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おすすめしたい子どもの本を紹介しています。

ナゲキバト

2007-01-03 16:28:59 | YA(中学生)

ナゲキバト ラリー・バークダル著

☆あらすじ

 9歳のとき、事故で両親をなくしたハニバルは祖父にひきとられる。二人の暮らしのなかで、祖父は、生きることの尊さ、きびしさ、かなしさを伝えてくれる。回想という形式をとった静かな作品。

☆感想

 猟に憧れて、ナゲキバトの母鳥を打ってしまったハニバルに、父鳥だけでは2匹は育てられないから、1匹を自らの手で殺させた祖父。父と母に愛されて育ってきたことを忘れないように話してくれた祖父。悪いことをしたり、嘘をついたハニバルに、わかりやすく教えを説く祖父。
 聖書がでてきてキリスト教的な教えもふくまれていますが、「生きること」のかなしさ、つらさ、それでも生きていくということを、まっすぐ伝えようとしている作品だと感じました。祖父の教えは、具体的でわかりやすいので、中学生でも十分読めるし、この本から何かを感じとってくれるのではと思います。

祖父の教えをちょっと引用 (全体のなかでも、かなり教訓的なところです)
「・・・嘘そのものに命はない。だから、言った人間からそれをもらうしかないのさ。そもそも人間は、嘘を言うことでその嘘に命をやる。そうして、それを生かしておくためにまた別の嘘を言うはめになる。・・・ところが、ほんとうのことにはそれ自身の命がある。それは永久に生きつづけるし、永久に変わらない。ほんとうのことに関するかぎり、わしらはなにも覚えてなくていいんだ」(P86)

・・・覚えてるのは大変なので、あんまり嘘はつきたくないなぁ。

date
ナゲキバト ラリー・バークダル著 片岡しのぶ訳  あすなろ書房 2006
対象年齢・・・中学以上
件名・・・祖父 聖書 罪 
すすめたい子・・・深く考える本が好きな子(だれでも読める作品ではない) 
評価 B
 


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