まただ…
頬を冷たいものがつたうのを感じて、自分が泣いているのだと気付く。
奴に突き立てた刃物を乱暴に置いて、自分に問いかける。
ーーーなぜこんなことをしているのか…?
ーーーこんなことをして何になる…?
歯を噛み締め、必死に堪える。
この冷たい涙に感情などない。
奴らを火油でイタめつけさえすれば止まる自分の涙に、‘後ろめたさ’などという感情がないのはわかりきっていることなのだ。
おそらく反射的なものなのだろう。
“夜明けまでに奴らを始末する”
これが自分の任務である。
夜明けまでただひたすら、無抵抗な彼らを切り割いていくのだ。
この任務を担ってからしばらくの月日が経つのだが、この不本意な涙が流れない日はない。
無心になって作業をこなす中、涙に気付いてふと我にかえる。
そして再度問う。
ーーーなぜこんなことをしているのか…?
ーーーこんなことをして何になる…?
しかし、元より答えは一つに決まっているのだ。
“愛しい依田ちゃんを笑顔にしてやりたい”
彼女の笑顔には素敵な力がある。
まるで、彼女の周囲にいる全ての人たちに幸せをもたらすような…
彼女は、言わばこの世界の光なのである。
彼女を見ていると自分の犯している罪が許されるような気さえするのだ。
彼女の笑顔を守るためにも…
私は今日も玉ねぎに包丁を突き立てる。

頬を冷たいものがつたうのを感じて、自分が泣いているのだと気付く。
奴に突き立てた刃物を乱暴に置いて、自分に問いかける。
ーーーなぜこんなことをしているのか…?
ーーーこんなことをして何になる…?
歯を噛み締め、必死に堪える。
この冷たい涙に感情などない。
奴らを火油でイタめつけさえすれば止まる自分の涙に、‘後ろめたさ’などという感情がないのはわかりきっていることなのだ。
おそらく反射的なものなのだろう。
“夜明けまでに奴らを始末する”
これが自分の任務である。
夜明けまでただひたすら、無抵抗な彼らを切り割いていくのだ。
この任務を担ってからしばらくの月日が経つのだが、この不本意な涙が流れない日はない。
無心になって作業をこなす中、涙に気付いてふと我にかえる。
そして再度問う。
ーーーなぜこんなことをしているのか…?
ーーーこんなことをして何になる…?
しかし、元より答えは一つに決まっているのだ。
“愛しい依田ちゃんを笑顔にしてやりたい”
彼女の笑顔には素敵な力がある。
まるで、彼女の周囲にいる全ての人たちに幸せをもたらすような…
彼女は、言わばこの世界の光なのである。
彼女を見ていると自分の犯している罪が許されるような気さえするのだ。
彼女の笑顔を守るためにも…
私は今日も玉ねぎに包丁を突き立てる。
