ばあちゃんからの提案

マミイの最後の砦のアレルギー用の目薬がなくなってしまい、見るも無残な土偶のような目になるマミイ
昨日はお風呂ですっ転んでいたるところに打ち身を作ったどんくさいダディ
こうなったら、行先は薬屋に決まっている

わしは夕方の行動を予測しておでかけ準備
盗難警報犬でもいい
汚くて危険な汚家に１人残されるよりはまだましだ
もしかしたら、支払いをお互いに擦り付け合う２人のことだ
どっちか車に残るかもしれん
ダディがお買い物に行けばいいのだ

愛する広島のじいちゃん達からマミイに
「広島に疎開させてはどうか」
という暖かい配慮の電話がきた
我が家のとなりの市のお水に放射性ヨウ素が入っているのをニュースで知って、小さい、かわいい、おりこうさんの３拍子そろった孫のわしのことが心配でたまらないらしい
マミイは
「行くんなら私も行くよ」
と返事したのだが、
「あなたはそこでやることあるでしょ」
マミイは退職届を用意しようとした

こらわしのジャーキーの為に働け

まてよ
マミイと実家に帰るとなると、わしのおやつはお金持ちのじいちゃんが買ってくれるだろう
ばあちゃんは、ササミと野菜だけのお食事を用意してくれる
クーンって鳴きながらおひざの上に乗ると、２人ともジャーキーを取ってきてくれる
わしにとてつもなく甘い２人
マミイの中身の入ってないお財布なんぞあてにしなくていいのだ

マミイがわしはマーキングすると大げさうそを言うせいで、１時間に１度お散歩に連れて行ってくれる
お庭にはわし専用のドッグランも用意してくれている
わしのいんちき庭付き一戸建てとは違うのだ

よし　下僕よ
ともに広島へ行こう

やはりわしくらいの立派な獰猛愛玩犬になると、下僕は連れて行かねばなるまい
明日退職届出してこいよ

ダディが教えてくれた・・・
もう水にはなんら問題ないということを
それなら安心だな
ダディ１人で留守宅を頼むぞ

留守番が嫌なせいだろう
引止め工作をしてくる
その手には乗らないぞ
わしに
「１人で行って来い」
それが親の言うことかね
さらに
「じいちゃんが飛行機でお迎えに来るから貨物室乗って行くんだぞ」
平気
だってマミイも貨物室乗るんだろ
わし１人貨物室に入れて、マミイは客席に行くだって
ちくしょー会社のお荷物のくせに

ばあちゃんからの暖かい提案は謹んで辞退することにした

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