最近、よく「予防医学」ということばを耳にするようになりました。以前は、病気になったら病院へ行くものと決まっていました。風邪などの軽い病気ならそれでも治りますが、症状が出てきたときにはもう手遅れ・・という病気が多いですよね。このために症状の出る前から「健診」を受けることが大事なのです。会社などで健診を毎年うけておられる方もあれば自主的に人間ドック等を受診される方もありますが、全く健診していない方が大半ではないでしょうか?若いうちは丈夫でも、40代、50代、60代と年齢が進むにつれいろんな病気になりやすくなります。勇気を出して、一度健診をうけるようにしてくださいね。
でも、本当の「病気の予防」は健診さえ受けていればいいというわけではありません。いくら健診で異常がなくても、ぎりぎりのところで何とかカラダが踏ん張っているという状態かもしれません。正常値だから安心、と思っていても、それはずっと変わらない状態なのか、改善してきているのか、それともどんどん悪化してきているのか、わかりにくいですよね。本当の予防医学とは、健診を受けることは最低限として、普段の食生活や運動をどのようにしていけば病気になりにくいかを考え実践していくこと、さらに病気になる前に必要であれば治療していくことなのです。
漢方の教えに「上工は已病を治さず、未病を治す」といういい言葉があります。昔の漢方の名医はすでに病気になってしまったものだけでなく、病気になる手前(未病といいます)で治療するといわれていたのです。そんな昔から「予防医学」という概念を大事にし、食事による予防、早期治療を実践してきたのが漢方治療なんです。中国の歴史の重みを感じますよね。