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『死神』3.死神の壁<2>

2011-03-25 22:33:01 | 小説『死神』
死神

3.死神の壁

<2>

「どうして、死のうとするの!?まだ生きれるのに、何で!?訳分かんないよ!普通生きたいと思うでしょ!?」
気付けば叫んでいた。
楓さんとルカにしか聞こえないのをいいことに、大声で。
「何で、何で死にたいって思えるの!」
音量MAX。
私は窓から外へ飛び出た。
夜の冷たい風が少し潤んだ目にしみた。
もう、ルカも楓さんも訳分かんないよ。
何で生きたいって思わないんだろ…。

「ルリ!」
ルカの声が後ろからして、私はビクッと肩をすくませた。
怒ってる…かなり怒ってる…。
どうしよう、振り返れない!
「ルゥリィ…。」
こわ…めっちゃこわい…。
固まった。
てか、それしか道はない。
ルカが私の前に回った。
でも…呆れてるのと怒ってるので微妙な表情だ。
ふと、ルカが手を伸ばした。

むにっ

「むに?」
ルカがルリの頬をぐにっと掴み、横にぐにぐに~っと伸ばしている。
「いひゃい!ルカ、いひゃいって!」
思ったよりも痛い。
涙まで浮かぶぞ、コレ。
「ルリ。楓さんに応急処置はしてきたわ。」
ルカが、ルリの頬から手を離しながら言う。
赤くなった頬をさすりつつ、私は首をかしげた。
ルカが重~いため息をつく。
「ルリ。この仕事はあなたにやってもらうわ。」
「うえぇぇ~!!決定事項!?」
思わず大声を出した。
相談してくれれば…とも思ったが、自分の性格からして断固拒否して話し合いにならなかっただろう。
だから何も言えない…。
「いい、ルリ。よぉっくよーく考えて。楓さん落ち着いてきたから話聞いてもいいし。とにかくあと3日間のうちに決めてほしいの。出来るだけ――口出ししないわ。お願い。」
「あと…3日…?」
「決めるのは、あなただから。」
私は不承不承頷いた。
ルカが、最後に、と言った。
「決めた時は、私に言ってね。」
それっきり、ルカはコンビニに行ってしまった。
きっと、明日の朝ご飯用だ。
「それより、私に任せるなんて…。」
ただでさえ、訳分かんないのに。




written by ふーちん


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