山片三郎著「続・建築徒然草」の中に2階建ての話があります。
その抜粋。
江戸時代、町人が2階から武士を見下ろすなどは、身分的秩序を厳守する当時の社会では固く禁じられた。まして、大名行列が通るときに、2階から見下ろしたりすれば、たちどころに不敬として処分されたのである。これが武士の町であった江戸の町屋に2階建てが許されなかった理由の一つと考えられる。
見下ろすということは、見下げる、あなどる、ということに通じる。そのためか寺院でも、御本尊を見下ろさないために、ほとんどが平屋建てで、たとえば奈良の法隆寺金堂にしても、外観は2階建てになっているが、内部は2階の床板がないく、奈良公園内の興福寺の五重塔は、内部は階段だけである。同じく奈良薬師寺の三重塔に至っては、内部に階段すら設けられていない。これらの建物は、ただ見上げるだけの目的で作られたものである。
と書いてあります。
現代の家は、ほとんどが2階建てです。
階数を増やすほうが坪単価が下がります。
江戸の町人は、一番費用のかかる平屋建てに住んでいたんですね。(鳥)