ミゼット ウィング
~小さな小さな はね物語~
第8章 1人の1年生
1.新入生歓迎会
「みんな、入学おめでとー!」
春が来た。
フラット達が入学して1年。
アイドル業になれてきたフラットとラートは、再び魔法ステージに立った。
「聞きたいこととかあったら、普通に聞いてねっ!」
じゃ、みんなに歌のプレゼント!――そう続くはずだった。
そう、それで歌を広めるって感じだったんだけど。
「あの。」
手を挙げつつ立ち上がった人がいた。
「へ?」
別に今質問タイムにするよーとか言ってないんだけど。
その人――天使はこう言った。
「なんで悪魔なんですか。」
ミゼットウィング全員が凍り付く。
「なんで悪魔がこの天使の学校にいるんですか?」
冷静を装いながら、その天使の周辺を見た。
みんな天使で、しかも生意気な目。
台無しだ。
歓迎どころか『顔洗っておととい来い!』と言いたくなる。
「ラート…どーする?」
「どうしようねぇ…。みんな止める気配ないし。」
2人で少し相談していると、追い打ちをかけるようにそいつ(で十分だ!)がまた口を開いた。
「まさか…天使になれる、なーんて夢持ってるんですか?」
フラットはため息をついた。
浮かれてんじゃないわよ、この性悪天使!とはさすがに言えず。
「悪魔になるわよ、堕天使さん。」
それどころか、もっとひどいことを言った。
天使(1年生)がざわめく。
「だ…堕天使は悪魔じゃないです。」
「へぇ…。今、堕天使って認めたわね?」
「認めてなんて!」
「天使が堕天使になって悪魔になるなら、逆も可能なはずでしょ。それとも、自分は悪いことをしてないって自信があるのかしら?」
その言葉に天使達は何も言えなくなった。
なぜって、今自分たちがしていることが悪いことだと分かっているからだろう。
「座りなさい。」
天使に声をかけたのはレスト。
いつもよりはるかに冷たい目だ。
「たかが1つ年上のくせに。」
そういって、レストをにらみ返そうとした。
が。
「有名人になりたいの?」
いつの間にか来ていたシャープがカメラを構えて聞く。
有名人になるということは、学校新聞に堂々と載せるつもりだろう。
そしたら、3年生からも冷たい視線が…。
うん、実に嫌な学園生活だ。
天使は2人をにらみながらやっと座った。
「歓迎なんてできないわ。ま、がんばれ。」
そう言って6人はステージ裏へ戻った。
なんて生意気な1年生なんだ。
「ねぇ…。」
一番最初に声を上げたのはロアだった。
嬉しそうで、驚いたような顔。
「黒い羽の子、いたよ。1人だけ…。」
5人は目をみはった。
Written by ふーちん
~小さな小さな はね物語~
第8章 1人の1年生
1.新入生歓迎会
「みんな、入学おめでとー!」
春が来た。
フラット達が入学して1年。
アイドル業になれてきたフラットとラートは、再び魔法ステージに立った。
「聞きたいこととかあったら、普通に聞いてねっ!」
じゃ、みんなに歌のプレゼント!――そう続くはずだった。
そう、それで歌を広めるって感じだったんだけど。
「あの。」
手を挙げつつ立ち上がった人がいた。
「へ?」
別に今質問タイムにするよーとか言ってないんだけど。
その人――天使はこう言った。
「なんで悪魔なんですか。」
ミゼットウィング全員が凍り付く。
「なんで悪魔がこの天使の学校にいるんですか?」
冷静を装いながら、その天使の周辺を見た。
みんな天使で、しかも生意気な目。
台無しだ。
歓迎どころか『顔洗っておととい来い!』と言いたくなる。
「ラート…どーする?」
「どうしようねぇ…。みんな止める気配ないし。」
2人で少し相談していると、追い打ちをかけるようにそいつ(で十分だ!)がまた口を開いた。
「まさか…天使になれる、なーんて夢持ってるんですか?」
フラットはため息をついた。
浮かれてんじゃないわよ、この性悪天使!とはさすがに言えず。
「悪魔になるわよ、堕天使さん。」
それどころか、もっとひどいことを言った。
天使(1年生)がざわめく。
「だ…堕天使は悪魔じゃないです。」
「へぇ…。今、堕天使って認めたわね?」
「認めてなんて!」
「天使が堕天使になって悪魔になるなら、逆も可能なはずでしょ。それとも、自分は悪いことをしてないって自信があるのかしら?」
その言葉に天使達は何も言えなくなった。
なぜって、今自分たちがしていることが悪いことだと分かっているからだろう。
「座りなさい。」
天使に声をかけたのはレスト。
いつもよりはるかに冷たい目だ。
「たかが1つ年上のくせに。」
そういって、レストをにらみ返そうとした。
が。
「有名人になりたいの?」
いつの間にか来ていたシャープがカメラを構えて聞く。
有名人になるということは、学校新聞に堂々と載せるつもりだろう。
そしたら、3年生からも冷たい視線が…。
うん、実に嫌な学園生活だ。
天使は2人をにらみながらやっと座った。
「歓迎なんてできないわ。ま、がんばれ。」
そう言って6人はステージ裏へ戻った。
なんて生意気な1年生なんだ。
「ねぇ…。」
一番最初に声を上げたのはロアだった。
嬉しそうで、驚いたような顔。
「黒い羽の子、いたよ。1人だけ…。」
5人は目をみはった。
Written by ふーちん