マンション建設反対運動をする方々へ - 失敗の経験をお話します

マンション建設反対運動をする方々へ、私の体験した失敗談をご披露いたします。

1. はじめに

2012-01-03 15:14:05 | 日記
マンション建設反対運動の会を立ち上げたものの私たちの会は脆くも崩れてしま
いました。
主な原因は二つあると考えています。その1は私たちが反対運動のやり方につい
て無知であったということ。その2は悪質な政治家に妨害されたためだと考えて
います。

私たちが無知であったというのは止むを得ないことです。反対運動についての
経験と知識を持った人が住民の中にいるということは、皆無とはいえないとして
も、あまりないことだからです。それ故政治家が力になろうと言ってきたとき、
裏切られるなどと疑いもせず、頼り切ってしまったのです。

これらの問題にどう対処したらよいのかを、私なりに考え、反対運動をする方々
の参考にしていただき、少しでも悔いのない活動をして欲しいと考えました。

以下に書くことは運動の過程で出会う全ての問題をカバーするものではありま
せん。私の知らないこと、経験しなかったこと、書き漏らしたことなどがあり
ます。その点ご留意のうえお読み下さい。

「マンション紛争 Q&A」 というホームページ
インターネット上のホームページに「マンション紛争 Q&A」というサイトが
あります。このサイトはマンション紛争について総体的に分かり易く、説明、
解説をしています。マンション建設にどのように対処したらよいか、とお悩みの
方は、私の文をお読み下さる前に、まずこちらをお読みになるようお勧めしま
す。
私は、別項で述べる、工事協定書案のみならず、全般的にこのサイトから非常に
有益なアドヴァイス、情報を教えていただきました。

同サイト管理人様 失礼とは思いますが、当サイト上でお礼を申し上げます。本当
に有難うございました。

なお、記事をご参照いただく際は、ブログの左欄にある<記事一覧>より
項目を番号順に選んでクリックしてお読みいただければ幸いです。

【目次】
1.はじめに
2.参加の呼びかけ 会議の進め方
3.政治家にだまされた
4.朝日の記事 必ずしてほしいこと 工事協定1
5.工事協定2





















2. 参加の呼びかけ 会議の進め方

2012-01-03 15:13:45 | 日記
反対運動を始めるにはまず出来る限り多数の賛同者を集めることが大切です。
多数の賛同者を持つ集まり(以後「会」と書きます)は力そのものです。
建築主は勿論、行政、政治家も無視出来ない力なのです。さまざまな知恵と
知識の集団でもあります。ではどうやって力である多数の賛同者を集めるか。

近所付き合いの少ない現在でもお隣さんとは言葉を交わすでしょう。先入観を
持たず話しかけてみましょう。お隣さんが反対運動の趣旨に賛成してくれたら、
お隣さんのお隣さんや知人に声をかけてくれるよう頼みます。こうして少しずつ
輪を広げてゆきます。ある程度賛同者が集まったら周辺の住民に参加してくれる
よう呼びかけます。

私たちの会は当初7人で始まりました。ここで住民集会開催のチラシを作成、
7人が手分けして周辺住民のお宅へ配りました。

この段階で失敗がありました。マンション建設予定地に一番近い隣接地に
24世帯を収容する小さなマンションがありました。この住民に参加の呼びかけを
しなかったのです。
理由は、建築主の代理人である法律会計事務所がそのマンションを所有してお
り、既にそこの住民に圧力をかけているから無駄であるという意見でした。
そんな先入観を持たず参加を呼びかけるべきだという意見は出ませんでした。

後に私は、そのマンション住民が一斉にごみ出しをするという日時を見計らい
声をかけました。住民の皆さんは興味のある顔つきで話しを聞いてくれました。
私はそんな呼びかけを続けるつもりでいましたが、出来なくなりました。その
いきさつについては別に書きます。24世帯の内何世帯かでも参加してくれれば
力が増したのにと残念でなりませんでした。
私は建築現場への資材搬入路沿道約1kmの住民へもチラシで参加を呼びかける
つもりでした。しかし、それも出来なくなりました。

さて住民集会を開きましたが、そこでもいくつか気がついた失敗があります。

会議の進め方
はじめに「何も決められない会議は開くな」ということを強く述べておきます。
何も決められない会議は参加者全員にとり時間、労力、費用の無駄です。
私たちの会では会議をうまく進行できませんでした。なぜか。漫然と会を開いて
しまったからです。ではどうしたらよいでしょう。私の考えを書きます。

〇 住民集会開催を呼びかけるメンバー内で予めある程度の議題を決めておく。
〇 議題は、
  1. 建設計画の概要説明(地域の行政機関-市役所、区役所等-に問い合わせ
    れば分かると思います)。 
  2. 建設についての賛否を聞く(関心があるから集まったので、多分建設反
    対という意見が多いと思います)。
  3. 建設反対多数なら「会」を結成する。「会」の名前を決める(建設賛成
    派が多ければ会は結成できない。或いは反対派のみで会を結成するか
    です)。
  4. 役員の選出。会長、副会長、書記、会計、監査、その他。
    参加人数が少数ならこまめに住民集会を開き何事も決定できるが、
    多数の場合それは難しいので住民集会での決定事項の実施をする執行
    委員会ともいうべき会(私たちの会では世話人会と称していた。以後
    世話人会と書きます)を作ることも考えたらよいでしょう。
    この場合大事なことは住民集会が最高決定機関であることを明確に定め
    ておくことです。世話人会はあくまでも住民集会の決定に従うものと
    すると決めておくのです。
    私たちの会の失敗はこの世話人会が何でも決められると思い込んで
    しまったことです。その結果住民集会の決定に反することを決め、実行
    してしまったのです。そんな馬鹿げたことが出来るなら、周辺の住民に
    呼びかけ、住民集会など開く必要はありません。世話人会だけで会を
    結成すればよいのです。
    役員を選んでも役員だけに任せず、会員全体が協力する、という約束を
    して頂くことも忘れてはいけません。反対運動を進める上で役員だけ
    では手が足りないことがあります。
    チラシ、会報の作成、配布、署名を集める、交通量を調べる、行政機関へ
    の同行、その他様々な場面で人手が多ければ多いほど会の運営は楽に
    なります。それだけでなく共同で作業することにより会員間の一体感が
    強まります。
  5. 何について反対するのか住民の意見を求める。建設そのものをやめろ、
    建設はやむを得ぬが、建物の階数を減らせ、形状、色を変えろ、
    日照権、景観権、騒音、振動、粉塵、地盤沈下、その他色々あるで
    しょう。
    この際、議長、司会は、出来る限り多くの人から意見を出してもらう
    よう努める必要があります。そして必ず結論を出してください。
    参加者の中には話すのが下手だから、恥ずかしいからなどの理由で
    意見を言えない人がいます。そういう人には特に注意を払い、発言を
    してもらうよう努めてください。少数意見も決して無視しないでくだ
    さい。
    
    私たちの失敗は、議長、司会が、 
    1 意見を整理し、まとめ、採決をすることをしなかった(これに怒
      り出席しなくなった人がいました)。問題が提起されたら必ず採決
      してください。
      採決は原則として多数決とし、必ず、採択、否決、保留の内の
      どれかにします。
      保留事項は次回以降に忘れずに取り上げてください。
    2 勝手な発言を許したり、発言が主題から外れてもそれを元に
      戻そうとしなかった。 
    3 発言が長くなると、発言内容の重要性を考えることなく、制限し
      ようとした。   
    4 分かりにくい発言に対し、分かり易く説明するよう求めなかった、
      などといえると思います。
    議長の能力が問われるところです。
    
  6. 役員の任期は、当初半年とするのも一案です。反対運動は多くの人にと
    り未経験なことです。半年の試行期間の内により役員に適した方が現れ
    るかもしれないからです。
  7. 会員間の連絡網を作っておきます。最初の住民集会のとき参加者に
    住所、氏名、電話番号などを書き入れる用紙を準備しておくとよい
    でしょう。それを元に連絡網を作るのです。

〇 会費を決める
  会費を定めるのは絶対必要なことです。住民集会、世話人会を開くには
  会場費がかかります。初めの内私たちは世話人会をある役員宅で開きました
  がじきにやめました。その家の人がお茶、茶菓子などと気配りをし、大変だ
  と気づいたからです。
  かかるであろう費用を思いつくまま書きます。町内会館の利用代(2千円/
  2-3時間)。書類のコピー代(コンビニで1枚10円。個人がプリンター使用
  の提供を申し出てもインク代はかかる)。建築主との交渉時他会議の録音を
  するヴォイスレコーダー(後々言った、言わないなどとの言い争いを防ぐ
  ための証拠記録に必要)、行政機関等への交通費、立て看板、のぼり、
  必要に応じ弁護士費用。

  私たちの会では会費を決めませんでした。世話人会の7人が3千円ずつ拠出、
  計2万1千円で活動したのです。お金がすぐなくなるのは目に見えていまし
  た。まずいことに、その中の一人は、俺はヴォランティアでやっている。
  自分の発言が重視されるのは当然、と考え、無茶な発言をしだしたのです。
  又或る人は、私はプリンターを提供している、それ以上会の広報等やって
  いられない、活動状況を知りたければ聞きに来い、という態度になって
  いったのです。自分だけが金銭、労力負担を強いられていると考えた結果
  です。
  私も何度か自費で会場費の負担をしたり、市役所へ出かけたり、コピー費用
  削減のためのプリンターを購入したりしました。
  住民の方々は、決して悪意ではないのですが、活動にお金がかかるという
  ことに気がつきません。上記のような費用がかかることを説明し、会費を
  納めるよう協力をお願いしましょう。

〇 反対する会ができ、反対する内容が決まったら、それをもって建築主と
  交渉をします。交渉に当たる人は、会員数が少ない場合は全員、多い場合は
  世話人会となるでしょう。
  交渉に当たっては、住民集会で決めたことに反する発言をしては絶対にいけ
  ません。住民集会や世話人会の中で賛成、反対の意見を戦わせることは
  差し支えありません。それが民主的です。強調したいのは、建築主との
  交渉の場では、交渉担当者が全員一丸となって会での決定事項を主張しな
  くてはいけない、ということです。
  私たちの場合、別項「政治家にだまされた」で述べるように、政治家Sが、
  決定事項を無視し「マンション建設に反対しない」と建築主に発言したことが
  会の分裂、崩壊につながりました。是非気をつけてください。






















3. 政治家にだまされた

2012-01-03 15:13:27 | 日記
マンション建設計画があると教えてくれたのは前市会議員のSでした。彼は歴史
ある左翼政党の党員で、40年間市会議員を勤め、市会議長の経験もあるという
人物です。
住民集会で彼はそれまでに知りえた計画の内容を説明、反対運動への協力を
約束しました。
しかし、この約束は嘘でした。初めの頃こそ彼は市、警察、近隣町内会宛ての
要望書を作成し、それらの場所へ世話人会メンバーを引き連れ、しかるべき人に
紹介をし、要望もしました。
ただ、その要望内容は世話人会の他メンバーが作成したものより曖昧で、訴えに
欠けました。では何故よりよい要望書を選ばなかったのか。
それは、殆どの世話人会メンバーが経験豊富な前市議の要望書案のほうが、
名もない一住民が書くものより、きっとよいものであろうと頭から信じ込んで
しまったからです。
しかし大切なことは「誰が言うのか」ということより「何を言うか」という
ことです。前市議の言うことより他の人が言うことのほうがより住民のためで
あると思えばそれを採用するべきです。

前市議、Sが私たちの会の活動を妨害した手口を以下に書きます。

1. 住民集会への参加を呼びかけるチラシの内容を変更させようとした。
  私は広報担当としてまず近隣住民の方へ住民集会への参加を呼びかける
  チラシを作成しました。チラシには住民集会の開催日時、場所に加え、
  マンションが建設されれば住民は騒音、振動、粉塵その他に悩まされる心配が
  ある、と書きました。
  Sは、「騒音、振動等の心配がある」という部分は不要だから削除しろと
  言いました。そんなことを書かなくとも住民は知っているから、というの
  です。
  私は、どんな被害が予想されるのか気がつかない人もいる。私自身、実際に
  マンション建設という事態が現実問題として身近に起きるまで予測される
  被害を深く考えることはなかった。集会の日時、場所だけを書くなら2,3行で
  済んでしまう。紙幅に余裕があるのだからこれを書くことは差し支えない
  だけでなく、必要なことだ、と言って抵抗しました。
  Sは執拗に削除を求めましたが、私は応じませんでした。

2. 会長を洗脳
  Sは、永年彼を支持してきた私を意のままに動かせないと知ると、ほこさきを
  私たちの会の会長Aに向けました。Aは定年退職した元高校教師で、穏やかな
  人柄ですが、私たち同様この種の反対運動には全く無知の人でした。
  Sは連日のようにA宅を訪れ、Aを説得しました。後に私がAから聞いたことに
  よると、Aは完全にSにマインド・コントロールされた、と言っています。以後
  AはSの言いなりになります。
 
3. 車両制限令5条の例外規定を教えなかった。
  Sは、世話人会で、市はマンション建設を認めている。まともに反対しても
  ダメだから、車両制限令5条を適用させることにより、建設を阻止しようと
  提案しました。
  車両制限令5条というのは、簡単に言うと、道幅により通行できる車両の大きさ
  (車幅等)が制限される、という政令です。
  私たちの場合、建設予定地に車両が通行できる道路は1本しかなく、Sによる
  と、その道で最も狭いところは5.02m幅で、車幅2.49mの10t車、2.22mの4t
  車は通行不可だというのです(注 市によると、制限令5条を適用した場合、
  この道路を通行できる車両の最大幅は1.705m)。
  世話人会はこの話に乗りました。それが可能なら建設資材の大型車による搬入
  は出来なくなります。小型車での搬入は使用台数が増え、コスト高になるから
  建築主も建設をためらうであろう、と考えたのです。
  しかし、私は変だな、と思いました。市が建設を許可しているなら、当然建設
  が出来るような状態にした上で許可を出しているはずだ、と考えたのです。
  私は車両制限令を調べました。そして5条には例外規定があることを見つけ
  ました。
  それが7条、12条でした。これらを適用されるとと、5条で通行不可とされる
  大型車両であっても通行可能になります。私は、それら例外規定があることを
  会長に話しました。それを会長から聞いたSは後に驚くべき提案をしますが、
  それは後述します。
  注。国道は国、県道は県、市道は市が車両制限令を適用するか否かの判断を
  します。制限令5条の条文は分かりにくいので、ある道路にどういう車両が通行
  可かどうかについては、担当行政機関に問い合わせて下さい。意外に簡単に
  教えてくれます。興味のある方は車両制限令を一覧下さい。インターネットで調べ
  られます。

4. 計画説明会の開催を遅らせた。
  Sは建築主が開催を求める住民に対する建設計画の説明会を一貫して遅らせる
  よう、A会長を通して、世話人会に働きかけました(建築主は10月頃の開催を
  求めましたが、実現したのは翌年の2月中旬)。遅らせる理由は、建設を請け
  負う工事会社が決まっていない段階で計画説明会を開いても無意味である、
  というものでした。
  私たち世話人会メンバーは、そんなものかな、と思う程度で、Sの言葉を信じ
  ていたのです。しかし、Sは、上述の理由だけでは長い間計画説明会開催を
  遅らせることは出来ないと考えたのか、世話人会内で車両制限令5条の勉強会を
  開いた後説明会を開こうと提案しました。世話人会はそれを了承、11月に勉強
  会を行いました。
  勉強会では皆はただ聞くだけで、知った内容を形にし、市へ要望するなどと
  いう採決をしませんでした。私自身そうすべきだと考え付かなかったので他人
  のことを言えないのですが、誰かがそのことに気がついてくれればよかったと
  後で残念に思いました。
  勉強会終了後もSは説明会開催を遅らせようとしました。Sの意向を受け、更に
  開催延期を告げてきたA会長に、私は、約束が違うと食い下がりました。Aは、
  言うことを聞け、と私に迫りました。押し問答の末、私はAに、世話人会メン
  バーを辞めると言いました。理由は、世話人会での取り決めをSの一存で変える
  のは独裁であり、認められない。住民も建設計画の詳細を知りたいはず、と
  いうものです(私は広報担当として世話人会で討議されている内容を出来る
  限り住民に会報で知らせようと企画していたのですが、世話人会メンバーを
  辞任することによりそれができなくなりました)。
  何故Sは計画説明会を遅らせたのか。私は、遅らせている間に建築主に工事会社
  を決定させようと企んだのだと思っています。そうなれば建築主は後に引け
  ず、建設実施は既定事実となります。

5. 計画説明会で「建設には反対しない」と断言
  Sの妨害は続きました。何時までも計画説明会を開けないことに痺れを切らした
  建築主は1月末の説明会開催を決定しました。Sは、私たちの会の同意を得てな
  いと言う理由で開催に反対、会長を通し、説明会に欠席するよう住民に指示し
  ました。何も知らない住民はその指示に従ったのです。
  私は、建築主が、住民不参加のまま計画説明会は終了、と市に報告することを
  恐れ、そうはさせまいと単身出席しました。住民の参加がなければ、市は、
  住民に建設反対の意思表示なく説明会は終了と判断し、建設着手OKのゴー・サインを
  出すのではないか、と思ったのです。
  この説明会には、Sの意を受けた町会長も出席、二人で改めて説明会を開く
  よう求めました(この点については図らずも私とSの意思は一致したのです)。
  2月中旬改めて説明会が開かれました。驚くべきことにSはこの席上、住民総会
  で建設反対と決まっていたにも拘らず、建設には反対しない、と建築主側に
  断言したのです。私はあっけにとられましたが、その場でSの発言を否定するの
  は、会内の内輪もめを建築主側にさらけ出すもの、と考え黙っていました。
  この説明会における住民の発言はばらばらで、様々な事柄に及び、建築主は
  その対応に追われました。その結果、7時に始まった説明会でしたが、実際の
  計画に関する説明は9時半過ぎに始まり、終わったのは10時半近く、説明終了
  5分後建築主側は一方的に閉会を宣言をしたのです。説明への質問時間は全く
  とれませんでした。
  私たちの失敗は、計画説明会の前に住民集会を開き、説明会に出席した際には
  全員揃って、建設反対の声を上げるように、また説明会は1回でなく、2回、
  3回と開くよう建築主に要望してくれという趣旨を周知徹底しておかなかった、
  ということです。

6. 約束を破った。
  ある住民集会終了後私はSの地盤後継者で、現職市議であるTをつかまえ、Sの
  独断専行を抑えるよう訴えました。そこへSが割り込んできました。私はSの
  「建設に反対しない」という発言につき、それでも建設を阻止できるのか、
  できるというなら、そのことを保証しろ、できなかったら責任を取れ、とSに
  詰め寄りました。Sは、建設阻止を保証する、責任も取る、と明言しました。
  その約束について私はTに証人になれ、と求めました。Tは承知しました。
  後日会長宅で、会長、副会長、S、私の4者で話しをしている席上、私はSが
  前述の約束をしている、と話すと、Sは、そんな約束はしていない。録音した
  証拠でもあるなら出せ、と開き直りました。私は呆れて、誰が録音機など
  持って一々会話を録音などするものか。あなたは、ここにいる二人に嘘をつく
  ことはできても、自分の心に嘘はつけないし、私はあなたが嘘つきだと知って
  いる、と怒鳴りました。彼は黙り込んでしまい、会長、副会長は顔をそむけ
  ました。この時私は、Sは証人になると約束した若い後継者であるT市議(当時
  29歳)も抱き込んだな、と悟りました。政治家は嘘をつくということを実感
  した瞬間でした。

7. 大型車両を工事に使用せよ、という要求書を建築主宛てに出させた。
  ある住民集会でのことです。世話人会が、小中学生の登下校時を除き、大型
  車両を使用し工事を行え、という趣旨の要求書を建築主に出す、という
  提案を出してきました。
  私はビックリしました。建築主に大型車両の使用を止めさせることで建設を
  阻止をしようと言っていたSがその主張と全く反対の提案を世話人会にさせた
  からです。これでは「マンション建設に賛成」と言っているのと全く変わりはあり
  ません。私の「反対」する声に応じ、この提案には世話人会メンバーを除く住民
  全員が反対しました。

8. 最高決定機関は住民集会ではなく世話人会である、と発言。
  上述7で、住民全員が世話人会提案に反対したことに対し、Sは、最高決定機関
  は住民集会ではなく、会費を払っている世話人会にあると主張し、提案を押し
  通そうとしました。
  私はSに、会費はいくらか。誰が払っているのか、と質問しました。Sは答え
  られず、黙り込んでしまいました。というのも、会費を払った人は、世話人会
  発足当時の7人だけであり、それも1回限り、各3千円だけで、Sは払っていない
  のです。この件につき世話人会メンバーも沈黙、議長はこの件について採択
  することなく、会は何となく閉会されてしまいました。
  住民全体が反対したことを会の決定事項とせず放置することなど許されないこ
  とです。それでは住民集会を開いた意味がありません。
  何らかの会を開いたら、必ず採決をしましょう。採決は、賛成、反対、保留の
  どれかです。賛成多数の場合はその決議を実行に移さねばなりません。保留
  事項は次回以降に取り上げることが必要です。

9. 立て看板の設置、署名運動に反対した。
  世話人会で、あるメンバーが、建設反対の看板を立てよう。そのために木製
  看板を二枚用意してある、と提案しました。Sは、周辺地主が反対するから
  ダメだ、と拒否しました。この一言で世話人会メンバーは全員沈黙してしまい
  ました。メンバーの中に借地の人がいたせいかもしれません。町会長は大地主
  です。別の機会に町会長に立て看板設置についてどう思うか、とたずねたら、
  彼は、いいんじゃない、と答えました。それを聞いたSは、あんたがそういう
  なら、立ててもいいだろう、と渋々看板設置に同意しました。
  Sが多くの住民の意思を尊重せず、少数地主の意向を汲もうとしていることの
  現われです。
  付言しますと、私は、Sの地盤後継者であるT市議にSの横暴な行為をやめさせる
  よう党幹部と相談してくれと頼んでいます。T市議は「私も困っている」と
  述べただけで、何かをしてくれたのかどうか何の連絡もくれません。それどこ
  ろか、私たちの集会でそれとなくSを支持するような発言をします。これが歴史
  ある左翼政党のある市における実態です。
  
  当初Sは、建設反対の署名は、近隣3町内会に声をかければ簡単に何千と集め
  られる、と豪語していました。しかし以後ぷっつりと署名運動について口を
  閉じてしまいました。
  ある時世話人会に特別に出席した妻が建設反対の署名を集めよう、と提案しま
  した。Sは賛成しました。ところが世話人会直後何分も経たないうちにSが私に
  電話をかけてきて、妻の署名活動をやめさせてくれというのです。私は呆れて
  何も言わず電話を切りました。妻は一人で100名近い署名を集め、私はそれに
  建設反対の趣旨説明をつけ、市長宛に提出しました。

10. 会長を脅し、殴り合い寸前に。
  SとA会長が殴りあいをしそうになったが止められた、という話を聞きました。
  私は会長に真偽を訊ねました。会長は、最近記憶にない事があった。市の部長
  と話をした時のことを全く覚えていないのだ。部長に確かめたところ記録を
  示され、事実である、と言われた。記憶に自信をなくした会長は、その時同席
  していたSに、その事実を妻には話さないでくれ、と頼んだのだそうです。
  ところが、Sの言うことを聞かなくなった会長にSは、記憶が衰えていることを
  妻にバラすぞ、と脅され、カッとなって、殴ろうとした、と言うのです。
  このようなSの行為をあなたはどう考えますか?

  「Y(筆者)の言うことなど聞くな」というSの怒鳴り声がA会長宅から聞こえて
  きたことがあります。会長宅は私の家の隣で、大声はよく聞こえます。
  私はすぐ会長宅へ行き、会長、副会長とSがいる所へ割って入りました。
  そして私とSの言い合いになりました。
  この頃会長、副会長ともSの言いなりになるのは住民の意に反するもので、
  よくないと思い始めていたのです。
  私はそのように思い始めた会長を援護するために話に割り込んだのです。
  ところが驚いたことに、会長、副会長は黙ったまま話を私にまかせてしまった
  のです。私は二人が私と協同してSに当たってくれると期待していたですが
  その期待は裏切られました。声を揃えれば会の方向を住民の望むものへと変え
  られる機会であったのに、と残念でなりませんでした。
  
11. 俺は金をもらっていない、と発言
  3,4人の世話人と話し合っていたときのことです。Sが突然「俺は誰からも金を
  もらっていない」と発言しました。座はしらけました。
  度重なるSの住民全体の意向に反する行為に、誰か(地主か建築主?)から金を
  もらっているのではないか、という噂は流れていました。しかしSの面前で
  そのことを言うものは一人もいませんでした。
  Sの突然の発言を聞いたその場の人たちは、やはりSは自分の行為が住民の
  利益を無視するものであると気づいているのだ、と感じたのです。

上記以外にもSの妨害行為は多々ありますが、長くなるのでとりあえず終了します。

以上述べてきたような事態に直面した場合どうしたらよいでしょうか。
知名度の高い地元政治家には住民全てが声を揃えて反対と言わなければ対抗でき
ません。私が非常に残念だと思ったことは、世話人を除く殆どの住民の方々が私の
主張を支持していながら、それを声に出して言ってくれなかったことです。
その結果表面上SとSが所属する党支持者及び世話人対私一人の対立という形になっ
てしまったのです。
政治家は怖くありません。政治家が怖がるのは選挙時の票です。おかしいと思った
ことには、相手が誰であろうと、勇気を持ってハッキリ反対することが肝要です。
その為には広報活動をシッカリ行い、会員に現状を絶えず知ってもらう必要があり
ます。
政治家の協力を仰ぎたいと考えたら、複数の党に頼むのもよいでしょう。互いに
牽制します。会員の数が多ければ、頼まれた議員も力を入れて協力します。選挙の
時の票が気になるからです。私たちはそこまで気が回りませんでした。

私は、要請に応じないS所属の党市議団に見切りをつけ、本部委員長に事実を列挙し
た手紙で、妨害をやめさせてくれ、と頼みました。党本部からは事実を調査すると
の回答が来ました。約一年後、県の党政策委員会責任者が、それから更に二ヶ月ほ
ど後にT市議が私宅へ謝罪に訪れました。しかし謝罪だけでは何の役にも立ちませ
ん。工事は進められたのです。S本人からの謝罪はありませんでした。

会長、副会長に何度となく世話人会に戻ってくれと要請されましたが私は応じませ
んでした。理由は、二人が会員である住民の要請に耳を貸さず、Sが支配する世話人
会での独裁をやめさせるよう努めるという意思表示をしなかったからです。

4. 朝日の記事 必ずして欲しいこと 工事協定1

2012-01-03 15:13:05 | 日記
以下私が気がついたことを思いつくままに書きます。

声上げる住民
2010年1月20日付朝日新聞朝刊に「建築紛争 声上げる住民」という記事が
掲載されています。この中で「景観と住環境を考える全国ネットワーク(景
住ネット、事務局・東京)」が設立された、とあります。景住ネットでは、
その活動の一つに「建築紛争の経験の蓄積・交流・支援・助言活動」をあげて
います。お役に立つのではないかと思いここに記しておきます。インターネット上
「景住ネット」で検索できます。住所 東京都新宿区神楽坂3-2-5 SHKビル4F
電話(03)5228-0499 FAX (03) 5228-0392

この記事の中に「居住環境が犯されたとする建築紛争では、建築基準法や
都市計画法などの法律に明らかに違反している例はむしろ少ない。だから
業者側は『違法でないので問題ない』という主張を繰り返す。そのため、
業者を訴えても住民側の敗訴となることが多く、小額の個別補償などで和解
しているのが実情だ。住民対策のノウハウがある業者と、初めて問題に直面
する住民とでは、情報量や交渉力にそもそもの差もある。、、、」という記述が
あります。
「法令違反を争うのは難しい。住民対策のノウハウがある業者と、、、住民と
では、、、交渉力に差がある」という指摘には全く同感です。

私は何を、どう交渉したか
私たちの場合、会運営の知識、経験不足、団結に欠けたこと、政治家の妨害行為
等により会活動はほぼ壊滅、業者側が言うなりの工事協定を受け入れ、事実上
会活動は終了しました。
私は単独で、市建築紛争相談係の仲裁の元、業者と交渉し、騒音、粉塵、コンクリート
外壁による照り返しという限定的な問題について、不本意ながら、小額の補償金
で妥結しました。
単独で業者に要望を出し、受け入れられないため、市に仲裁を求め、この部分的
な終結に至るまでには、業者側都合による工事中断期間約1年を含め、ほぼ2年
かかりました。交渉には気力、体力、忍耐力が必要です。

先述朝日の記事にあるように、業者側に違法行為があるということは少ない
でしょう。実際に違法行為があっても、それがどういう点で違法であるのか素人
である私たちには分からないのではないでしょうか。
建設に当たっての業者側の言い分は、自分の土地に建てるのだから文句はない
だろう、というものです。
それに対する私の主張は、合法であろうと住民に迷惑はかかる。その迷惑を
なくせ、というものです。
騒音、粉塵、照り返し等は業者敷地外に及びます。
敷地に近い8世帯、31名の年齢構成を調べたら、87歳から96歳までの方が5名、
60から86歳までの方が6名いることが分かりました。60歳以上の方が就業をせ
ず、終日在宅すると仮定し、これに、タクシー運転手をしているので日中寝ている
という59歳の男性1名を加えると、8世帯中実に12名が日中、パワーシャベル、電動鋸、
生コン注入、金属を投げ出す音、その他、工事から発生する騒音に悩まされること
になります。
調査家庭に乳幼児はいませんでした。居たとすれば、それら子供たちも騒音
被害を受け、お母さんの悩みの種が増えます。病人、受験生の存在も考える必要
があります。
また、音量が大きくなくとも、長時間聞かされると苦痛です。建築主は規制内
だから問題ない、と主張するでしょう。しかし、ひるまず、交渉しましょう。
規制値は最大値で、それ以下にしろ、と要求するのは差し支えありません。
規制値より低い数値で妥結してはダメ、と行政は言いません。
トラック輸送や整地作業、その他による粉塵被害は在宅の有無に関係なく発生し
ます。我が家ではトイレの陶器製手洗いに埃がたまっていることに気がつきました。
窓の隙間から入ったものと思います。わずかですが、しつこい汚れで、落とす
のに時間がかかりました。汚れがひどければ、洗濯物や屋外にあるさまざまな
ものも汚れが目立ったでしょう。
照り返しは、地崩れ防止のために作られた最高8m近い白いコンクリート壁によるもの
です。二階にあるパソコン作業用の部屋は、照り返しにより、夏は暑くて作業
できません。その点を訴えました。市の建築紛争相談担当者は、照り返しに対す
る苦情など聞いたことがない、と繰り返し述べ、それを問題として取り上げる
ことに否定的でした。しかし、私は主張し続けました。日照権、景観権などと
いう権利も、以前は全く問題にされず、ごく最近認められたものです。
誰かが問題にしなければ、権利の確立には至らないのです。

小額とはいえ補償金を得たことで、建築主は住民に補償する為の予算を持って
いることが分かりました。住民が大勢で声を揃えて建築主と交渉すれば、より
よい条件、例えば、騒音に対しては住民の家屋に防音対策を施す、粉塵には
発生源に防護幕を建てさせる、照り返しには、被害を受ける家庭にエアコン
設置をさせる、等という要求も可能です。そんな金のかかる要求に建築主は
応じないだろうと考え、遠慮する必要はありません。それは建築主が考えること
です。要求が過大で応じられないと建築主が考えれば、建設計画そのものを
見直すかもしれません。それこそ住民の望むところでしょう。

少しでも要求を建築主に認めさせるには住民(=会員)の一致団結が必要です。
具体的にどうすべきか。私の考えを述べます。

必ずして欲しいこと
会員(=住民)の方々に必ずして欲しいことがあります。それは集会で発言が
できないなら、せめて賛成か反対かの意思表示をして欲しいということです。
それも必ず集会の場でして欲しいのです。"賛成"あるいは”反対”という一言
でよいのです。
集会の前や後で私の考えに賛成です、と言ってくる人がいました。支持して
いただけるのは嬉しい。しかし、集会外で言って頂いても力にならないのです。

私たちの会の場合、発言する人は主として政治家S、会計担当H、高校教師F、
私の4人だけでした。

政治家Sは、別項で書いたように、明らかに誰かの利益を代弁し、会員の発言、
提案にことごとく反対しました。
私は会員、住民の利益を第一に考え発言しました。当然Sと私は対立しました。  

私は発言だけでなく、文書で、提案、意見を述べ、関係当局へ出かけ、或いは
インターネットで調査をする、又個人的に会合を主催し、活動方針の論議、経過の周知
等に努めました。会の中の誰よりも会の活動に寄与したと自負しています。

会計担当Hは、Sを除き、最悪の人物でした。住民の総意を無視し、独断で建築主
と工事協定を取り決めてしまったのです。
彼は会計を担当したことからSに三役の一員だと持ち上げられ、舞い上がって
しまい、機会あるごとに、俺は三役である、と話していたと聞きます。しばしば
酔っ払って電話をして来、訳の分からぬ長話を聞かされ、つくづく閉口した、と
会長は私にこぼしていました。
集会での発言も多くの場合Sを支持するものでした。大声で威圧的な声を張り上
げ、他の人の発言に割り込み、自論を主張します。だがその発言は、無軌道に
論題からそれてゆき、何を言いたいのか分かりません。
個人的に話し合ったことがありますが、それでも彼が何を言いたいのか私には
理解できませんでした。集会の終了後気にくわない発言をした人に1対1の話しを
しよう、と強要している場に立ち会ったこともあります。

Fは現役の高校教師で、もっともまともな発言をする人でした。ただ、抽象的な
発言が多く、説得力がないように感じました。例えば「マンション建設は違法で
ある」と発言をしたことがありますが、どういう法律のどういう条項にどの点が
違反するから違法なのだ、という説明がないのです。住民はただ「あっ、そう
ですか」という感じで聞いているだけで、議論に発展しません。
加えて遠慮するところがあるのでしょうか、Sに異論を唱えることは全くありま
せんでした。

集会は、多くの場合、S、私、H三者の発言に終始しました。
Sが建設をさせようとする発言をする。私がそれに異論、反論をする。この場合
賛否は1対1です。時にはHがSを支持する。すると2対1で建設賛成多数となる。
しかし、住民の圧倒的多数は当初から建設反対でした。その内の一人か二人でも
声に出して建設反対の意思表示をしてくれたら、他の住民もなだれを打つように
反対に固まったはずなのに、何故私の意見に”賛成”と一言言っていただけない
のか、と本当に口惜しい思いをしました。

この項の冒頭で、集会で発言できないなら、せめて賛成か反対の意思表示をして
くれ、と述べたのは以上述べたようなことがあったからです。話下手で意見を
言えないなら、”賛成”、”反対”の一言でもよいのです。是非言って下さい。

付け加えますと、議論が一定の人だけの間で行われるなら、議長は他の人の意見
を求めて欲しいのです。その際「今これこれの事案についてこういう意見が
交わされていますが、あなたはそれにつき賛成ですか、反対ですか」というよう
に議論の概略を取りまとめて説明し、賛成か反対の一言だけ言えば済むような
意見の求め方をする工夫も大事です。そして賛成、反対の意見をできるだけ出し
てもらったうえで、必ず採決をすることが不可欠です。結論のない会議はやるだ
け無駄で、無意味です。住民は参加してくれなくなります。

工事協定
工事協定は住民多数の賛同を得た案をもって建築主と協議し、締結するもので
す。当然私たちの会もそうするものと私は思っていました。
ところがある日突然世話人会は建築主との協議の場で建築主の考える工事協定案
を全て受け入れてしまったのです。私はその場に出席しなかったので、このこと
を出席した人から聞き、ビックリしました。
主導したのは会計担当のHでした。どういう経緯でその協議の場で工事協定を結
ぶ話になったのか分かりませんが、Hは建築主側に彼らの案を持って来い、と
わざわざ彼らの事務所までとりに行かせ、一条ごとにこれでよい、これでよい、
と言い、独断で建築主案全てにOKを出したということです。
さすがに見かねた副会長がせめて一項目ぐらいは私たちの言い分を建築主に認め
させるべきだ、と言ったそうですが、それも会長の「しょうがないでしょう」と
いう否定の一言で終わりになったそうです。

これは、民主的という点から考えると、明らかにルール違反です。
工事協定を結ぶにはまず住民集会を開き、何を建築主に要求するのか、住民の
意見を求めなければなりません。要求がまとまったら、それを会の要求とし、
執行機関である世話人会が建築主と交渉する。建築主が要求を認めたらそれで
協定を結ぶ。認めなかったら、それを持ち帰り、どうすべきかを住民集会にはか
る。その結果を又建築主と交渉する。それを繰り返し、最終的に双方が納得した
ところで締結に至る、というのがごく当たり前のやり方です。
住民集会の意向を無視した一人の人間の考えで会の意思を決定するということは
絶対あってはならないことです。それは住民集会に参加した人たちの時間と努力
を無駄にすることです。

私は会計担当Hの独断に怒りを感じるとともに、その蛮勇に感心しました。
この人や会長は皆を無視し、独断でことを進めることが近所の人たちの信頼を
失うことになるのだということに気がついていないのです。マンション建設反対運動
に限らず、以後町内で何か運動をしようとするときに、この人たちの発言、行動
は信用できない、と住民は考え、耳を貸さなくなるのではないでしょうか。

私たちの会に工事協定書案を出したのは私だけでした。それは全部で24条、A4
用紙で7枚に及ぶものでした。この案はインターネット・サイト「マンション紛争 Q&A」にモデルと
して記載された工事協定書案をベースに、私たちの状況に合うよう、私が手を加え
たものです。是非同サイトをご覧になって、参考にされることをお勧めします。
世話人会では私の案を改悪、短縮したものを用意しました。しかし私の案だけで
なくこの改悪案すら住民集会で十分検討をしなかったのです。その結果会は何の
工事協定書案も持たない、というお粗末きわまる状態になったまま工事協定を
結んでしまったのです。

私は退会届を出しました。住民無視の工事協定に拘束されたくなかったからで
す。そして単独で建築主に交渉することにしました。建設が法令違反であるかど
うか分からないので、条件闘争になりました。その部分的結果については上で
述べたとおりです。

次項で会が締結した工事協定の内容と、何故その協定ではダメであると私が
考えた理由を述べます。












5. 工事協定2

2012-01-03 15:12:46 | 日記
以下に私たちの会が建築主と締結した工事協定全文と、何故その協定ではいけ
ないと私が考えたのか、その理由を述べます。尚私見を記してない条項について
は特に問題あり、とは気づかなかった所です。

              工事協定書

〇〇〇会(以下甲という)と建築主、株式会社XXX(以下乙という)と、施工
者、株式会社KKK組(以下丙という)は---県---市---町---番地に建設される
(仮称)XYZマンション新築工事(以下「本工事」という)に関し次の通り合意し、
a,b,cの各町内会会長による確認の上、工事協定を締結する。

筆者注 私たちの会の場合近隣3町内住民の車両も、工事に使用する道路を、
通行するため上記のように、a,b,c,各町内会長による確認の上、という言葉が
入っていますが、必要ない場合が多いと思います。

 1. 工事期間は平成18年8月21日より平成21年2月28日とする。但し、天候等
   不可抗力により上記期間を延長する場合は、予め甲に報告するものとす
   る。
   
   私見 但し書きに問題あり。 建築期間延長の場合は「予め甲に報告す
    る」とあるが「予め、甲に報告、協議し、甲の同意を得るものとする」
   とすべきです。何故なら、報告する、だけでよしとすると乙は甲に報告
    さえすれば、甲が反対であろうと、好きなだけ期間を延長できることに
    なるからです。

 2. 本工事の作業時間は、午前8時より午後6時まで、昼休みは正午より午後1
   時までを基本とする。但し、コンクリート打設ならびに軽作業については、上記
   時間を越える場合がある。尚、地山掘削に関わる重機作業は午前8時半か
   らとする。
   
   私見 1.作業時間は9時より5時とすべきです。2.昼休みの規定から
   「基本」という言葉を削除する。建築主が勝手に昼休み時間を動かして
   も、協定の取り決めは「基本」であり、変更しない、とは書いてない、と
   言い逃れできます。会は文句を言えない。3.但し書き。これを認めると
   何時まででも作業を続けることができる。終了時間を決めていないから
   です。コンクリート打設は結構大きな音を出しますし、一旦打設を始めると中断
   できない作業です。また、軽作業の内容が明らかでない。住民にとり問題
   になる作業(例 電動鋸は大きな音を出す)でも、軽作業です、と一蹴され
   る心配がある。4.尚以下。掘削に使用する重機には大きな音を出すパワーシャ
   ベルがあり、早朝から騒音に悩まされます。
 
 3. 土砂搬出及び大型工事車両の運行台数は1日最大70台とし、通行時間は、
   午前9時より午後5時までとする。但し、クレーン車・コンクリートポンプ車・重機回送
   車に限っては、早朝入場及び午後5時以降の退場の場合がある。
   
   私見 1.1日最大70台の大型車両通行とはどういうことか。車両は往復す
   る。となれば、往復で延べ140台、3分に1台の通行である(大型車両とは
   総重量8t以上、最大積載量5t以上、もしくは乗車定員11名以上の自動車
   のこと 道路交通法)。住民、他自動車の通行に支障がないか。
   2.但し書き。但し書きにある車両は早朝、深夜を問わず、いつでも通行
   できることになる。それを認めてよいのか。

 4. 作業休日は、原則として日曜日とする。尚、作業工程の都合上、やむを
   得ず日曜日に作業を行う場合は、丙は甲に対し事前に連絡し、協議の上
   実施するものとする。
   
   私見 1.「原則」という言葉を削除すべきです。2.尚以下。「原則」と
   言う言葉が削除されれば「尚」以下の文章は不要ですが、どうしても削除
   できなければ、、、、協議し、甲の同意を得て実施する、とすべきです。
   事前連絡をし、協議もした。だが甲の同意は得られなかった。それでも、
   協議はしたのだから日曜作業をしてもよいのだ、と丙に主張されないため
   です。

 5. 丙は、児童の下校時に専属の誘導員を配置し、またN橋交差点は周辺環境
   等を十分考慮し、第三者の安全確保に努めるものとする。

   私見 またN橋交差点は、、、以下の文言について。1.周辺環境等を十分
   考慮し、とあるが、交差点のみ周辺環境を考慮し、他の環境は考慮しな 
   い、と読める。それでよいのか。2.第三者の安全確保に努める、とある
   が、人のみの安全に考慮し、家屋、その他の物の安全については考慮しな
   いのか。

 6. 乙及び丙は、騒音・振動・粉塵・電波障害の発生については、騒音規制法・
   振動規制法等の関連法規を遵守するとともに、行政指導の下、各戸と
   誠実に協議し適切な対処に努めるものとする。尚、騒音・振動について
   は、掘削期間及び躯体工事期間中計測を行い記録に残し、発生する騒音・
   振動の軽減に努めるものとする。

   私見 1.私たちが問題としているマンションは、第一種中高層住宅に分類され
   ます。市環境保全課によると、削岩機、鋲打ち機、杭打ち機等を使用する
   工事であれば第一種中高層住宅に対する騒音規制法による規制値は  
   85db(デシベル)、振動規制法による規制値は75dbであるが、建築主の届け
   出によるとこれら機器の使用はされないことになっている。従って規制値
   は適用されない(粉塵に関する規制値はない)。それ故、住民から騒音、
   振動、粉塵等に関する苦情を受けたら行政は、建築主に、それらに対する
   配慮をお願いするだけで、強制力を持たない、と言うのです。
   となると、建築主はこれら規制法を遵守する、といいながら、実際には
   騒音、振動、粉塵等による規制はないと同じ、ということを知っていた
   に違いないのです。
   私の協定書案では「騒音、振動、粉塵等を出すな」としています。工事が
   なければ、これらの迷惑は生じないからです。建築主は説明会で、ガード
   下程度の音(90db位?)は出ます、と言っています。2年半もの長期にわ
   たる工事による迷惑を我慢する義務は住民にはありません。建築主に迷惑
   をかけるなというのは当然です。
   2.「各戸と誠実に協議し適切な対処に努めるものとする」という文言は
   好ましくない。「〇〇〇会と協議し、、、」とすべきでしょう。
   理由。「各戸と協議」を認めると、建築主は、最も強硬な主張をしない家
   を見つけ、そこと協議し、自分に好都合な条件で、話をつけます。それを
   基準に「誰々さんは、何の条件もつけなかった。あれこれ文句を言うのは
   お宅だけですよ」というように、各戸撃破で話を進めるのではないか、と
   いう恐れを感じるからです。
   3. 尚、騒音・振動については、掘削期間及び躯体工事期間中計測を行い
   記録に残し、発生する騒音・振動の軽減に努めるものとする、という文言
   に以下に述べるような問題があると考えます。(1)素人である私たちに
   掘削期間、躯体工事期間が何時であるか分かるでしょうか。(2)しかも
   この期間だけ計測を行い、記録に残すが、他の工事期間はそれをしないの
   です。(3)更に、それらの記録を私たちに見せるとは書いていません。
   これでよいのでしょうか。
   市環境保全課によると、騒音は土地境界線で計るとのことです。
   丙に訊ねると、計測器は1台のみ使用するといいます。仮に騒音発生源が
   北にあり、測定器をそれに至近の場所に置くと、南、南東、南西、その他
   の場所では騒音計測はされないことになります。これらの場所での音量は
   当然低くなると思われますが、実は必ずそうとは言い切れません。私たち
   住民の家は周囲を小高い山に囲まれています。音はこれらの山にぶつか
   り、反響音として戻ってきます。音源の反対側から強い音が聞こえてくる
   ことはしばしばあるのです。
   「誠実に協議し、、、努めるものとする」という文言も要注意です。工事
   協定を独断で決めてしまったHは「誠実に」と書いてあるから良いでは
   ないか、と言って押し切ってしまいました。だが私たちの考える「誠
   実」と建築主の言う「誠実」は同じでないのです。「企業の良心」は
   企業の利益を第一に考える、ということを忘れてはいけません。 

 7. 丙は、大型工事車両の運行に際し現場~S橋間は出入りを含めて1台のみ
   通行するものとする。また、現場~N橋交差点間は最徐行運転(時速10キロ
   以下)で走行することとし、N橋交差点~S橋間ではバス、一般車両との接触
   事故等のないよう十分に安全確保に努めるものとする。尚、工事車両の
   バス通りでの一時待機の駐車はさせないものとする。

   私見 工事車両はS橋→N橋交差点→現場へと進入します(S橋→N橋交差点
   はバス通り。N橋交差点→現場間の道路は狭隘で本来なら大型車両の通行不
   可)。N橋交差点→現場間はカーブがあり、見通しも悪く特に危険なので、
   条文中「N橋交差点~S橋間ではバス、一般車両との接触事故、、、」とあ
   る内、「N橋交差点」とあるのを「現場」と変更する。 

 8. 丙は、本工事に従事する従業員、作業員、誘導員(ガードマン)及びその他
   関係者が甲及び第三者に迷惑を及ぼさないよう風紀教育、衛生管理の徹底
   に努めるものとする。また、車両の通行に際して、不必要なクラクションは使用
   しないよう管理の徹底に努めるものとする。

 9. 丙は、工事を施工するに際し、近隣住民の方々の安全を確保し、又、個別
   に生じる問題についても誠意を持って対応するものとする。
 
10. 本協定に定めなき事項、疑義が生じた事項については、信義誠実の原則に
   従い、甲、乙及び丙は互いに誠意を持って協議し、解決に努めるものと
   する。

   私見 6条の私見2で述べたように「誠意を持って協議し」という文言に
   注意すべきでしょう。
   

以上、本協定書の締結を証するため、本書を3通作成し、それぞれ記名押印の
上、各自1通を所持するものとする。

平成---年---月---日

 (甲)
〇〇〇会
---県---市---町---番地
 会長 記名押印

(乙代理)
住所
R法律会計事務所
 弁護士 記名押印

(丙)
住所
株式会社 KKK組 首都圏支店
専務執行役員 記名押印

(立会人)
a,b,c 町内会会長
3町内会長の署名


インターネットのサイト「マンション紛争 Q&A」の工事協定の項に工事協定書のひな形があり
ます。私の協定書案はこれを基に作成させていただきました。是非参考にされる
ようお勧めします。このひな形と比較すると、私たちの会が建築主と結んだ協定
がいかに建築主の都合だけを考えて作成されたものかよくお分かりいただけると
思います。

強く述べておきたいことがあります。私たちが建築主に様々な要求を出すのは、
建築主にマンション建設による利益の分け前を出せ、ということとは明らかに違いま
す。マンション建設が始まる前の状態を保ってくれ、それができないなら、償いを
せよ、被害が出たら補償せよ、と求めているだけです。
騒音、振動、粉塵等を出すな、という要求は無理なのではないか等と建築主の
都合を考える必要はありません。建築主は建設によって利益を得ます。彼らの
利益のために私たちが不利益を我慢して協力する義務はないのです。
建築主は法規制を全てクリヤーし、行政の許可を得ている、というかも知れません。
法規制というのは全ての人に満足を与えるべく考えられるべきものですが、実態
はそうはいかず、多くの場合、力の強いものに都合よく作られています。それを
正すのが市民の力です。多くの人が集まれば大きな力になります。


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四年越しに右肩の痛みに悩まされております。その痛みが最近ひどくなり、
パソコン入力に困難を感じるようになりました。まだ書きたいことがありますが、
ひとまず中断させていただきます。多少なりと良くなれば再開の予定です。