Gute Reise

東大で西洋建築史の研究をしながら設計を勉強している大学院生の日々の記録です。リスボン大に1年間留学を終え、帰国しました。

インターン40日目・ベルギーづいた一日

2017-07-10 | LISBOA・AIRES MATEUS
水曜日の続きで、ファサードスタディの続き。

朝来るとIsabellaとFranchescaはもう既に来ていて、Casa Apoloniaの新しいトポグラフィを既に切り出し始めていた。

Dona Victoriaにおはようございますと挨拶すると、先週末私がホリデーでいなかったのだと思っていたらしく、祝日どうだった?というようなことをニコニコ聞いてきたのだけど、週末のことを最初聞かれているのかなと思って、家にずっといました、、と言うと、まぁ!疲れているのねと気の毒そうな顔をされた。



暫くすると、イタリア人の男の子が一人、それからフランス人の女の子が一人。
DamienとLaurine。

二人のところにCharlesが自ら挨拶しに来ていたので、まじかと思って後で聞くと、LaurineはTournaiの大学出身だそうで、それで既に前からCharlesを知っていたという。なるほど。


いつもの通り二人にはまだ仕事がなくて、待ちぼうけする羽目になっていたので、LaurineはElviraとPalomaが手伝っているSaraとAntonioのプロジェクト、それからDamienは私の銀行改修のプロジェクトをひとまず手伝うことになった。

ほんとに退屈な作業お願いするようで申し訳ないんだけど、と言いつつ何も仕事がないよりはマシかなと思ってカードボードを切る作業をお願いする。
昼頃には目途が立ちそうだねと話しつつ、プロジェクトの内容をRuiに代わって説明しつつ進める。

Ruiが通りかかったときに、もうそろそろ終わりますよと声を掛けると、あ、実は先週の金曜日にManuelに模型見せたんだけど、増築部分の二層を、二層とも全く新しいデザインにするのではなく、一階は地階のファサードを鏡のように写したデザインにして、全く新しいデザインは二階だけにしたいって言ってたんだよね、ちょっとこの今やってるスタディがひと段落したら説明するねと言われる。



昼はCaro、Damien、LaurineとEstrellaへ。
Charlotteは今日珍しく私より早くアトリエに来ていたくらい、ミーティング前で忙しいみたいだった。

Caroは途中でお母さんに電話するからと帰っていったのだけど、DamienやLaurineと学校やインターンのことなど色々と話した。
私が来月ブリュッセルに行くんだというと、ブリュッセルに住んでいるLaurineが案内してあげるよと言ってくれた。



昼の後でスタディを完成させ、Ruiに見せてもっとレイヤーを重ねてほしいと依頼されたところを直し、続いてManuelに指示されたという新しいスタディを始める。

昼前から動かなくなっていた方のヒートカッターの電線をMaria Joãoが買いに行ってくれ、そして機械系マスターのKikoが繋ぎ直してくれた。
模型スペースにいるインターン生全員でめちゃくちゃ感謝する。


模型の施工上、そして図面上、増築部分の既存デザインの箇所のバルコニーの納まりが気になったので、プロッターのところに来ていたRuiに確認しに行くと、これは、、、めちゃくちゃいい質問だね、、、と悩んでしまった。
というのも、一階部分の窓が納まるべき箇所に地階と同じデザインの窓枠とバルコニーを納めると、地階と一階の間にある石にバルコニーが飛び出てしまうのだ。
とりあえずスタディ上は私が提案したごまかし方でごまかすとして、実際それでゴーサインが出たら詳しく考えようということになる。

丁度近くを通りかかったTiagoにRuiが事情を説明し、絶対Manuelが提案している一層だけ新デザインにする案より、当初の二層新デザインにする案の方がわかりやすいしカッコイイというようなことをポルトガル語で説明していて、Tiagoも、うーーん、そうかもねぇというようなことを言って、muito bomと言って去っていった。


そういうわけで引き続き、バルコニーの納まりも念頭に置きつつヒートカッターで1:20模型のファサードをやったときと同じようにして金太郎飴方式で窓枠を作っていたところにRuiがやってきて、状況を報告。
なるほど、そうやってやったら今時間かかっても後で早くなるって寸法なわけかと感心していた。
ちょっとアイデアが浮かんだんだけど、と言っていたので、これが切り終わったら伺いますと言ってオッケーと言い合う。

今日も周辺の模型隊の相談役を務めていたわけだけど、Ze Maria(若い方年配の方どちらも)とIsabellaとFranchescaがレジンの話をしていて思わずくすりとしてしまった。
Casa Apoloniaのプールもレジンで作りたいそう。
ああ、あのレジンの匂い思い出してきた、、、



約束通りRuiに話しに行くと、こんなレファレンス見てたんだけど、とVincent Van Duysenのアントワープにあるリノベした本屋のファサードを見せられる。
実は丁度土曜日にCharlesにベルギーでオススメの事務所を聞いていて、真っ先に挙げていたのがVincent Van Duysenだったところ。
あー!知ってます!!カッコイイですよね!!!!と思わず思っていたより大きい歓声を挙げてしまう。
Ruiがアントワープ行ったことあるのに見てこなかったよ、、、と言うので、私来月行きます!と言うとめちゃくちゃ羨ましがられた。

Ruiがどうしてこの本屋をレファレンスにしたいかを説明してくれた。
よくよくManuelが一層分に留めるデザインを押していた理由を考えると、もしかすると歩道から見たときにあまり新築部分を見せたくないって意図なのかもしれない、と。
Vincent Van Duysenのレファレンスの方は、上手く増築部分がセットバックされていて、恐らく歩道からつなぎ目が見えないようになっているんだと思う、と。
はぁ、なるほど、それなら腑に落ちる。

これ、ストリートビューで見られたりしないですか?と尋ね、グーグルマップのストリートビューで見ると左右の建物との高さの関係はいまいちだったのだけど、やっぱり建物そのものは格好よかった。
似たようなことを二層分新しいデザインの方の案で実験しようと打ち合わせ、格好いいレファレンスを見つけてRuiも楽しそうだったし、私もどんどん成長していくこのプロジェクトにワクワクした。



Charlesが通り掛かったら先日のお礼と今日あったことを伝えなくてはと思っていたのだけど、すぐaté amanhãと言って帰りかかったところを呼び止めて、結局アントワープに行くことにしたということを伝えると、自分にとっても一番好きな街の一つだよと嬉しそうだった。
それから、昨日の今日でVincent Van Duysenの作品が今やっているプロジェクトのレファレンスになったということなんかも。
なんかあったら相談してねと言って帰っていった、ありがたい。

インターン37, 38, 39日目・ピンチヒッター再び/Isaの最終日

2017-07-06 | LISBOA・AIRES MATEUS
月曜日

Isabellaが新しく来ている女の子とイタリア語で話しまくっていて、あ、あなたが新しく来た子?と聞くと、そうですと。
Franchesca、Isabellaと同じ大学出身。
当面はCasa Apoloniaを手伝うことになるそう。

私は金曜日に用意しておいた螺旋階段のテストの続きを進める。
手摺が太く、階段の長さが均一なパターンと、手摺が細く、階段の長さが手前に向かって広がっているようなパターン。
螺旋階段の切り出しが終わると、例によって写真を撮ってサーバーに挙げる。
どう思う?と聞かれ、多分、後者の方が空間に奥行きが見えていい感じですよねと言うと、僕もそう思うとRui。

Ruiに他に何かできることありますかと聞くと、手摺のスタディのことを説明される。
Mariaの提案で、模型の時点で施工上角の階段が曲がる箇所で手摺の納まりが難しいことから、階段と手摺が接するところは90度に曲がるようにし、手が触れるところは円弧になるようにできないか実験してほしいとのこと。
なるほど、そんな納まりの解決方法もあるのか。

1:5でテストしてほしいということだったので、1:20の手摺の高さから1:5の手摺の高さを出そうとノートに計算していたら丁度通り掛かったRuiにあ、また算数やってんの?と笑われた、、、
明日続きをやりますと説明して、帰宅。




火曜日

朝早速手摺のテストを終えて、Ruiに見せ、グーサインをもらう。
Mariaに見せると、Muito bonito!と言って、その後も頷きながら何か言ってくれていたのだけど、Ruiが、Mariaが君は特別だって言っているよと教えてくれた。
Mariaはこの事務所で尊敬しているコーディネーターの一人。
きっと一生忘れないだろうな。

続いて、1:50でのファサードのスタディに関して説明を受ける。
というのも、階段と同様に階高の意味で法規を突破するために、二階以上(建設年代が異なる)を建て直す案で進んでいるらしい。
ここで一通りどうやってスタディしてほしいか説明を受けていたのだが、結果あまり理解できていなかった私は1:20模型でやったときと同じようなことをちょっと簡略化してやるのだと勘違いしていて、カードボードにせっせと窓の穴を開けていたところをRuiにニコニコ、なんで穴開けてるの?と止められる、、、
ここでやっと勘違いに気付き、地階までの高さのソリッドなボリュームに窓を張り付けて、一階以上の増築のファサードを重ねて実験するという趣旨だった。
心配だったのでその後も何回か確認し、Ruiに笑われながら、そうそう、それでいいんだよ、オッケーと言ってもらう。


IsabellaとFranchescaは水曜日が学校の最終講評だと言って早々に帰るそうで、Rikako、Ze Mariaたちが来たら、伝えてくれる?と模型の状況を報告され、了解、伝えておくねと返す。

ボリュームに窓枠を張り付けていると、Ze Maria(若い方)がやってきて、あ、二人から引き継がれてる内容伝えていいですか?と言って、模型が上手く既存の正しくない地形の模型にはまらないという旨を伝え、明日二人こないので、何かあったら明後日言ってくださいと言ったところで、は?明日来ないの????と顔を見合わせる。
ええ、そうずっとずっと前からIsabellaは言ってましたけど?と言うと、でも年配の方のZe Mariaからは二人が明日の朝完成させるって聞いたんだけど、君が聞いたことは本当なのかと何度も確認され、IsabellaにWhat's appで確認させられる。
あのー、ミーティングいつなんですか?と聞くと、なんと明日水曜日の午後。まじか、、、
嫌な予感がするなーと思いつつ、ひとまず自分の作業に戻る。

暫くして、もうそんな予感はしていたのだけど、Ze Mariaがやってきて、Rikako、既にMariaとRuiに話はつけてきたよ。ほんっとうに申し訳ないんだけど、この模型を完成させて欲しいと説明され、はいはい、了解ですと言って模型の修正作業を引き受けることに。
一通り説明を受けて作業を進めているところにRuiが通り掛かり、ほんと、レジンの件とかひと段落した昨日の今日でこんなことになってるけど、本当に緊急の案件だったからノーとは言えなかったよごめんねと謝られる。
まぁ簡単なんで、と言って明日には本業に戻れますと伝える。


途中で、Ze Mariaが随分焦った様子で以前私が手伝った階段の1:10模型覚えてる?そのクライアントが来ていて模型を用意しなくてはいけないんだけど、、、と呼びに来て、準備を手伝う。
すっかり忘れていたけど、そう言えばこのプロジェクトも手伝っていたんだっけ、、、ギリシャがヘビーすぎて記憶の彼方だったな。



夜はまずFabioとTiagoの展覧会のクロージングパーティに行って、それからIsaの送別会のためCharlotteの家に向かう。
Charlotteとこの前Charlotteの誕生日に会ったKila、それから今Charlotteを訪れているMaryが料理を準備してくれていて、いつものメンツはリビングで飲みながらくつろいで待っていた。

遅れてきたAntoineに、そう言えば君のあの模型はどうなったの?と聞かれたので、Maria(スペイン人の方)と、Everything went perfect!とどや顔で応えたら笑われた。
そりゃ、あのてんやわんや、血の気の引いた私の顔を見ていたら可笑しいだろうな。

終盤、NicolaたちがIsaのためにナタをBaixaのお店で買って来てくれていたのだけど、それを鉄板の上にISAの文字型に並べてサプライズで出してきてとってもスイートだった。
そしてCharlotteが代表してIsaに感謝の言葉を涙ぐみながら言ってくれ、私はたった3か月しかこのアトリエにいなかったわけなのだけど、IsaやCharlotteの気持ちを想ってもらい泣きしそうだった。
ISAのAの乗った鉄板をAidenがAidenのAだからここから一番にいただくのは俺だと言って鉄板を自分の側に寄せたら、すかさずAntoineがそれを言うなら俺の文字でもあるだろと挟んで面白かった。

帰りは、方面が同じだったElvira、Aidenと一緒にMariaの車に乗せてもらって帰る。




水曜日

火曜日の夜に確認した箇所を中心に修正し、Ze Mariaたちと屋根の上に乗るボリュームに関して打ち合わせる。
大昔にCharlotteが苦戦していた形のボリュームが未だに残っていたのだけど、カードボードを使ってサクッと切り出し、完成。
通り掛かったZe Mariaに、こんなもんでどうですかと見せると、うわ、早!と言って、完璧だよ、本当にありがとうとめちゃくちゃ感謝される。

ところで、このプロジェクトについてはどう思う?と聞かれたのだけど、あの、以前に手伝ったときもそうでしたけど、全然どんなプロジェクトなのかさえも聞いてないんで是非教えてくださいと言って、どういうランドスケープでどういうアイデアなのかをざっくり説明してもらう。
今回と前回の合計一日程度見ていて思っていた、屋根のボリュームとファサードのデザインの不一致が気になるということを指摘すると、うーん君の言う通りだね、Manuelがどういうアイデアなのかを確認しないといけないね、と言っていた。

それで、君のRuiと一緒にやってるプロジェクトはまだ続くのかいと言うので、いやーまだほんとに序盤なんでなんとも、と言うと、Casa Apoloniaの方で図面を描くような仕事を振れるかもと言っていて、あーそれはちょっと興味ありますねと、キッチンに丁度来ていたRuiの顔色を窺いつつ。
糊が乾いたところでミーティングスペースに模型を運んでいくと、年配の方のZe Mariaにおお、どうもありがとうねと言われ、朝飯前ですよと伝えると笑われた。


引き続きRuiの方のディテールを進め、完成させてからファサードスタディの説明を受け、作業する。
クライアントの希望でバルコニーが二階に欲しいということで、バルコニーがあるもの・ないもの、など徐々に案が展開していくようなかたちで11種類のファサードを着せ替え人形のようにしてつくってスタディしていく。

すると、ミーティングが終わったらしいZe Mariaがやってきて、やぁRikako、君のそのRuiのための模型、あとどのくらいかかりそうかな?と聞いてきて、そう聞かれるということは、、始まった始まった、、、と思っていたところにRuiが丁度通り掛かり、おいZe Mariaいい加減にしろよ、俺のヘルパーだぜというようなことをニコニコ言いながら話に入ってきてくれた。
Ze Mariaは私の希望のよるけれど、Casa Apoloniaやギリシャのプロジェクトも、引き続き関わってほしいということを再度伝えに来てくれたというわけ。

Ze Mariaが君を二人に分けなくてはならない、だとか、二人Rikakoが必要だよというようなことを言ってくれ、5月から散々色んな人に働き過ぎだのなんだのって言われてきたけど、2か月で瞬殺したものも含めて8個のプロジェクトに関わって来れた。
頑張ってきてよかったなぁと思ったし、残り時間はわずか、タイムリミットまでどれだけ頑張れるかがポイントだなぁと感じる。



そしてこの日はIsaの最終日。
AntoineとMariaとAntoineの日本旅行の話をした。

帰り際、パッラーディオのテアトロオリンピコの柄のトートバッグをIsaが持っていて、皆でAlfamaで飲んだ時にお揃いだねーなんて話をしたのを覚えていたので、テアトロオリンピコ柄のポストカードにメッセージを書いてプレゼントした。
きっとまた会おうねとギュッとハグしてバイバイする。

もうIsaの面白いハッピーな話が聞けないかと思うと寂しいな。
もっと早くに出会っていればよかったのにとこんなに思える友達に出会えたのはこのインターンの宝だなーと思った。