同居人は化け猫!
第5章 羚歌さんの不在
8.やっぱり、ズレる。
「冬夜?」
止まったことに気付いたのか、鈴蘭が声をかけた。
「いや……分かんねぇ。」
友達とかけ離れていることに気付いたのはいいが、その「存在」は何なのか。
それが分からなかった。
「分かんない?…でも、ペットじゃないんだよな?」
「もちろん。それはさっき言っただろ。」
「なら、いい。」
鈴蘭はあっさりと返し、歩き始める。
照れているのか、早足だ。
「ちょ、待てよ。」
慌てて追いかけた。
何とか追いつくと、鈴蘭が前を見たまま話し始めた。
「実はな。たぶんだけど、冬夜と同じだと思う。私の気持ちも。」
「はぁ?」
「近頃、冬夜が晴海と話しているのを見ると、気になるんだ。冬夜が春海の方に行くと、ずっと、戻ってこないような気がして。」
「………。」
鈴蘭の言葉は、分かりやすかった。
なのに、分かりやすいはずなのに―――その気持ちの答えは分からない。
「おかしいよな、こういう考え。冬夜は、私のものじゃないのにね。」
春海にそう言われたら、「変な奴。」で笑い飛ばしていた。
しかし、鈴蘭の時は何も言うことが出来ない。
「まぁ、鈴蘭なら…。」
冬夜は自然に出てきた言葉を飲み込んだ。
今、俺はとんでもないことを考えてなかったか?
「冬夜?」
「いんや、何でもねぇ。行くぞ!夕飯が遅くなる。」
「そだな。」
冬夜は少しかすれる声で誤魔化した。
さっき、俺は…「鈴蘭の所有物でもいいかな」って思わなかったか?
さっきの言葉は……そういう事じゃなかったか?
written by ふーちん
第5章 羚歌さんの不在
8.やっぱり、ズレる。
「冬夜?」
止まったことに気付いたのか、鈴蘭が声をかけた。
「いや……分かんねぇ。」
友達とかけ離れていることに気付いたのはいいが、その「存在」は何なのか。
それが分からなかった。
「分かんない?…でも、ペットじゃないんだよな?」
「もちろん。それはさっき言っただろ。」
「なら、いい。」
鈴蘭はあっさりと返し、歩き始める。
照れているのか、早足だ。
「ちょ、待てよ。」
慌てて追いかけた。
何とか追いつくと、鈴蘭が前を見たまま話し始めた。
「実はな。たぶんだけど、冬夜と同じだと思う。私の気持ちも。」
「はぁ?」
「近頃、冬夜が晴海と話しているのを見ると、気になるんだ。冬夜が春海の方に行くと、ずっと、戻ってこないような気がして。」
「………。」
鈴蘭の言葉は、分かりやすかった。
なのに、分かりやすいはずなのに―――その気持ちの答えは分からない。
「おかしいよな、こういう考え。冬夜は、私のものじゃないのにね。」
春海にそう言われたら、「変な奴。」で笑い飛ばしていた。
しかし、鈴蘭の時は何も言うことが出来ない。
「まぁ、鈴蘭なら…。」
冬夜は自然に出てきた言葉を飲み込んだ。
今、俺はとんでもないことを考えてなかったか?
「冬夜?」
「いんや、何でもねぇ。行くぞ!夕飯が遅くなる。」
「そだな。」
冬夜は少しかすれる声で誤魔化した。
さっき、俺は…「鈴蘭の所有物でもいいかな」って思わなかったか?
さっきの言葉は……そういう事じゃなかったか?
written by ふーちん