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ぼく、カギをのんじゃった!

2008-08-05 14:29:29 | YA(中学生)
☆ あらすじ
 主人公ジョーイは、小学四年生の「カゲキ」に元気な男の子。じっとしていることができず、考えるより先に行動して、騒ぎをおこしてしまう。家庭環境も安定しているわけではないが、ずっと離れていたお母さんがもどってきて、ジョーイとバタバタしながらも、なんとか生活している。そんなとき、クラスの女の子にケガをさせてしまい、特別支援センターにいくことに・・・

☆ 感想
 ジョーイの行動はADHDという障害をかかえている子どもによくみられるそうですが、この作品は「ぼく」という一人称でえがかれているので、自分がジョーイになりきって、わけのわからない行動(かぎをのみこんだり、ソファーの綿をひきだしてみたり)をするので、頭ではいけないのだろうなとわかっていても、そうせずにはいられない気持ちが、少しわかる気がします。カギをのみこむのは、決して気持ちのいいものではないけれど、周りの反応の大きさは格別。で、何度おこられても、飲みこむ。
 ジョーイの周りにいる大人たちも、リアルにえがかれています。ジョーイの相手をしているうちにヒステリーをおこしてしまう先生(決して、悪い人なわけではない)、ある程度ジョーイの障害に理解があってジョーイがわけのわからないことを言っても、ジョーイが落ち着く返事ができる先生。どの人も頭からジョーイを否定するのではなく、自分のできる範囲でジョーイとつき合おうとしています。
 ジョーイは特別支援センターに行ったことがきっかけで、少しずつ考え方や行動をコントロールできるようになりますが、その下地には、完璧な親とはいえないけれどジョーイを愛してくれる母親がそばにいてくれるようになったこと、何よりジョージが、もともと人を喜ばせたり笑わせたりするのが大好きないい子で、それを認めてもらえるようになったことが大きいと感じました。
 障害をもっている子でも、そうでない子でも、あなたは素敵な子で大好きだよと思いにかこまれ、安心できれば、自分の苦手なことも頑張っていこうと、前向きに生きて輝いてくれると思いました。
 私は、たいした知識もなくて子どもたちにとって最善のことをしてあげられるわけではないけれど、多少理解できないことがあっても、子どもを認めていきたいし、理解力の足りない私も、認めてもらいたいなーなぞ考えています。わかっているふりをしても、子どもはよくみているみたいで、すぐばれてしまうので。

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ぼく、カギをのんじゃった!(もう、ジョーイったら!1)
ジャック・ギャントス作 前沢明枝訳
徳間書店 2007
対象 高学年 中学生
件名 障害 学校




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