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『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン

2012-07-23 | Books(本):愛すべき活字

『星を継ぐもの』
ジェイムズ・P・ホーガン(英:1941-2010)
池 央耿 訳
"Inherit The Stars" by James Patrick Hogan(1977)
1980年・創元SF文庫


【ネタバレ注意報(抜粋箇所)】

++++

さらにその後、女兵士の一人が足を挫き、痛みのためにしだいに一行から遅れがちになった。

太陽は傾き、ぐずぐずしてはいられなかった。

先発隊の面々は皆、一人を救うべきか、二十八人のほうが大切か、という疑問に内心悩んでいたが、それを口に出す者はなかった。

彼女は一行が小休止した時にそっと空気弁を閉じて、われとわが手で問題を解決した。 

++++


読んだった。

ようやく、読んだった・・・。


月面で発見された宇宙服をまとった死体。

綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。

その死体はどの月面基地の所属でもなければ、まして地球人でもない。

なんと彼は5万年も前に死んでいたのだ・・・。


というイントロから、科学者たちが謎を解明していくという話なんだけど、自分でも驚くほどこの死体が何者かがどうでも良く、やはり本には読むべき時期とそうでない時期があるなぁと。


そもそも、俺がこの小説を「読みたい」と思ったのは、今から25年前の1987年。

まだ、俺自身ぴっちりした短パンを穿いていて、あまりにピチピチな短パンの隙間から金玉が2つともはみ出てしまっているような少年だった。


その年の秋、今は亡きホット・ビィというメーカーから『星をみるひと』というファミコン・ゲーム(RPG) が出た。


当時はドラクエ3がもうすぐリリースされるというタイミングで、まさにRPGの全盛期。

学校中の子どもたちが、それこそ魂を削るようにしてRPGをやりこんでいた。


そのうちの何作か、『ドラクエ』や『マザー』といったゲームは、その子たちの人生観まで変えてしまった・・・。

それくらい、あの頃のゲームは、少年たちの生活に密着してた。


でも、この『星をみるひと』に関しては、教室の少年たち全員の金玉が短パンの中に引っ込んでしまうほどの破壊力。


クソゲーってのはみんながやったからこそ、今でも居酒屋でサラリーマンたちが

「『スペランカー』の高低差の死亡判定、あれ無いよね」

とか、お決まりなことを言って盛り上がれるんだよね。


その点、この『星をみるひと』みたいな孤高のクソゲーは辛いかもね。


あんまし皆で盛り上がれないから。


ここで、『星をみるひと』というゲームの凄さを伝えるために、(自分で書くのが面倒なので)ウィキペディアに書いてある説明でも貼り付けてみよっかなっと。


<「星をみるひと」Wikipediaより>

退廃的なサーバーパンク風の未来世界で、超能力を持つ主人公みなみが、襲い来る「サイキック狩り」と戦いながら仲間を増やして進んでゆくSFロールプレイングゲーム

・開始直後、主人公は何の指示も与えられないまま、いきなりフィールドに放り出されている。

・しかも最初に向かうべき町は「超能力で隠れている」という設定で見えない。

・しかもHPなどを回復する事が出来るポイントがこの町にしか無いため、この町に気づけなければストーリーの進行以前に敵との戦闘などでゲームの進行に支障をきたしてしまう。

・キャラクターの移動速度が極めて遅い。1マス移動するのに1秒近くかかる。それに引き換え町の中のNPCなどは違和感の無い速度で普通に歩くため、追いつけずに話しかけられないといった事がしばしば起こる。

中盤以降、ドアを開けるために必要となる「IDカード」が最強クラスの装備品並、あるいはそれの数倍もの値段と高価である上に、使い捨てである。

・しかも一度開けてもドアはまた閉まるため、一枚しかカードを持たない状態でドアのある部屋に入ると閉じ込められ、セーブ・リスタートを余儀なくされる事がある。

・一応、このIDカードをタダでくれるNPCが存在するが、やはりノーヒントであり、気づかずにまじめに金をため続けるプレイヤーは多い。

・武器や防具は次の装備と買いかえるまで外せない。



・・・甦るなぁ。

まあ当時のゲームって多かれ少なかれ、こんな感じだったけどね。

いや、待てよ。

1987年って言ったら、ファイナルファンタジーと同年か・・・。



ちなみに、Wikiに書いてある「最初に向かうべき、隠された町」は、実はフィールド画面上の、スタート地点から一歩左に進んだところにあるという・・・。

ゲーム開始後、いつも右に進んじゃう癖のある人は一生解けなかったんだろうなぁ。


→いないと思うけど、万一、このゲームに興味が出ちゃった場合は「星をみるひと」でググると、1番目にヒットするサイトがこのゲームの伝説具合をつぶさに伝えてくれてます。
(あーいう、ファミコンとかの情報を後世に伝えてくれてるHPは好きだな)


そんで・・・・ 

やっとホーガンの小説の話なんだけど。


当時、小学生だから読んでなかったものの、ホーガンの『星を継ぐもの』というSF小説があることは知ってて。

俺は勝手に勘違いして、ファミコンの『星をみるひと』は、ホーガンの『星を継ぐもの』が原作だと思い込んでいたのだ。

(多分、ゲーム製作者がSF好きで、ホーガンの小説から題名のニュアンスだけ拝借したんだろうけど)


いつか、いつかこのクソゲーの原作を読んでやるぞ・・・・

と思ったのが25年前。


嗚呼、光陰矢のごとし。

少年老い易く、小説読み難し。


月面で発見された死体が実は5万年前に死んでたことよりも、『星を継ぐもの』を読みたいと思ってから実際読むまでに25年もかかったことの方がよっぽど怖い。


<Amazon>

星を継ぐもの (創元SF文庫)
池 央耿
東京創元社

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