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なんで鉄塔が好きなんだろう 3

2020-06-29 15:32:18 | 日記
なんで鉄塔が好きなのか、振り返ってみるやつ3回目。
前回はこちら


03. 鉄塔でやるぞ!と決めた短大時代


暗い高校時代を経て、地元の美術系短大に進学した私ですが、2年生の夏休み前に行き詰まった時期がありました。
美術系の大学は卒論もしくは卒業制作の提出が卒業の要件になるのですが、卒業制作のテーマがなかなか決まらなかったのです。何案挙げてもボツになり、「もう私ができそうなテーマって、鉄塔くらいしかないんですけど!」と逆ギレしたところ、なぜか「それいいじゃん!」となったのでした。

とはいえ、鉄塔のことはなんとなく好きなだけで、詳しいわけでもありません。
ネットで検索し、書籍を買ったものの、具体的にどのように鉄塔ができるのかは想像できませんでした。そこで、東北電力に取材を申し込み、建設現場を見せていただけることになりました。その内容を漫画にし、イラストを交えた鉄塔の本を制作し、提出。なんとか卒業できそうだ…というところまで漕ぎ着けたのです。

正直に言うと、この時期は調べても調べても専門用語まみれの鉄塔が本当に憎かった!どうしてこんなに難しい用語が多いの?!それだけでもう挫けそう…。
この時の経験がきっかけで、その後鉄塔の入門書をつくることになるのです。
そして今でも、専門用語を知らない人にも伝わる内容を目指して「鉄塔ファン」を作っています。

ちなみに、建設現場を見学させていただいた経験を元に描いた漫画は、その後描き直して「鉄塔ファン vol.1」に収録しています。

これって鉄塔?!個性的すぎる環境調和型鉄塔

2020-06-22 23:13:54 | 日記
鉄塔といえばトラス構造でアングルが入り組んだものを想像すると思います。
でも、シンプルな鉄塔もあるんです。

それがこちら。単管の鉄塔です。



この単管鉄塔、一般的には環境美化型鉄塔もしくは環境調和型鉄塔と呼ばれています。私は環境美化型という呼び方に違和感(どんな鉄塔も美しいじゃん!)を感じているので、調和型と呼んでいます笑

環境調和型鉄塔は読んで字の如く、景観に配慮して周りの風景に馴染む色や形に設計されている鉄塔です。単管(1本の鋼管でできているもの)=環境調和型というわけではなく、環境調和型鉄塔の1種類として単管鉄塔が挙げられるんですね。

じゃあ、他にどんな種類があるの?というと、たとえばこちら。


形は普通のトラス構造でも、色が茶色かったり、緑色だったりと、周囲に馴染む色に塗装されていたりします。
川の近くの鉄塔は水色に塗装されていたり…
単管の鉄塔はほとんどと言って良いほど塗装されています。色は白が多いですが、水色や緑色のものも。



珍しいものだと、絵が描かれていることもあります。



調和型鉄塔が多いのは、公園内、住宅街などです。
全部環境調和型鉄塔にすればいいじゃん!と思うかもしれません。でも残念ながら、調和型鉄塔は普通のトラス構造の鉄塔に比べて建設費用や維持費用が高額なため、ここぞ!というところにしか建てられないそうです。

エア巡礼革命!航空写真が便利すぎた

2020-06-16 14:06:55 | 日記
こんにちは!エア巡礼、してますか?
エア巡礼って何?!…というかたはこちらから。

正直、前回ご紹介した方法だとエア巡礼するの大変じゃないですか?
お家でダラダラしつつも鉄塔をたどった達成感を味わいたい!ということでエア巡礼を行うわけですが、エア巡礼はエア巡礼なりの面倒臭さがあったわけです。

でもご安心を。できるだけ楽をして鉄塔ライフを満喫したい!という一心で、解決策をご用意しました。
ズバリそれは…航空写真です!!

まずはGoogleMapを開き、左下のこのボタンを押します。


こんなボタン、普段使ってますか?私は全く使っていませんでした。
何を調べる時に使うんだろ…??
という疑問は一旦忘れ、ポチッと押してみると…


航空写真に切り替わった瞬間、今までに見えなかったものが見えるようになっていませんか?


そうです。送電線が見えるのです!
すごい!革命!天才!!!
おそらく鉄塔ファンがみんなやってるであろうことなんですが、私はつい最近発見しました。
これでGoogleMapだけでエア巡礼をすることができます。
ストリートビューと組み合わせれば、まるで実際にたどっているかのよう。


さらに、航空写真だと鉄塔の色や形まで見えてしまうのです。
これは面白い形の鉄塔探しにも役立ちます。

これからの季節、長時間の外出は熱中症の心配もあります。ぜひお家でエア巡礼してみてくださいね!

鳥の巣誘導ネットだけじゃない!鉄塔の動物対策3選

2020-05-28 09:00:10 | 日記
前回の記事で、鉄塔の鳥対策のひとつ「営巣誘導ネット」をお伝えしました。
…が、鉄塔の動物対策ってこれだけじゃないんです。
ということで、今回は営巣誘導ネット以外の動物対策をご紹介します!



その1. 鳥害防止装置(針山タイプ)

鳥が止まれないように剣山状にトゲがついている資材のことです。
送電線に近い部分に設置して、鳥が巣を作るのを防ぎます。


日動電工株式会社のウェブサイトより画像を引用

駅の天井や外灯の上にも使用されることが多い剣山タイプのものですが、鉄塔に使用されることも多いです。取り付けられているところが遠いので、肉眼でなかなか確認できないだけなのです。

物理的に鳥を鉄塔に止まらせないようにするのですが、たまに超絶技巧で止まっている鳥もいて、「おっ!!」と興奮しますよね…。

針千本を文字った「トリせんぼん」や、バリケードを文字った「トリケード」などのネーミングセンスも最高で大好きです。
「スーパーシホンⅢ」と「針山傘」、いつかゲットしたいです。



その2. タピオカ



これです。
どう見てもタピオカですありがとうございました。

実際は直径数十センチあるので、どう見てもタピオカでないことは確かなのですが、遠目にはタピオカに見えてしまうのです。

正式名称が分からないのですが、調べても出てきません。
何て検索したかって?「鉄塔 タピオカみたいな球」です。
検索するのが下手くそすぎる。

実は以前一度調べた際に、ほぼ「ムササビ避け」で合っていると確信を得たので、製造元の情報にたどり着いたはずなのですが、改めて調べてみると全く分かりませんでした。
どなたか情報を……!

ちなみに、タピオカブームの前は心の中で「ガンツのやつ」と呼んでおりました。



似たような機能のものに、ヘビ除けの筒もあります。
両方機能は一緒で、ツルツルして掴みにくいのでそれ以上は昇ってこられないというものです。鉄塔には齧歯類やヘビがよく昇って来るみたい。

齧歯類やヘビなどの事故による停電は「獣害」とされていますが、もともとそこに住んでいた動物からすれば、住処の近くに急に鉄塔ができて「昇ってくるな!」と言われる方が無茶ですよね。
こうした資材で動物の事故も減るといいな。



その3. ねずみ返し

鉄塔に必ずと言っていいほど設置されているのが「ねずみ返し」です。
「ねずみ返し」というと高床式倉庫のそれを思い出しますが、機能は一緒。
ただ、ねずみが昇ってくるのを防いでるわけではなく、実は主に人間が昇ってこられないようにと取り付けられているのです。
正式には「昇塔防止装置」というらしいです。



一般的な形といえばこれでしょうか。
一番大きな4本の脚に、それぞれ取り付けられています。サイズもコンパクトで設置しやすいですね。



そもそも、鉄塔はフェンスや有刺鉄線で囲まれていることが多いため、昇る前にひとつ障害があるのです。ガッチリとフェンスに囲まれている鉄塔の場合、ねずみ返しはシンプルなものであることが多い気がします。



こちらはフェンスで囲まれてない鉄塔。ねずみ返しがかなり複雑です。



こちらは放射状タイプ。
「登られん」という言葉でかなり牽制してきますね。

ここではいくつかしかご紹介できませんでしたが、放射状のものや格子状のもの、大きさや取り付け方の違いによって多種多様なねずみ返しがあります。
本当に数えきれないくらい種類があって、ねずみ返し部分をみているだけでも面白いので、今度鉄塔を見る機会があればぜひチェックしてみてくださいね。

やさしさがスゴイ!鉄塔と鳥のはなし

2020-05-22 01:58:42 | 日記
突然ですが、鉄塔の中程に設置されたこのネット、一体何だと思いますか?


実はこれ、鳥に向けて「ここなら巣を作ってもいいですよ〜〜〜」と、わざわざ設置されたものなんです。

え?!そもそも鳥って鉄塔の上に巣を作るんですか??
…というツッコミが来るのを勝手に想定して自分から言っちゃうんですが、作るんです。

鳥、鉄塔の上に巣を作るんです!!!!!!!

え…なんで?って思いますよね?
なぜならそこに鉄塔があるから。(たぶん)

ちなみに、鉄塔の上に巣を作るのはほとんどがカラスです。
鉄塔って日本全国、人間の住むところならどこにでもあるものなので、街のなかで生きるカラスにとっては都合がいいのかも。

さらに、カラスの中でもハシボソガラスという種類のカラスが特に多く巣を作るそう。
2012年に電力研究所がおこなった調査によると、ハシボソガラスの方がハシブトガラスより3倍も多く鉄塔に巣を作っていたとのこと。

なんでだろう…。(これは本当に分からないので、誰か教えて…カラスに詳しい人……)

そんなわけで、鳥が鉄塔の上に巣を作るというのは、珍しいことではないのです。
でも、作る場所によっては感電してしまうことも…。
送電線にあまりに近いところに巣を作ると、接触してショート、ひどいと停電してしまうこともあるのです。(もちろん、接触=死です…悲しい。)
人間側からは停電したら不便だな…くらいなものですが、自分の身に置き換えると恐ろしい!!絶対感電死はしたくないもの。

鳥の感電もなんとか防ぎたい…!ということで設置されたのが冒頭の「営巣誘導ネット」なのです。電力会社のやさしさ……♡

ちなみに、これが作っちゃダメなとこに作られた鳥の巣。心配だよ……



そして、こちらがきちんと営巣誘導ネットに誘導された、優等生な鳥の巣。


拡大するとこんな感じ。ちゃんとネットの上に作っていますね。


下から見上げてもほら!




ちょうどこの時期は、カラスの子育てシーズン。もしかすると鉄塔の上に巣を発見できるかもしれません。
ちなみに、こんな掲示がしてあったらその鉄塔の鳥の巣は、ヒナの巣立ちを待ってから撤去されます。


やさしい………♡

電力会社の優しさを感じることができる「営巣誘導ネット」。
鉄塔をみかけたら、設置されているかどうか、是非チェックしてみてくださいね。