徳島商工会議所青年部 Official Blog 藍風

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徳島市における一般生活ごみ処理についての提言書 (徳島YEGの歴史/1999年~2006年/藍風)

2007年06月01日 | 平成18年度以前の報告

徳島商工会議所青年部まちづくり提言委員会


徳島市における一般生活ごみ処理についての提言書

 

徳島商工会議所青年部

まちづくり提言委員会

 

はじめに

この提言書は徳島商工会議所青年部まちづくり提言委員会において平成15~16年度の2カ年を掛けて徳島市の一般生活ごみ処理について検討してきた内容をまとめたものです。徳島市においては平成16年10月からプラスチック製容器包装の分別収集がはじまりそれまで行われてきた「燃やせないごみ」の埋め立て処理からリサイクルするようになってきました。また今後、埋め立て地の受け入れ先に見通しがたたない状況からもなお一層「埋めないでリサイクルする」必要がでてきました。そういったなか、徳島市の一般生活ゴミの現状を調べこれからのごみ処理のありかたについて提言をまとめ徳島市民にとっての生活環境の改善やこれからのまちづくりの一助になれば幸いと考えます。



 

1.分ければ資源、混ぜればごみ

平成16年10月より徳島市のごみ収集は8分別になりました。

容器包装リサイクル法に準ずるなかで、「それまでの燃やせないごみ」は、「プラスチック製容器包装」と「金属や陶器、ガラスなどの燃やせないごみ」に分別収集され、「プラスチック製容器包装」は中間処理施設で原料や燃料として再利用されるようになり、その分埋め立てされるごみの量は少なくなりました。

その他の分別としては、「缶・びん・ペットボトル」「新聞紙」「雑誌・ダンボール・紙パック」「粗大ごみ」「有害ごみ」と「燃やせるごみ」となっています。

現在「燃やせるごみ」以外は、収集後リサイクルされていますが、「燃やせるごみ」は、ごみ焼却施設において焼却され、そこから出る灰を埋め立てています。

北海道の富良野市では、「ごみは燃やさない・埋めない」しくみが市民とともにすすめられ、「固形燃料ごみ:紙くず、お菓子の箱、衣類、たばこの吸い殻、チリ、綿くずなど」、「生ごみ」「衛生用品・ペット糞等」「枝草類」「動物の死体」に分けて定められたごみステーションで収集され、そのほとんどがリサイクル処理されています。

富良野市の担当者から、「ひとくちに"ごみ"と言うが、分ければ資源、混ぜればごみなんですよ。」というお話しは大変印象に残りました。

 

2.燃やすのも一つの選択

富良野市では、国からのダイオキシン規制が厳しくなった時期に古い焼却炉を建て替えるか議論されたようで、埋め立て地にカラスが群がり、観光を目玉にしているこの地域で観光客はもとより地域住民からも美観や悪臭についての苦情が起こり「ごみは燃やさない・埋めない」方針を決めたようです。 徳島市では現在、東部と西部に大規模なごみ焼却施設を稼働しており、「燃やせるごみ」は、国の環境基準に適合する施設で処理され、そこから出る灰や汚泥だけが埋め立てられています。

すでに焼却施設が整備されている徳島市においては、燃やすのも一つの選択肢です。

ただ富良野市役所の担当者が松田みやこ氏の講演の話として、「ゴミは末期ガンの患者であり、手当てできないからといって燃やすのか。生かす努力はしないのか。」という指摘に対して、「なんでも燃やす」というのではなく、「どうしても燃やさないといけないものだけ」を燃やせばよいのではないかということです。

 

3.燃やせるものは再資源化し、固形燃料にする

徳島市では、紙くず、お菓子の箱、衣類、たばこの吸い殻、チリ、綿くずなどは、ごみ焼却場で「生ごみ」「衛生用品・ペット糞等」「枝草類」「動物の死体」といっしょに焼却処理されています。

「紙くず、お菓子の箱、衣類、たばこの吸い殻、チリ、綿くず」や「枝草類」は、固形燃料の原料になります。結局は燃やすのかと言う指摘もありますが、燃料として再利用する方法です。

本来の再資源化(紙は紙に、衣類は衣類に)をはかることも可能ですが、そのためにはそれぞれにさらに分別するための労力と費用がかかるようです。

 

4.生ゴミは発酵して堆肥にする(集約処理か個別処理か)

富良野市においては、周辺の5市町村で出資した「環境センター」で生ごみを堆肥に加工し販売しています。

徳島市においても、生ごみの堆肥化施設をつくることは可能ですが、その施設の維持管理のことを考えるとなかなか現実化は難しいと思われます。しかし、生分解性プラスチックのごみ袋を活用し、家庭内の生ごみを家庭内で堆肥化処理することも可能です。

徳島市では以前、EMぼかしを使った生ごみの堆肥化を各家庭に推奨した時期がありました。EM用の密閉バケツを無償配布したことも記憶にあたらしいのですが、現在では生ごみ処理機(生ごみを電気的に処理して堆肥にする機械)の購入補助をおこなっています。

ここであらたに、「生分解性プラスチックでできた生ごみ処理用の袋」を希望者に配布し、各家庭で生ごみ堆肥をつくり土壌改良に役立てて頂こうというものです。

一軒の家から出る生ごみは、それほど多いものではないので生分解性プラスチックでつくられたレジ袋程度の大きさの処理袋があれば、2~3日分の生ごみを水切りして土に埋めれば、早いものでは2~3日、遅いものでも2週間で、分解(水と二酸化炭素)し土に還り、中に入っていた生ごみも袋同様に、土中の微生物によって分解され自然に堆肥化されていきます。埋める際に生ごみの袋にEMぼかし等を入れてから密閉すると2週間ほどで悪臭の出ないEM堆肥となり、出来上がった堆肥を地中に埋める手間もいらず、家庭菜園や草花のプランターの有用な肥料となります。

地球規模では、食糧不足や多く栄養失調の小児の救済が求められている状況下にあって、食事の食べ残しや調理で出た野菜の皮などを使って、家庭内で堆肥をつくることは立派なリサイクルといえます。

 

5.ペットボトルや空き缶をポイ捨てしないようなしくみ

欧米では清涼飲料水をはじめ、調味料やお酒にいたるまで、その製品の製造者責任を問う動きもさかんで、容器の回収やリサイクルを義務付けるところさえあります。これが日本では、容器包装リサイクル法という形で実現しましたが、いまだに空き缶などのポイ捨ては無くならず、まちなみ景観の阻害要因にもなっています。

ペットボトルや空き缶にあらかじめ回収容器代金を上乗せして販売することで、回収率を高めると共に、車からのポイ捨てを減すことができると思われます。

北欧ではすでに施行されている制度で、空き缶1個が15~25円で回収されています。

回収容器代金を上乗せした商品かどうかを誰でも見分けられるようにすることで、回収されるときの価格は保証されます。

これは、徳島市に限らず広いエリアで行うことでより大きな成果を得られると思われます。

 

6.分別をすすめるためにそれぞれの専用袋を活用する

徳島市においては、曜日の指定によって収集する品目を分けていますが、より分別をすすめるためにそれぞれの専用袋を活用する方法があります。

具体的には
「プラスチック類専用袋」
ペットボトル専用袋」
「生ゴミ」
「空き缶専用袋」
「固形燃料専用袋」
「衛生用品ペット糞等専用袋」等
色を変えた袋でそれぞれの収集を行うというもので生ごみは土に還る「生分解性プラスチック製の処理袋」を希望者に配布または販売します。専用袋による収集は、実際に富良野市では行われています。

 

7.徳島市が固形燃料施設や生ゴミ処理施設をつくるのか

徳島市が固形燃料施設や生ゴミ処理施設をつくるのではなく、プラスチックごみの中間処理施設の運用と同じ様に、専門処理業者に委託することが望ましい姿だと考えます。

徳島市が分別された固形燃料資源ごみや生ごみなどの収集を行い、処理施設までの搬送を行うといったものです。中間処理に必要な費用を徳島市が負担し、リサイクル資源の受け取り先がそれを引き継ぐことで、ごみ処理にかかる費用を軽減できます。

8.生分解性プラスチックの生ごみ処理袋の活用について

家庭から出る生ごみは水分を多く含むため、焼却施設による処理に大きな負担をかけています。水分の多い生ごみは炉の温度を上げるときの妨げとなるばかりか、燃焼時のダイオキシン発生の引き金ともなります。また炉の温度を高く保つために化石燃料も多く必要とします。 少しでも生ごみを家庭内で資源化し、堆肥として活用するなかで「どうしても燃やさないといけないもの」だけを燃やせばよいと考えます。

小売店のレジ袋に生分解性プラスチックを導入し、身近な環境改善に役立てていくこともこれからの課題です。

そのためにも徳島市において、生分解性プラスチックの処理袋の導入支援を積極的にすすめていただきたい。

すでに家電メーカーではさまざまな日常家電製品に生分解性プラスチックを使い始めています。全国レベルで、コンビニ弁当の容器などに生分解性プラスチック容器を使うことはできないものでしょうか。 山や川、海に放置されたプラスチックごみを少しでも減らしていくためには、捨てないことはもちろん、もし誤って捨てられたとしても土に還るものであって欲しいものです。

生分解性プラスチックは、トウモロコシなどが原料のポリ乳酸で出来ており、土に埋めれば土中の微生物に分解されて水と二酸化炭素に還ります。 コンビニ弁当等の容器や買ったものを入れるレジ袋もすべてを生分解性プラスチック製にすると、そのまま水気を切り、土に埋めるだけで生ごみ堆肥ができます。ごみが資源になるのです。

食品関係の企業が生分解性プラスチックを導入すると、生ごみ処理は家庭で個別に行うことも可能になります。

 

終わりに

2年間かけて徳島市の一般生活ごみの現状を調べ、提言というかたちでふれてきました。我々徳島商工会議所青年部は、徳島市に事業所をもつ経済人としてこれからの徳島市の環境行政においてもできうる限りの協力をしていきたいと考えております。言葉足らずの箇所もあるとは存じますが、真意を汲んでいただき、これからの環境行政にお役立て頂ければと存じます。





平成17年3月吉日

■徳島商工会議所青年部

まちづくり提言委員会メンバー

齋藤智彦 (まちづくり提言副委員長)
中野真弘 (まちづくり提言委員長)
和田茂夫 (まちづくり提言副委員長)
浦野広樹 (まちづくり提言委員)  
浜田 宏 (まちづくり提言委員)
福永貴仁 (まちづくり提言委員)
石川雅一 (まちづくり提言委員)
原 秀樹 (まちづくり提言委員)
元木康浩 (青年部会長)
梯 学 (担当副会長)
三谷郁彦 (副会長)
森 敏明 (青年部会員)
川人洋一 (青年部会員)
伊藤洋治(青年部会員)
多田哲也 (青年部会員)
元木秀章(青年部会員)
神崎眞一郎(青年部会員)



<別添資料>

■まちづくり提言委員会記録(以下敬称略)

平成15年4月23日(水)徳島商工会議所会議室

まちづくり提言を行うテーマや分野、課題についての検討

出席者
原秀樹
楠木俊治
福永貴仁
齋藤智彦
和田茂夫
中野真弘
梯 学
三谷郁彦
事務局:手城、竹内

 


平成15年6月17日(火)徳島商工会議所議員会議室

まちづくり提言を行うテーマや分野、課題についての検討

出席者
齋藤
和田
中野

元木
事務局:手城

 




平成15年8月25日(月)徳島商工会議所会議室

徳島市生活環境課ごみ減量対策係:黒川係長を招いての意見交換会

出席者
森敏明
川人洋一
白川真三
齋藤
和田
中野

元木
事務局:手城、竹内

 



平成15年11月25日(月)

徳島市の主要ごみ処理施設視察

国府 東部環境センター

丈六 分別処理施設

沖洲 最終処分場

出席者
齋藤
和田
中野

事務局:手城、竹内

 





平成16年11月5日 富良野市役所会議室

北海道富良野市役所市民部環境リサイクル課において

佐藤課長はじめ担当係長を交えての意見交換会

出席者
齋藤
和田
中野

元木








平成16年11月5日

富良野市環境センター(生ごみ堆肥化処理施設)視察

出席者
齋藤
和田
中野

元木





 

平成16年12月10日

徳島市プラスチック製容器包装廃棄物中間処理工場視察

三幸クリーンサービスセンター(マリンピア工場)

出席者
齋藤
和田
中野

事務局:手城

徳島市生活環境課ごみ減量対策係:黒川係長

三幸クリーンサービスセンター:中山専務他

 







平成17年2月22日徳島商工会議所会議室

提言書の検討会

出席者
齋藤
和田
中野

三谷
伊藤洋治
多田哲也
元木秀章
神崎眞一郎
事務局:竹内















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