Entre ciel et terre

意訳して「宙ぶらりん」。最近、暇があるときに過去log整理をはじめています。令和ver. に手直し中。

ふと、「昆虫食」について思う。

2023年08月30日 | 日々雑感
 とりとめのない話になりますが、先日、たまった新聞のスクラップを整理していたときに、≪「昆虫食」普及へ改良進む≫(読売新聞2023.2.4.)という記事を見つけました。
 タイトルのインパクトに、思わず切り取って残しておいたのでしょう。

 私はむかし、南アフリカに旅行で行ったときに、「モパニワーム」というヤママユガの幼虫を、油で揚げたものを食べる機会を得ました。いかにも観光らしく、食べた人には「モパニワームを食べました証明証」を作ってもらった記憶があります。そのとき食べた感想は、「甘くない、揚げたかりんとうのようなもの」を食べた印象でした。それを美味と言い切っていいものやら、云々(物は試しに、感が強かった。あれがプレートに山盛りに持ってこられたら、かなり戸惑ったと思う)。

 記事を読み直してみると、食糧安全保障の重要性が高まっているからこその考察であることが読み取れます。
 今夏のような気候変動や、異常気象、自然災害が発生すれば、農産物の生産に大きく影響しますし、世界的な人口増が食料(特にたんぱく源)に及ぼす影響も指摘されています。また、ここ数年の国際情勢が、食料に対する不安をさらに助長しているとも言えます。

 とはいえ、抵抗感は強いと思います。調べてみると、昆虫食の歴史は、世界のいたるところで見られるにも関わらず、やはりその文化的行為が避けられるようになったのは、西洋事情を中心に取り入れた点にあったのかも知れません。

 他のサイトなども派生して覗き見してみますと、興味深いのが「そのままの姿で食すのではなく、加工して食べれば抵抗感はより少ない」との記述です。
 確かに、スーパーにならんでいる刺身が、すべて魚の形ではなく、食べやすい形にされている点を考慮すると、昆虫食だってパンや、麺や、ハンバーグに練りこまれていれば、食料として重視できるのかも知れません(もちろん、安全性は考慮)。

 データでみると、例えばイナゴなどは高カロリーで、粉末にしてしまえばだいぶ抵抗感はないような論文もあります。
 ザザムシとか姿見で食すのは、慣れていない人はいきなりは辛かろう。
 薬や漢方として、知らず知らずに使われているかもしれないことを考えると、実は我々は、どさくさにまぎれて、案外、虫を遠回しに食していますね。
 (思い出した、富岡製糸場も、お蚕さまのたんぱく質成分を利用したお菓子や食材を作っていなかっただろうか?)

 とまぁ、いろいろ話の広げかたで様々に考えられる話のネタだということは分かりました。
 ・栄養価については、だいぶ高い。だから、利用する価値はあり。
 ・しかし、見た目の抵抗感、衛生観念はどうしてもつきまとう。歴史的背景や新たな価値観の模索
 ・食文化としての昆虫食
 ・自然との共生:食用昆虫の大量生産がもたらす、自然への影響もありえそう。生態系が崩れるとか。

 さて、ここまでざーっと書いてはみましたが、「昆虫食」は、今後、どうなるのでしょう。
 いろいろ変化の激しい時代ですから、これが当たり前の時代は、そう遠くはないのかも知れません。そう考えると、食す側の我々の心の持ちようも、大事なような気さえします。



【参考】
・新井哲夫、東野秀子「昆虫と食文化」『山口県立大学学術情報』(2巻、pp.106-123、2009年)山口県立大学
https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001337535768704(閲覧8/28)
・昆虫はなぜ食べられなくなったのか。
https://semitama.jp/column/1464/(閲覧8/28)


2 コメント

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日本の商社では、 (舶匝)
2023-08-30 10:18:15
飼料用穀物(現状、殆ど輸入品)の代替品として、昆虫を使う動きも出ています。
ちなみに現状、放牧中牛ですら、草に混ざる虫を食べているそうです。
食べる主体を、人以外に広げると、昆虫食の引き合い先は随分と変わるでしょう。
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Unknown (管理人)
2023-09-24 17:30:45
舶匝 様
遅ればせながら、コメントを残していただきありがとうございました。
なるほど、仰る通り、昆虫食がどのように利用されているのか。そういう視点で考える必要性もありますね。勉強になります。
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