅実に捕球すると
ファーストの相田へ大事に送られて1塁の塁審の右手が上がった。

2時間20分の熱きドラマが終わり、久しぶりに夏のシードを獲得することが出来た。
一番大きかったのは池田投手の完投、調子が良くなくても粘りの投球が出来たことは大きい。
この経験は必ず夏に役立つはずだ。

次も中一日(8日12時30分/江戸川区球場)で4回戦を戦うことになる。
条件的には厳しいが春の東京の頂点まであと4勝

頑張れ創価


1 表/駒澤 二ゴ、二ゴ、四球、盗塁、左安1点、遊ゴ
 裏/創価 左二、犠打、一ゴ1点、中安(2塁狙うがアウト)

2 表/駒澤 三振、遊安、右安、三振、盗塁(23塁)、四球、右安2点、二ゴ
 裏/創価 投ゴ、中安、一ゴ、二直

3 表/駒澤 二ゴ、左安、投安(犠打安打)、中飛、死球、一ゴ
 裏/創価 二飛、右三、犠打(スクイズ)1点、右中二、四球、(海老原に代り代打/鈴木)右安、中直

4 表/駒澤 [守備の交代] 代打の鈴木がライト、ライト野田がレフト、レフト原に代りファースト相田
      二飛、四球、右二、遊ゴ失1点、盗塁、三振、右飛
 裏/創価 四球、犠打野選、犠打、投ゴ1点(挟殺暴投)、犠打失敗(挟殺死
)、死球、中安1点、中直

5 表/駒澤 三振、四球、守備妨害、一飛
 裏/創価 投安(セーフティ)、犠打、二ゴ、右中本2点、二ゴ

6 表/駒澤 遊ゴ、三振、右二、遊ゴ
 裏/創価 中飛、三振、右飛

7 表/駒澤 中飛、遊ゴ、二ゴ
 裏/創価 左飛、右安、右飛、盗塁、盗塁、三振

8 表/駒澤 三振、左安、左飛、一ゴ
 裏/創価 三振、遊ゴ、投ゴ

9 表/駒澤 二ゴ失(ファンブル)、投ゴ、盗塁、三振、二ゴ(試合終了)

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