やっつけ仕事

EverQuest2に登場する"本"を勝手に集めた場所。一部日記有り。08/06/20更新終了。管理は続行

イクサーの歴史

2006年01月11日 | EQ2 本
★イクサーの歴史
自らの経験を通して、イクサーに関する知識と洞察を得た。
この歴史書は、それぞれの定められたときにのみ完成される。

■第1部
グリーンミストの恐怖もいまでこそ世人の俎上に広く載せられるようになったが、我々にとっては昔から、それこそ遥けき時代から、久しく既知なるものだった。いかにも、窮地にありし日の我々はまた、かの霧により救われた。空から下った霧は我らが敵を包み、その命を次々奪っていったのだ。
若き者、こなたへとやって来るがよい。イクサーの物語に耳を傾けていくがよい。よしなしごとの優劣に汲々としては言葉を無為に費やすような輩より、我ら一族の歴史は長い。長い尾に、力あふれる両の腕。生まれ落ちたるときから硬く鎧をまとうこの身体。我ら一族は遠い昔にCazic-Thuleの手により生み出され、いまある姿に作り上げられたものである。
堅牢なる都市セビリスは遥かクナークの土地に在り。そこは大いなる知を学び、史を伝承する場であった。我らイクサーは長きにわたり、己の心引かれる地にて己のわざを研ぎ澄まし、磨きをかけてきたのである。そこにシッサーが現れた。粘着質のおぞましき姿を持つシッサー。呪いと魔術が我々の身に放たれた。
柔らかい肌の者たちは、我らを評して憤怒にみちた種族と言う。だが連中も、あのような異形に隷属させらるるところとなれば、その辛酸を解さずにいられぬことだろう。イクサーたること、イクサーとして生きることとは、他者なるすべてを下に従えることである。他に従わされることではありえない。なんと明らかな誤りであるか。
空の大釜が口を開くのは、そこからさらに悠久の時を経たのちである。天より降りたグリーンミストが宿敵をあまねく覆いつくす。響き渡る絶叫に我々は嬉々とした躍動をも覚え、脆弱なしばりをひき千切る。彼の者どもはそんなものでイクサーを縛っておけると考えていたのだ。広き野はシッサーの残骸にあふれ返っていた。長き月日を経たのちにはじめて、我々の心は深く満たされた。


■第2部
シッサーのむくろの上に再び繁栄が築かれた。イクサーは、手中にあってしかるべきものを取り返したのだ。ものごとは正当なあり方に立ち返り、あらゆるものが我々の前にひれ伏した。それはシッサーとて例外ではなく、彼奴らはもろもろの指導権をイクサーの手にあるを求めたのだった。我らは同意のうなずきを返した。あたかもうたかたかき分けて湖沼の小船進むがごとく、我々は諸々をなぎ倒し道を拓いて行ったのだ。
唯一それに迫る脅威を感じていたのが、我々の勢いに感づいていたドラゴンたちである。その気になればイクサーの勢力を挫くもたやすいと考えていたようなれど、かといって直接対峙することは恐れはばかっていたのである。それももっともなことであろう。なぜなら我らは解放を求め抑圧された怒りの月日を耐え抜いた一族なのだから。イクサーは、先なる侵略者から学び得た苦き教訓を最大限に活用した。ゆえにTrakanonの介入さえなければ、ドラゴンからとは距離を保ったままでいられたのだろう。ドラゴンのTrakanon。彼の者は、自ら与り知らぬ諸々に介入の手をはさんできた。我々の持った評議会と、我々の部族の問題に。
彼の者の虚言により、しもべどもは皆我々に背を向け、イクサーの植民地は滅ぼされた。Trakanonはセビリスを滅亡させた者なのだ。我らが都市は衰え、彼奴の飛言は流布し、もはやしもべを統治することはできなくなっていた。
セビリス滅されてのち、我々は再び都市を築いた。次なるはカビリス、霧の古代都市である。そこは栄光の時代の名残にとり囲まれていた。それはノーラスの全てがイクサーの手中にあった時代だ。その後に起きたどのような出来事も、我々が権力を持っていたならば生じることもなかったであろう。
我々の支配下にあったあらゆる生物のうちで、サーナクはイクサーの創造物であった。イクサーとドラゴンの接合により創られしサーナクは、我らが力と知力とを持ち合わせていた。他との交わりを好まぬ種であったが、我々にはそれがありがたくもあった。イクサーは取り巻きを好まないのだ。


■第3部
時は流れゆき、世界は“戦禍の時代”を迎えた。各地に戦火の広まるさなか、辺境にありしクナークの我々は、独自に立てた計画を押し進めていた。だがそれは鱗持つ者の内のみにとどめ他に口外することはなかった。というのも信を置くに足る者なきこと、イクサーは学んでいたからだ。戦地に送った斥候たちは、ラロシアン軍の勝利の報を幾度も伝えよこすかたわら、我々も戦へ向けての準備を整えた。ラロシアンがやってきたのはフロンティア山脈の方面からで、そこはサーナクの住まいし場所だった。我々は爪に研ぎをかけ、牙にじゅうぶん磨きをかけた。Rallos Zekの新たな手勢はたしかに強大なるものだったが、我々とてもイクサーだ。長き歳月に培われた力が体躯くまなく流れていた。
戦禍はますます激しくなれど、我らは誰を守ることもなく、誰がために戦うこともなかった。かつて我々が蹂躙の憂き目に遭いしとき、我らに助けの手を延ばす者は誰ひとりとしていなかったのだ。ゆえにイクサーが他者のために立ち上がるということはなかった。これを称して我らのことを身勝手な種族と言ってはばからぬ手合いもある。だが、誰かになにかしらの扱いを受けるとき、それとまったく同じ行為を他者に対してなすことの、いずこが身勝手なのであろうか。
やがてまもなく空のふたが開き、多くが鱗ある者の空言であると一笑に付したものがふたたび姿を現した。グリーンミストである。遠い昔にシッサーどもが敗れたさまと同じように、ラロシアンの兵も次々と地に膝をついた。その死によって、イクサーの語った言葉の真実であることを、諸人が知る由となったのだ。
大地の深みより生まれし大振動により、クナークの地ははかなくも崩れた。Lake of Ill Omenは激しく荒れ狂う水となり、最後にはカビリスの街を削り、その胃袋に飲み込んだ。都市にあったすべてのものが失われ、他の地に散っていた多くの同士が、導き手を失った。いまや世界そのものの形も大きく様変わりしてしまったことがわかるであろう。大地の苦悶は激しい暴力として顕現し、その身を大きく引き裂いた。ここにわざわざ記すまでもないことではあるが、その時偶然、多くのイクサーを載せて航行していた船舶がかつてアントニカであった大地の近くにあった。同朋の幾人かは、これによって命からがら陸に上がることができたのである。
我々の信じるべきは己の力と己の技のみなのである。我々は創造者、Cazic-Thuleに大いなる信仰を寄せていたが、彼の方はイクサーを見捨てられた。我々はたしかに彼の方を信じたが、それはもう過去の話となった。今後、誰かを信じることなどないのだろう。イクサーはひとり背を伸ばして立ち、自らのみを信じて進む。


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