つらつら日暮らし

旧暦の時代に於ける釈尊涅槃会と春彼岸の関係について

現代的な感覚だと、釈尊涅槃会は2月15日、そして、春の彼岸会は春分の日(3月20日前後)を含めた前後7日間というイメージだと思う。しかし、旧暦の場合、春分の日は2月であり、更には彼岸会も2月・8月だったと知った時、もしかして、釈尊涅槃会と春の彼岸会お中日が同じ日付になったこともあったのではないか?とか思っていた。

そうしたら、そのことを指摘する文章を見つけたので、学んでみたい。

○丁酉仏涅槃会、彼岸会中日にあたれり、かゝる時節もいと稀なるか近き例を考ふるに
  慶長五年庚子〈自是二十年之後〉
  元和元年己未〈自是二十九年之後〉
  明暦三年丁酉
 共に二月十五日彼岸会の第四日也。此後六十一年にして今歳亦然り、百十余年の間、只四度也。
    天野信景『塩尻』巻63、國學院大學出版部・明治40年本、下巻214頁下段~215頁上段


まず、慶長5年とは1600年、元和元年は1615年、そして、明暦3年は1657年に当たる。また、この文章を書いているのは、その後61年で今歳の干支はまた「丁酉」だとしているので、享保2年(1717)になるわけである。ところで、1つ注意しなければならないのは、春分の日とは太陽の動きの問題で、真東から昇り、真西に沈む日となっている。一方で、釈尊涅槃会は15日であるから、この日は満月である。

つまり、暦ベースではなくて、自然の天体運行ベースで考えて、春分が満月の日である場合を指していることが分かる。さて、春分が満月になる可能性について、少しく調べてみた。そうすると、2019年は3月21日が春分で、しかも満月だったという。旧暦での春分は2月になるので、その日に満月が来た、転ずれば、2月15日が春分になった日があったのだろう。

しかし、天野の見解を見ていくと、110年余りの間に、4回しか無かったとしているので、決して多くは無かったことが分かる。

ただし、明治時代以降、涅槃会は2月15日という「日付」を重視して、新暦への変換をしなかったので、それ以降は春分と涅槃会が一致することは無くなった。更に、月遅れの涅槃会を3月に実施する場合もあるが、もし15日に涅槃会を行うことになると、春分は3月20日前後にあるので、これも一致しない。

参考までに、今年の春分3月21日は、旧暦の2月19日だという。

それから、次に春分が満月になる日(旧暦2月15日)を調べたところ、2038年が該当するという。今年からすれば16年後、前回2019年からすれば、19年後か・・・となると、だいたい100年で4~5回程度なのだろう。天野の言う通り、ということになる。

以上、簡単な記事であったが、彼岸会のお中日である春分と、旧暦2月の満月(涅槃会)の関係について調べてみた。

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