
『怖るべき子供たち』
コクトー/ 東郷青児訳
"Les Enfants Terribles" by Jean Cocteau(1929)
1953年・角川文庫
気づくと、カフェ ドゥマゴのテラスでジャン・コクトーを読むという、フランスかぶれのような事をしてしまっていた。
偶然、鞄に入ってた本がコクトーだっただけです。
フランスで好きなのは、サッカー選手のジダンとジョルカエフとナスリだけ。
店員がドタバタしてよく音を立てますが、ここのシブストは美味い。
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隠れ家と夢遊。
子供の心の大部分を占めるファクター。
(そういった意味で、この年で部屋遊び用のテント購入を検討する小生は、一人前の偉丈夫とは言えない)
隠れ家、夢遊、2つとも忘れると、人は大人という別な生き物へ変貌を遂げる。
隠れ家を取り巻く大人たちの世界は時折、平和な夢遊の世界に、刺客を送り込んでくる。
刺客は排除されなければならない。
だからエリザベートは策を弄し、哀れなアガートとジェラールを追い払う。
ああ、大人になちゃったなぁと思う。
完全にジェラール目線だよ、俺。
そんな大人になっちゃった俺が、子どもたちの愛-真の心の交流-を勝ち得ることはできるのか。
一観客として舞台を眺める。
ふと、舞台俳優と目が合った気がする。
果たして、そこに愛は生まれ得るのか。
コクトーの答えはノンで、ジェラールは最後まで客先から舞台を見つめるのでした。