■【主張】職員会議 採決は校長の権限を縛る

2006年04月23日 | 政治 経済
 東京都教育委員会は、学校の職員会議で挙手や採決を行うことを不適切とする通知を出した。教職員による採決は校長の権限を奪いかねず、都教委の指導は当然だ。
 都教委は平成十三年六月、「職員会議の議決により校長の意思決定権を拘束する学校運営は認められない」とする通知を出していた。しかし、今年一月の調査により、一部の学校で学校運営などに関する採決が行われ、それが校長の意思決定に影響を与えていたことが分かった。今回の通知は、それを是正するための措置だ。
 一部マスコミや知識人は、民主主義の多数決の原理に反するなどとして、都教委を批判している。
 しかし、公教育の現場では校長の意思決定が優先し、たとえ教職員の多数意思であっても、それを否定することは許されていない。校長は職員会議の意見を参考にしてもいいが、最後は自分自身で決断しなければならない権限と責任を持っている。民主主義のルールをはき違えてはいけない。
 もともと、職員会議に関する法規定はなく、慣習とし認められていたに過ぎなかった。教職員組合の勢力が強い学校では、職員会議があたかも最高議決機関であるかのように誤解され、教育現場を混乱させてきた。
 広島県で七年前、国旗国歌問題をめぐり連日連夜の職員会議や教職員組合との交渉に追われた校長が自殺した。また、埼玉県立所沢高校では八年前、職員会議に加え、生徒会までが校長の指導に従わず、入学式や卒業式をボイコットした。
 こうした悲劇や混乱を防ぐため、旧文部省は職員会議を「校長の補助機関」と位置づけ、意思決定機関ではないとした。都教委の一連の通知は、これを受けたもので、他の自治体もそれぞれの地域の実情を踏まえ、校長の指導力を強化している。
 それでもなお、東京都国立市で、過激な教員の影響を受けた小学生が、卒業式に国旗を掲げた校長に土下座謝罪を求める事態が起きた(平成十二年)。広島県尾道市では、民間人校長が職員会議による“いじめ”同然の反発を受けて自殺した(十五年)。
 校長には、こうした理不尽な職員会議の意向には左右されない強い指導力が求められる。

Sankei Web 産経朝刊 主張(04/23 05:00)
http://www.sankei.co.jp/news/060423/morning/editoria.htm


最新の画像もっと見る