マンション建設反対運動をする方々へ - 失敗の経験をお話します

マンション建設反対運動をする方々へ、私の体験した失敗談をご披露いたします。

5. 工事協定2

2012-01-03 15:12:46 | 日記
以下に私たちの会が建築主と締結した工事協定全文と、何故その協定ではいけ
ないと私が考えたのか、その理由を述べます。尚私見を記してない条項について
は特に問題あり、とは気づかなかった所です。

              工事協定書

〇〇〇会(以下甲という)と建築主、株式会社XXX(以下乙という)と、施工
者、株式会社KKK組(以下丙という)は---県---市---町---番地に建設される
(仮称)XYZマンション新築工事(以下「本工事」という)に関し次の通り合意し、
a,b,cの各町内会会長による確認の上、工事協定を締結する。

筆者注 私たちの会の場合近隣3町内住民の車両も、工事に使用する道路を、
通行するため上記のように、a,b,c,各町内会長による確認の上、という言葉が
入っていますが、必要ない場合が多いと思います。

 1. 工事期間は平成18年8月21日より平成21年2月28日とする。但し、天候等
   不可抗力により上記期間を延長する場合は、予め甲に報告するものとす
   る。
   
   私見 但し書きに問題あり。 建築期間延長の場合は「予め甲に報告す
    る」とあるが「予め、甲に報告、協議し、甲の同意を得るものとする」
   とすべきです。何故なら、報告する、だけでよしとすると乙は甲に報告
    さえすれば、甲が反対であろうと、好きなだけ期間を延長できることに
    なるからです。

 2. 本工事の作業時間は、午前8時より午後6時まで、昼休みは正午より午後1
   時までを基本とする。但し、コンクリート打設ならびに軽作業については、上記
   時間を越える場合がある。尚、地山掘削に関わる重機作業は午前8時半か
   らとする。
   
   私見 1.作業時間は9時より5時とすべきです。2.昼休みの規定から
   「基本」という言葉を削除する。建築主が勝手に昼休み時間を動かして
   も、協定の取り決めは「基本」であり、変更しない、とは書いてない、と
   言い逃れできます。会は文句を言えない。3.但し書き。これを認めると
   何時まででも作業を続けることができる。終了時間を決めていないから
   です。コンクリート打設は結構大きな音を出しますし、一旦打設を始めると中断
   できない作業です。また、軽作業の内容が明らかでない。住民にとり問題
   になる作業(例 電動鋸は大きな音を出す)でも、軽作業です、と一蹴され
   る心配がある。4.尚以下。掘削に使用する重機には大きな音を出すパワーシャ
   ベルがあり、早朝から騒音に悩まされます。
 
 3. 土砂搬出及び大型工事車両の運行台数は1日最大70台とし、通行時間は、
   午前9時より午後5時までとする。但し、クレーン車・コンクリートポンプ車・重機回送
   車に限っては、早朝入場及び午後5時以降の退場の場合がある。
   
   私見 1.1日最大70台の大型車両通行とはどういうことか。車両は往復す
   る。となれば、往復で延べ140台、3分に1台の通行である(大型車両とは
   総重量8t以上、最大積載量5t以上、もしくは乗車定員11名以上の自動車
   のこと 道路交通法)。住民、他自動車の通行に支障がないか。
   2.但し書き。但し書きにある車両は早朝、深夜を問わず、いつでも通行
   できることになる。それを認めてよいのか。

 4. 作業休日は、原則として日曜日とする。尚、作業工程の都合上、やむを
   得ず日曜日に作業を行う場合は、丙は甲に対し事前に連絡し、協議の上
   実施するものとする。
   
   私見 1.「原則」という言葉を削除すべきです。2.尚以下。「原則」と
   言う言葉が削除されれば「尚」以下の文章は不要ですが、どうしても削除
   できなければ、、、、協議し、甲の同意を得て実施する、とすべきです。
   事前連絡をし、協議もした。だが甲の同意は得られなかった。それでも、
   協議はしたのだから日曜作業をしてもよいのだ、と丙に主張されないため
   です。

 5. 丙は、児童の下校時に専属の誘導員を配置し、またN橋交差点は周辺環境
   等を十分考慮し、第三者の安全確保に努めるものとする。

   私見 またN橋交差点は、、、以下の文言について。1.周辺環境等を十分
   考慮し、とあるが、交差点のみ周辺環境を考慮し、他の環境は考慮しな 
   い、と読める。それでよいのか。2.第三者の安全確保に努める、とある
   が、人のみの安全に考慮し、家屋、その他の物の安全については考慮しな
   いのか。

 6. 乙及び丙は、騒音・振動・粉塵・電波障害の発生については、騒音規制法・
   振動規制法等の関連法規を遵守するとともに、行政指導の下、各戸と
   誠実に協議し適切な対処に努めるものとする。尚、騒音・振動について
   は、掘削期間及び躯体工事期間中計測を行い記録に残し、発生する騒音・
   振動の軽減に努めるものとする。

   私見 1.私たちが問題としているマンションは、第一種中高層住宅に分類され
   ます。市環境保全課によると、削岩機、鋲打ち機、杭打ち機等を使用する
   工事であれば第一種中高層住宅に対する騒音規制法による規制値は  
   85db(デシベル)、振動規制法による規制値は75dbであるが、建築主の届け
   出によるとこれら機器の使用はされないことになっている。従って規制値
   は適用されない(粉塵に関する規制値はない)。それ故、住民から騒音、
   振動、粉塵等に関する苦情を受けたら行政は、建築主に、それらに対する
   配慮をお願いするだけで、強制力を持たない、と言うのです。
   となると、建築主はこれら規制法を遵守する、といいながら、実際には
   騒音、振動、粉塵等による規制はないと同じ、ということを知っていた
   に違いないのです。
   私の協定書案では「騒音、振動、粉塵等を出すな」としています。工事が
   なければ、これらの迷惑は生じないからです。建築主は説明会で、ガード
   下程度の音(90db位?)は出ます、と言っています。2年半もの長期にわ
   たる工事による迷惑を我慢する義務は住民にはありません。建築主に迷惑
   をかけるなというのは当然です。
   2.「各戸と誠実に協議し適切な対処に努めるものとする」という文言は
   好ましくない。「〇〇〇会と協議し、、、」とすべきでしょう。
   理由。「各戸と協議」を認めると、建築主は、最も強硬な主張をしない家
   を見つけ、そこと協議し、自分に好都合な条件で、話をつけます。それを
   基準に「誰々さんは、何の条件もつけなかった。あれこれ文句を言うのは
   お宅だけですよ」というように、各戸撃破で話を進めるのではないか、と
   いう恐れを感じるからです。
   3. 尚、騒音・振動については、掘削期間及び躯体工事期間中計測を行い
   記録に残し、発生する騒音・振動の軽減に努めるものとする、という文言
   に以下に述べるような問題があると考えます。(1)素人である私たちに
   掘削期間、躯体工事期間が何時であるか分かるでしょうか。(2)しかも
   この期間だけ計測を行い、記録に残すが、他の工事期間はそれをしないの
   です。(3)更に、それらの記録を私たちに見せるとは書いていません。
   これでよいのでしょうか。
   市環境保全課によると、騒音は土地境界線で計るとのことです。
   丙に訊ねると、計測器は1台のみ使用するといいます。仮に騒音発生源が
   北にあり、測定器をそれに至近の場所に置くと、南、南東、南西、その他
   の場所では騒音計測はされないことになります。これらの場所での音量は
   当然低くなると思われますが、実は必ずそうとは言い切れません。私たち
   住民の家は周囲を小高い山に囲まれています。音はこれらの山にぶつか
   り、反響音として戻ってきます。音源の反対側から強い音が聞こえてくる
   ことはしばしばあるのです。
   「誠実に協議し、、、努めるものとする」という文言も要注意です。工事
   協定を独断で決めてしまったHは「誠実に」と書いてあるから良いでは
   ないか、と言って押し切ってしまいました。だが私たちの考える「誠
   実」と建築主の言う「誠実」は同じでないのです。「企業の良心」は
   企業の利益を第一に考える、ということを忘れてはいけません。 

 7. 丙は、大型工事車両の運行に際し現場~S橋間は出入りを含めて1台のみ
   通行するものとする。また、現場~N橋交差点間は最徐行運転(時速10キロ
   以下)で走行することとし、N橋交差点~S橋間ではバス、一般車両との接触
   事故等のないよう十分に安全確保に努めるものとする。尚、工事車両の
   バス通りでの一時待機の駐車はさせないものとする。

   私見 工事車両はS橋→N橋交差点→現場へと進入します(S橋→N橋交差点
   はバス通り。N橋交差点→現場間の道路は狭隘で本来なら大型車両の通行不
   可)。N橋交差点→現場間はカーブがあり、見通しも悪く特に危険なので、
   条文中「N橋交差点~S橋間ではバス、一般車両との接触事故、、、」とあ
   る内、「N橋交差点」とあるのを「現場」と変更する。 

 8. 丙は、本工事に従事する従業員、作業員、誘導員(ガードマン)及びその他
   関係者が甲及び第三者に迷惑を及ぼさないよう風紀教育、衛生管理の徹底
   に努めるものとする。また、車両の通行に際して、不必要なクラクションは使用
   しないよう管理の徹底に努めるものとする。

 9. 丙は、工事を施工するに際し、近隣住民の方々の安全を確保し、又、個別
   に生じる問題についても誠意を持って対応するものとする。
 
10. 本協定に定めなき事項、疑義が生じた事項については、信義誠実の原則に
   従い、甲、乙及び丙は互いに誠意を持って協議し、解決に努めるものと
   する。

   私見 6条の私見2で述べたように「誠意を持って協議し」という文言に
   注意すべきでしょう。
   

以上、本協定書の締結を証するため、本書を3通作成し、それぞれ記名押印の
上、各自1通を所持するものとする。

平成---年---月---日

 (甲)
〇〇〇会
---県---市---町---番地
 会長 記名押印

(乙代理)
住所
R法律会計事務所
 弁護士 記名押印

(丙)
住所
株式会社 KKK組 首都圏支店
専務執行役員 記名押印

(立会人)
a,b,c 町内会会長
3町内会長の署名


インターネットのサイト「マンション紛争 Q&A」の工事協定の項に工事協定書のひな形があり
ます。私の協定書案はこれを基に作成させていただきました。是非参考にされる
ようお勧めします。このひな形と比較すると、私たちの会が建築主と結んだ協定
がいかに建築主の都合だけを考えて作成されたものかよくお分かりいただけると
思います。

強く述べておきたいことがあります。私たちが建築主に様々な要求を出すのは、
建築主にマンション建設による利益の分け前を出せ、ということとは明らかに違いま
す。マンション建設が始まる前の状態を保ってくれ、それができないなら、償いを
せよ、被害が出たら補償せよ、と求めているだけです。
騒音、振動、粉塵等を出すな、という要求は無理なのではないか等と建築主の
都合を考える必要はありません。建築主は建設によって利益を得ます。彼らの
利益のために私たちが不利益を我慢して協力する義務はないのです。
建築主は法規制を全てクリヤーし、行政の許可を得ている、というかも知れません。
法規制というのは全ての人に満足を与えるべく考えられるべきものですが、実態
はそうはいかず、多くの場合、力の強いものに都合よく作られています。それを
正すのが市民の力です。多くの人が集まれば大きな力になります。


当サイト一時中断のお知らせ
四年越しに右肩の痛みに悩まされております。その痛みが最近ひどくなり、
パソコン入力に困難を感じるようになりました。まだ書きたいことがありますが、
ひとまず中断させていただきます。多少なりと良くなれば再開の予定です。 






1 コメント

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残念ですが、 (R)
2015-02-19 11:00:12
内容拝見いたしました。

お気持ちは分かりますが、残念ながら「私見」を盛り込んだ協定書では締結は難しいでしょうね。

何故ならば、工事協定書というのはあくまでお約束事であり、必ず結ばなければならないものではないからです。
つまりどんなに厳しい文言や、住民の立場でこういう文章にすべきだと言っても、業者が同意しなければ締結なしで工事を始められるからです。一般的な工事協定書と言うものが、建築主の都合だけを考えて作成されているというのもそれ故です。

確かに、住民に不利益を我慢してまで協力する義務はないと思います。しかし、同時に極論を言えば、建築主も法に触れない限りは「不利益を我慢して必要以上住民に配慮する義務はない」ことを忘れては協定の締結など無理でしょう。

お気持ちは痛いほどわかりますが、感情で他人の権利を制限することはできません。

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