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インストラクターの独り言

パソコン教室のインストラクターの独り言です・・・

インストラクター講座 7限 ~フィードバック~

2005年04月11日 | インストラクター講座
今回は講習でこれまた重要なフィードバックについてです。

フィードバックは、簡単に書けば「受講者の結果確認」です。
いくら一生懸命説明しても受講者が理解し、講座についていかなければ意味がありません。また、受講者が知りたがっていることなどを都度、授業に反映していかなければなりません。

1、確認

一つ一つの説明を受講者が理解しているか、また説明した操作ができているかどうかを頻繁に確認する必要があります。

例えば、「ペイント」の起動方法を説明する場合、

「はい、ではまず画面左下にあるスタートボタンをクリックしてください。次にすべてのプログラム(プログラムファイル)にマウスポインタを合わせてください。青い帯を水平に移動し、新たに現われたメニューの中にマウスポインタを移動させます。次にアクセサリにマウスポインタを合わせてください。先ほどと同様に青い帯を水平に移動し、ペイントにマウスポインタを合わせ、そしてクリックします。これで暫く待ちますとペイントの画面が現われます」

と説明します。これをフィードバックを交えて行うと以下のような感じになります。

「はい、それではこれからペイントを起動していただきます。準備はよろしいでしょうか

  受講者全体を見渡す

「まず最初に画面の左下にあるスタートボタンをクリックしてください。メニューは現われましたでしょうか

  受講者全体を見渡す

「では次にすべてのプログラム(プログラムファイル)にマウスポインタを合わせてください。右に新しいメニューが現われましたでしょうか

  受講者全体を見渡す

「では次に青い帯を水平に移動し、新たに現われたメニューの中にマウスポインタを移動させてください。右側のメニューにマウスポインタが移動しましたでしょうか

  受講者全体を見渡す

「次にアクセサリにマウスポインタを合わせてください。右に新しいメニューが現われましたでしょうか

  受講者全体を見渡す

「では最後に先ほどと同様に青い帯を水平に移動し、ペイントにマウスポインタを合わせ、そしてクリックしてください。ペイントの画面は現われましたでしょうか

  受講者全体を見渡す

いかがでしょうか。特に初心者向けの授業ではこのくらい一つ一つの操作に対して受講者ができたかどうかを確認しなければなりません。

2、質疑応答

授業の最後にまとめと質疑応答を行いますが、講習の途中でも、何か一つの操作(上の例ではペイントの起動)や説明が終わるたびに受講者に「ここまでで何か質問等はございませんか?」と問いかけなければなりません。
最後にまとめて質疑応答の時間を設けるのは必須です。しかし、途中で「あっ、これは質問したい」と受講者が思い、最後に聞いてみようと思っても、その後の授業についていくのに必死で、授業の終わりごろには「はて、何か聞きたいことがあったんだけどなぁ・・・」ということになってしまいがちです。
質問を忘れて、帰宅してから気づいて復習ができない・・・なんてことになる可能性があります。

受講者からの質問は、質問した人にだけ答えるのはよくありません。もしかしたら他の受講者も知りたがっている内容かもしれませんし、他の受講者にも是非とも知っていただきたい内容かもしれません。

質疑応答の例

「先生、このペイントで間違って線を引いてしまったんだけど、消せんの?」

(受講者全員に聞こえるように)「はい、今の質問はペイントで間違って線などを引いてしまった場合、消せるかどうかということですね」

「はい、できます。まず、画面上にあるメニューバーの編集をクリックして、元に戻すをクリックすれば間違えて引いてしまった線や、間違えて塗ってしまった色などを消すことができます。但し、気をつけていただきたいのが3つ前(WindowsXPの場合です)までしか元に戻すことはできませんので、"しまった!"と思った時点で使うようにしてください。また、この元に戻すという機能は、ワープロや表計算、年賀状ソフトなど様々なソフトについている機能ですので、覚えておくと便利です。」

(質問した受講者を向いて)「よろしいでしょうか。」


質疑応答ではまず、受講者からの質問を、全員が理解できる内容に変換して受講者全体に伝えます。
次に、「はい、できます」というように結論から話します。そしてできるのであれば操作方法を説明し、できれば上の例のように応用例なども交えます。
そして最後に受講者が今の回答に納得したかどうかを確認します。もしかしたらインストラクターの説明が理解できていらっしゃらないかもしれないからです。

3、目線

フィードバックの際、目線も重要です。受講者が理解しているか、操作ができているかをその都度確認する際、特定の人だけ見てばかりではいけませんし、明後日の方向を向いてもいけません。
短時間で全体を見渡すには、「Zサーチ」が最も楽でしょう。Zサーチとは、目線をZを描くようにゆっくりと見渡すことです。左の奥から右へ、左前へ、そして右へとゆっくりと首を動かすと全員を見渡すことができます。

4、その他のフィードバック

フィードバックにはその他に様々な方法があります。

今までの内容ができるようになっているかを把握するための練習問題や小テストも受講者の習熟度を把握するのにいいですし、同じようなところで間違っていたらアプローチの仕方を変えるきっかけになります。

講座開始時にアンケートを取るのもいいでしょう。アンケート用紙を作って記入していただいたり、口頭で「Wordを使ったことがある方はいらっしゃいますか?手を挙げてください」と言って受講前の受講者のレベルを把握しておくと後の授業に役立ちます。

フィードバックを怠ると、それは「授業」ではなく「ワンマンショー」に成り下がってしまいます。
是非フィードバックができるインストラクターになってください(^^)

インストラクター講座 6限 ~教育の要「動機付け」~

2005年04月07日 | インストラクター講座
動機付け : 【生活体を行動へ駆り立て、目標へ向かわせるような内的過程。行動の原因となる生活体内部の動因と、その目標となる外部の誘因がもととなる。モチベーション。】(三省堂 大辞林 第二版 引用)

・・・ちょっと難しい説明ですね(^^;;

講習において最も重要な動機付けとは、受講者に「やる気」を起こさせるための働きかけです。
ただ「受講料を支払ったことだし聞いておこうか」と適当に受講されるのと「ん、今日の内容は重要なんだな。しっかり吸収しないと」と意欲的に受講されるのとでは講習の流れがまったく違います。また、講習後の受講者の理解度にも大きな差が出てきます。

この「やる気」を起こさせる動機付けは、講習の内容によって違いますが、
「できないと困る」という脅迫型の動機付けと「できると便利だ」「できると役に立つ」といった希望型の動機付けとに分類することができます。

一例を挙げてみましょう。

設定 パソコン初心者講座でマウスの使い方を教える講習

動機付けがない例

「はい、本日の内容はマウス操作です。お手元にあるこれがマウスと呼ばれる道具です。
それではテキストの●ページを開いてください。マウスは2つのボタンがあり、それぞれ左ボタン、右ボタンとあります。
ではまず最初にクリックについて説明いたします・・・」

動機付けがある例

「はい、本日の内容はマウス操作です。お手元にあるこれがマウスと呼ばれる道具です。
このマウスはコンピュータを扱う上で最も重要なものです。パソコン操作の6~7割はこのマウスを使って行います。
もしもマウスを使うことができないと、皆さんが楽しみにされていると思いますインターネットや年賀状作りなど、何もできなくなってしまいます。
私もそうでしたが、最初はなかなか思うように使うことができなくてイライラしたりすることもあるかとは思いますが、マウスが使えないということはパソコンが使えないということと同じですので、この1時間は大変かもしれませんが少しずつマウスに慣れてください。

それではテキストの●ページを開いてください。マウスは2つのボタンがあり、それぞれ左ボタン、右ボタンとあります。
ではまず最初にクリックについて説明いたします・・・」

このように、受講者に「これから扱う内容は最も基本で重要なことなのだ」ということを理解させることにより、受講者の吸収力が高くなりますし、授業自体もスムーズに進みます。

また、終了後に受講者が復習する率も高くなり、その後の講習がスムーズになります。

動機付けをしっかりと行わないインストラクターの授業では、同じような質問が繰り返され、そして基本的なところでつまづく受講者が続出してなかなか先に進まなくなってしまいます。

上の例では動機付けがある方が1~2分多く時間をかけていますが、トータルではより内容の濃い講習となるでしょう。

インストラクター講座 5限 ~話し方~

2005年03月31日 | インストラクター講座
このインストラクター講座も5時限目に突入です。今回は話し方に付いてです。インストラクターは喋る商売ですからしっかりとしたトーク技術を身につけておかなければなりません。

◆話し方

1、声の大きさ

声の大きさは最も重要です。インストラクターの声が後ろまで届かなければ後ろの席に座っている受講者は受講する意味がなくなってしまいます。また逆に大きすぎると威圧感を与えてしまいます。
マイクが用意されている会場は殆どありません。
広い会場ではある程度の声量が要求されますので、声が細い方は毎日腹筋を鍛えたりお腹から声を出す訓練をしましょう。

2、抑揚

適度な声量を保ちつつも、抑揚のない話し方は子守唄になってしまいます。重要な部分は強調して声を少し大きめにしたりゆっくりと話して受講者に重要なのだということを理解していただきます。
または重要な部分を復唱するのもいいでしょう。組み合わせると効果絶大です。

3、スピード

初心者向けの講習会ではゆっくりと話すことが基本です。漫才ではないのですから早口でまくしたてて話すと受講者はついていけません。どうしても早口が直らないという方は3限で紹介しましたように一呼吸一呼吸おきながら間をあけて話すといいでしょう。

5、語尾フェードアウトは×

「このような画面が表示されます」の「されます」というあたりが声量が下がって消えてしまう「語尾フェードアウト現象」(←正式な用語ではありません。私が勝手につけただけです)を起こしてしまうインストラクターが結構います。語尾が消えてしまうと「されます」なのか「されません」なのか受講者は戸惑ってしまいます。
この語尾フェードアウト現象を起こす最大の要因は「自信のなさ」です。しっかりと講義内容を予習するか普段から使いこなして講座内容に精通し、自身を持ちましょう。

6、受講者はお客様です

目の前でインストラクターの声に耳を傾けている受講者は「お客様」です。「友達」でもなければ「生徒」でもありません。お客様にはあくまでも敬語で接しましょう。

と、インストラクターの研修で説明すると急にどもってしまい二重敬語・三重敬語になり、更に自分に対して尊敬語を使ったり相手に対して謙譲語を使ったりするインストラクターを何人も見てきました。
正しい敬語が使えるかどうかは年齢とはあまり関係ないようです。どうやら家庭でのしつけ(教育)に左右されるようです。
インストラクターから「主人が熱を出されまして今日は休ませてください」と言われたときは気の毒という感情よりも笑いが先に出てしまいました(^^;;

無理に敬語を使って恥をかくくらいなら、丁寧語を使うことだけを意識すればいでしょう。
「そこクリックして」ではなく「それをクリックしてください」とですます調で話すことから始めるといいでしょう。

7、「思います」はだめだと「思います」

「思います」を多用するのは避けましょう。例えば「私は最新のパソコンより最初は中古を買って様子を見る方がいいと思います」というような自分の意見・見解を述べるときに使用するのには問題はありません。
問題となるのは操作の指示を出すときの「思います」です。
「ここをクリックしてください・・・このような画面が表示されると思います」という使い方は厳禁です。「ここをクリックしてください・・・このような画面が表示されます」と操作の指示とその結果に付いてはすべて言い切り調で話しましょう。

8、語尾上げ言葉は×

友達同士の会話で使うのはまったく問題ありませんが、語尾上げ言葉に対して不快感を感ずる世代の方も受講されています。例えば「マウス」は最近では「ス」にアクセントを付けて言う人が増えていますが、インストラクターはあくまでも「マ」にアクセントをつけましょう。

9、略語は極力避ける

「パソコン」はパーソナル・コンピュータの略ですがこれは既に一般的に認知されている略語です。しかし、「メアド」「メルアド」「コンパネ」「コピペ」などはきちんと「メールアドレス」「コントロールパネル」「コピー&ペースト」と略さないで話しましょう。
自分が知っている略語を受講者も知っているとは限りません。

10、全然いい・・・ことはない

日本語は朝鮮語・中国語・ポルトガル語・オランダ語・ドイツ語・英語・・・と様々な外来語を取り入れて日本語にしてしまう達人ですから100%正しい日本語というものは存在しないと思っていますが、それでも年配の方が不快に感じるような誤用は極力避けましょう。
比較的よく耳にするのが「全然」です。「全然いい」とか「全然おいしい」とか、友達同士の会話で使うのは「全然いい」と思いますが、「全然」の後には否定語が来るという決まりになっていますから、インストラクターはそれに従いましょう。
また、授業終了時に「皆さんご苦労様でした」というインストラクターもいます。「ご苦労様」は基本的に目下の人の労をねぎらうときに使用する言葉です。受講者はお客様ですからあくまでも「お疲れ様でした」を使いましょう。

11、いけないじゃないですかぁ

「MOやDVD-Rってあるじゃないですか」と相手に対して強制的に同意を求めるようなこの「じゃないですか」はインストラクターが使ってはいけない言葉です。このように言われたら、「DVD-Rって一体何?」と思っても「あるじゃないですか」という言葉によって「もしかしたらこの中でMOやDVD-Rとやらを知らないのは私だけなのかな・・・」と受講者が質問したくても質問しにくい気持ちにさせてしまいます。

12、挨拶が基本です

インストラクターは授業が始まる前に教室に待機し、その日の準備をしています。準備をしながらも受講者が次々と入室されます。準備をしていても、その都度顔を上げて受講者の方を向いて「おはようございます」「こんにちは」「いらっしゃいませ」「お世話になります」「今日もよろしくお願いします」と挨拶をしましょう・・・とこんな当たり前のこと一々説明するまでもない・・・と以前は思っておりましたが言わないとできない人って意外と多いんですよねぇ・・・。

授業開始前にきちんと挨拶できるかどうかで受講者の講師に対する印象が決まってきます。会場に一歩足を踏み入れた瞬間からインストラクションが始まっていると自覚しなければなりません。

もちろん授業終了時も「ありがとうございました」「お疲れ様でした」と挨拶しましょう。

今回は話し方について簡単にまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。人それぞれのスタイルというものがありますが、インストラクター初心者の方は、まず基本をしっかりと身に付けた上で自分のスタイルを確立していってください。

インストラクター講座 4限 ~講座の組み立て~

2005年03月24日 | インストラクター講座
インストラクター講座4時限目は講座の組み立てについてです。限られた時間で無理なく終わらせることのできる内容を組み立てなければなりません。

◆講座の組み立て

通常、集合教育ではテキストを使って授業を行います。限られた時間・回数ではテキストのすべてを親切丁寧に取り扱うことができません。どうしても取り上げる部分と切り捨てる部分、そして時間が余れば取り上げる部分の3つに分類します。

取り上げる内容が決まれば流れを考えます。その際、受講者がどの程度の下地があるかを把握しておくことが望ましいでしょう。
例えば同じExcel初級講座を行うにしても、文字入力がおぼつかないような人を対象にするのと、文字入力は卒なくこなせる人を対象にするのとでは進み具合が異なります。
もしも事前に受講者のレベルを把握できない場合は、どうしても取り上げなければならないものだけで講座の流れを作り、時間が余れば取り上げる内容を別に考えておきます。

講座の大まかな流れは以下の通りです。

挨拶
教材の確認
本日の内容説明
導入
本論
まとめ
質疑応答

実際には導入と本論を何回か繰り返します。

途中で想定外の質問をされることもありますし、マシントラブルやコンピュータの処理速度が遅いなどのトラブルによって想定外の待ち時間が生ずることもあります。
1時間の授業では、スムーズに進行して40~45分、2時間の授業では1時間40分程度で終わる内容で組み立てるといいでしょう。
特にインストラクターになりたての人に多いのですが、たくさんのことを教えて差し上げようとボリュームの多い組み立てを行う人がいらっしゃいますが、尻切れトンボになったり、本当に知っていただかなければならない重要な「幹」の部分を取り上げられず「枝葉」の部分ばかりの授業に終わってしまいます。
また、思いがけず予定以上に進み具合が遅い場合に省略する部分もいくつか考えておくといいでしょう。

講座を組み立てる際に絶対にやってはいけないのが「テキストをまったく使わない」講座の組み立てです。
これもインストラクターになりたての人に多いのですが、テキストを全く使わず、完全に自分オリジナルの講座が素晴らしい授業だと勘違いしている人がいらっしゃいます。
確かにテキストに載っていない関連した知識や裏技を披露するとお客様は喜ばれます。「さすがは先生、よう知っとるのぉ」(広島弁ですみません^^;;)と感心されてその気になってしまうかもしれません。

しかし、受講者は帰宅して復習する時になって「教科書のどこを見たらいいのだろう・・・」と困惑しまいます。

テキストは講座の流れをスムーズにするためにだけあるのではなく、受講者が復習しやすくするためのものでもあります。
テキストの棒読みみたいな薄っぺらい授業は問題外ですが、パフォーマンスオンリーな授業も考え物です。

私はインストラクターに対していつも「テキストを教えるのではなくテキストで教えるのだ」と言っています。テキストを元にそれをいかに膨らませていくかがインストラクターにとって重要なことです。
そのためにはテキストに載っている内容だけを把握しておくのではなく、日ごろからそのソフトウェアや組み合わせると便利なソフトウェアについての技能を吸収していく必要があります。
1のことを教えるのに最低10の知識を持っておかなければ「あの先生は教科書に載っとることしか知らん」と受講者からの信用失墜も時間の問題でしょう・・・。
ろくな知識もないままにインストラクターをやっている人の決まり文句が「それは講座の内容から外れていますのでお答えできません」です。
確かに集合教育ではある程度流れに沿った授業を行わなければなりませんのでExcelの授業でいきなり「ホームページのアップロードの仕方がわからないのですが」というような質問をされたら丁重にお断りし、簡単に説明できることであれば休憩時間の時にでも個別に対応する程度で構いませんが、講座の内容に関連する内容で時間に余裕があれば対応できるだけの知識を備えておかなければなりません。

さて、内容が決まったら、時間が余った際の「おまけ」も考えておきます。その日の内容を復習する練習問題を用意してもいいでしょう。
また、講座で取り扱うソフトウェア以外のソフトウェアや周辺機器の紹介などを気分転換に入れるのもいいでしょう。

もしも講習中にトラブルが生じたらあたふたするのではなく、「ではこのようなトラブルが起こったときの対処方法について説明しましょう」とトラブルをも教材として活用するしたたかさをもてるようになればしめたものです(^^;;

講座で最も重要なのが「休憩」です。1時間の授業では休憩を設ける必要はありませんが、2時間の授業では10分程度の休憩を1回、3時間の授業では2回設けます。
予定よりも進む具合が遅くなった場合、休憩時間を削って遅れを取り戻すよりも内容を削ってでも休憩を取っていただくべきです。
休憩を取ることによって受講者の集中力が回復しますし、インストラクターは休憩中に次の内容の準備をすることができます。
また、休憩を設けると言っておきながら休憩を取らなかった場合、休憩を前提にトイレを我慢していたり、何か重要な連絡を休憩の時に電話しようと思っている人に迷惑をかけてしまいます。

最後に、これは男性に多いのですが「時間がないので5分にします」と休憩時間を短縮する行為は厳禁です。
休憩はお手洗いに行って帰って来られる程度の時間として10分が一般的となっています。
男性の場合は5分もあれば用を足してくることができますが女性の場合は時間がかかりますから・・・。

インストラクター講座 3限 ~必要な技能~

2005年03月23日 | インストラクター講座
インストラクター3時限目はインストラクターに求められる技能についてです。

◆必要な技能

インストラクターは教科書の内容を把握しておくだけでは務まりません。私のパソコン教室にも「パソコン教室でWordとExcelの上級を習ってきたので雇ってもらえませんか?」というような人がいらっしゃいますがすべてお断りしています。
確かにWordとExcelは広く使われているアプリケーション(ソフトウェア)です。しかし、それがある程度使えたからと言ってインストラクターが務まると思ったら大間違いです。

教室のパソコンにトラブルが生じたときには即席でメンテナンスを行わなければなりませんし、お客様からのパソコンや周辺機器を買いたいけど何が良いかといった質問への対応をすることもあります。
そのためにはハードウェアの知識やLANの知識なども必要になります。

また、お客様がやりたいと思っていることがExcelで実現しようとするとかなり複雑なものになり、データベースソフトのAccessを使ったほうが簡単にできる、といったこともありますので、Accessの知識も必要になります。

よく、「Accessは一部の人しか使わないから」なんて言うインストラクターもいらっしゃいますが、パソコンというものはケース・バイ・ケースで適したソフトウェアを組み合わせて使う道具ですから、インストラクターは幅広くそして深い知識を蓄えておかなければなりませんし、蓄え続けなければなりません。

普通のパソコン教室のインストラクターの場合、Word、Excel、Access、Power Pointは卒なく使いこなせてなんでも聞いてくださいというくらいになっていなければなりませんし、メモリの増設やFDISKの使い方とOSの再インストールくらいはできるくらいの技能は持っていてほしいものです。

最もインストラクターに向いていない人は「初心者なら教えられます」という人です。マウスの使い方などから説明しなければならない初心者に教えるということは最も難しいことなのです。
私は検定試験の対策講座などはとても気が楽になります。ある程度の下地がある人にテクニックを教えたらいいからです。ところが初心者コースとなると毎回身が引き締まる思いがします。インストラクターになって7、8年くらいになりますが、今でも「今回のお客様は私のせいでパソコンを嫌いになったりしないかなぁ・・・」と責任の重さをヒシヒシと感じます。
「初心者なら教えられます」という人はその重大さがわかっていないので安易に考えるようですが、「Windowsって一体何ですか?」とか「クリックとダブルクリックはどんな違いがあるんですか?」というような普段は何気なく思っていることでも聞かれると「えっ!!」と返答に困るような根本的な質問をされることも多々ありますので、インストラクターとしての技量を問われます。

インストラクターにとって絶対に忘れてはいけないのが「初心者だったときの自分」です。自分では当たり前と思っていることでも初めての人にとっては難しいことです。しかし、思い返してみれば自分もはじめて使うときは「難しい」「どうやるんだろう?」「なんでこうしないといけないの?」と感じたはずです。
初心者を見下すような気持ちを持ったらおしまいです。自分だって最初は初心者だったわけです。初心者を見下すようなインストラクターに多いのが「専門用語で煙に巻く」行為です。
本当にコンピュータに精通している人であれば、専門用語を極力使わないでわかりやすい説明ができるものです。
また、やたらと専門用語を並べたり「昔はMS DOSでうんぬん」と昔話を自慢げに話すインストラクターは自信過剰か逆に技量のなさを専門用語でごまかしているかのどちらかです(^^;;
第一、受講者はお金を支払ってわざわざお越しくださった「お客様」なのですから、失礼ですよね・・・。

お客様から「先生」なんて言われて舞い上がる気持ちもわからなくもないのですが、期待されて「先生」と呼ばれているのですからその期待に応えなければならないという責任感を持たなければなりません。

インストラクターは「しゃべる」商売です。受講者が理解できる速度で話さなければなりません。緊張すると早口になるという人はインストラクターには不向きと言わざるを得ません。しかし、早口というだけでインストラクターを諦めなければならないわけではありません。経験上、早口はなかなか矯正することができない癖です。直せといわれて意識しすぎると話す内容を度忘れして頭の中が真っ白になったり、そうこうしているうちにまた知らず知らずのうちに早口になったり・・・。
早口の人は「間を置く」ということを意識して行えば欠点をカバーできます。
「ではスタートボタンをクリックします」(一息間をおいて)「次にすべてのプログラムをクリックしてください」(一息間をおいて)「アクセサリにマウスポインタを・・・」といった感じで間をおきながら話すと早口をある程度カバーすることができます。

また、声の大きさも重要です。小さな教室なのにドデカイ声で話すと威圧的になりますが、小さすぎるのも困ります。蚊の泣くような声で説明されても後ろの席に座っている方には聴こえません。
特に"比較的"若い女性の方に多いのですが、声が小さくて後ろまで聞こえず、「もっと大きな声で話さないと後ろ聞こえませんよ」と注意すると頑張って出すのですが次の日「のどの調子が悪いので休ませてください」と・・・(^^;;
不思議と「オバチャン」になるとうるさいくらいでかくなるのになぜでしょう・・・(^^;;;

パソコンが「使える」ということと「教えられる」ということは別物なんですね。

インストラクター講座 2限 ~教具の使い方~

2005年03月22日 | インストラクター講座
教具の使い方2時限目は、プロジェクタと指示棒の使い方についてです。

◆プロジェクタ(大型テレビ)

個別レッスンではプロジェクタを使うことはまれですが、集合教育ではプロジェクタを有効活用することにより受講者の理解度向上を図ることができます。

プロジェクタはインストラクターのパソコンの画面を受講者全員に見ていただくための装置です。

操作の「お手本」を表示したり、Power Pointで作成したスライドショーを流して説明したりと、活用方法は様々です。

操作のお手本を受講者に見せながら操作を行うとき、最も重要なのは受講者に「プロジェクタを見る」「操作を行う」この区別をしっかりとすることです。

例えば
「このスタートボタンをクリックするとこのようにメニューが出てきます。次にすべてのプログラムというところにマウスポインタを合わせると使用できるソフトウェアの一覧が表示されます。皆さんできましたでしょうか?」
と説明すると、受講者は「えっ、今の操作一緒にやらないといけなかったの?」ということになり、進み具合がバラバラになって恐ろしい講義になってしまいます。

基本的な説明方法は以下の通りです。
「ではこれからペイントの起動について説明いたします。まずはこちらのプロジェクタをご覧ください。私が一度一通りやって、その後で皆さんと一緒に操作します」
「このようになります。では一緒にやってみましょう。皆さん、マウスを持ってください。」
「では画面の左下にあるスタートボタンをクリックしてください・・・前のプロジェクタと同じようにメニューが出てきましたか?・・・よろしいようですね。では次にすべてのプログラムに・・・・」

最初にインストラクターがお手本を示し、その後で一緒に操作を行うということを受講者に知らせてとにかく最初は画面を見ればよいということを受講者に知らせます。
次に「一緒にやってみましょう」と「マウスを持ってください」という言葉により、受講者にこれから実際に操作をするのだということを認識していただきます。
そして一つ一つ、操作を行うたびに「よろしいでしょうか」「できましたでしょうか」「違う画面が現れた方はいらっしゃらないでしょうか」と受講者が問題なくついていっているかを確認しながら進めていきます。

このように、受講者にどうしてもらいたいのかということを明確にすることによってはじめてプロジェクタの威力を発揮します。
そうでなければ受講者を混乱させるだけの代物と化してしまいます。

◆指示棒

プロジェクタの画面やホワイトボードなどに書いた文字や図表を指示棒で指して説明することも多々あります。

指示棒の使い方にも基本的なルールがあります。

まず持ち方です。伸び縮みできるタイプの指示棒が殆どですが、必要な時以外は短くしておきます。また、指示棒で受講者を指すことは厳禁です。感じ悪いですし、第一失礼です。
そしてプロジェクタを指すときですが、必ず受講者の方を向いて指します。プロジェクタの画面を向いて話すと後ろの席まで声が届きません。
プロジェクタを指すときに気をつけなければならない点は、受講者の方向を向いて左側に画面があるときです。右利きの人が多いと思いますが、この場合は左手で指示棒を持たなければなりません。
右手で指すと、画面は左側にありますので自ずと体が斜めになりプロジェクタの方向を向いて話すような姿勢になってしまいます。

画面の一点を指す時、くるくると回してはいけません。もちろん「このあたりですよ」という意味でくるっと回すのはいいのですがその後で「この部分」をしっかりと固定し、そして受講者全体を見渡して全員が見ているかを確認します。
この一点を暫く指すという行為は説明してもなかなか実践できない人が多いようです。




インストラクター講座 1限 ~教具の使い方~

2005年03月22日 | インストラクター講座
せっかくインストラクターの仕事をしていますので、インストラクターに必要な技術などについて少しずつ紹介していきたいと思っています。

1時限目は教具の使い方についてです。

教具とは、インストラクション(授業)で使用する道具のことです。パソコンのインストラクションでは、ホワイトボード、プロジェクター(または大型テレビ)、指示棒の3つが代表的な教具です。
いずれもお客様(受講者)の視覚に訴える道具です。

今回はホワイトボードの使い方についてご紹介します。

◆ホワイトボード

ホワイトボードにはポイントとなる語句を書いたり、操作の流れをまとめたものを書いたりします。
特に教科書に載っていない専門用語を使用する際は必ずホワイトボードに書かなければなりません。
例えば「CPU」という用語を話したとしますと、受講者は「シーティーユー」と聞こえてしまうかもしれません。そのお客様は「CTU」と覚えてしまうかもしれません・・・。

ホワイトボードの面積には限界があります。もしかしたら1回の授業の中で何度も消して書く必要があるかもしれません。
ホワイトボードの文字を消すときは必ず受講者に「こちら、消してもよろしいでしょうか?」と確認して了解を得てから消すように心がけましょう。

また、複雑な操作の流れをホワイトボードに書く場合、その内容を1枚の紙に書いたものを用意してくと、「時間が無いので消させていただきますが、もしも最後までノートを取れなかったという方がいらっしゃいましたらこの紙に同じものを書いていますのでよかったら休憩時間にご覧ください」といった対応ができます。

会場にもよりますが、大抵ホワイトボードの下から1/3までのスペースは「デッドゾーン」といい、どうしても・・・という場合以外は使用すべきではないスペースです。
講師用の机などで受講者から見えないからです。

どうしてもデッドゾーンを使用せざるを得ない場合は、一言「申し訳ございませんが書くスペースが足りませんから見えにくい方は少し立って見ていただけませんでしょうか」と断りを行ってから使用しましょう。

デッドゾーンは会場によって異なります。初めて講義を行う会場では必ず四隅の席にそれぞれ座り、会場のホワイトボードのデッドゾーンを把握してください。

ホワイトボードマーカーのインクが切れていることもよくありますので、授業開始前に試し書きをしてください。

会場によっては予備のマーカーを切らしてしまっていることがありますので、赤・青・黒のマーカーを常に携帯しておくと便利です。

マーカーはパイロット社のものが乾きが早くてイレーザー(白板消し)で消すときにインクが伸びずにポロポロとはがれるタイプですのでお勧めです。
数十種類のメーカー・製品を購入して、最も使いやすかったのがパイロットでした。
ホワイトボードマーカーの匠と呼んでください(^^;;

ホワイトボードはマーカーで文字や絵を書くだけではなく、資料を貼るスペースとしても利用します。
ホワイトボードは大抵マグネットを使用できるタイプですが、そうでないものもありますので、初めての会場にはマグネットとセロハンテープを持参するといいでしょう。

会場の備品と区別するために、マーカーやマグネットにはすべて自分の名前を書いておくといいでしょう。

◆こぼれ話

IT講習会で、「どうしてもメモを取っていただきたい重要なことは赤色で書きますのでよろしくお願いします。」と最初に説明をして講義を始めました。

休憩時間になって受講者の方から「すみません、赤色がよく見えないのです・・・」と言われました。理由を聞くと、色盲で赤色がよく見えないとのこと。
それ以来、講座の最初に赤・青・緑・黒のマーカーでそれぞれ線を引いて、「この4つの線で見えにくいものがある方はいらっしゃいますか?」という説明を追加しました。