Daily Note

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PNF

2006年11月05日 | Weblog
PNFとはproprioceptive neuromuscular facilitation(固有受容性神経筋促通法)の略で1950年代にリハビリテーション医学の理学療法手技として確立されたものです。

Pのproprioceptiveは固有受容器(性)のことで、身体の至るところにある感覚受容器が刺激を受けることを意味します。感覚受容器は、皮膚や体内器官、筋や腱、関節、前庭器官などにも存在します。視覚や聴覚などにも存在します。視覚や聴覚なども感覚受容器の一種です。

固有受容器の機能   
Ruffini終末(関節包):運動方向と速さの検出
Pacini小体(靭帯):加速度の検出
筋紡錘:他動的伸張による筋緊張の検出
腱紡錘:他動的伸張および収縮による筋緊張の検出
皮膚の動き受容器(Pacini小体、Ruffini終末)

Nのneuromuscularは神経筋のことです。

Fのfacilitationは促通法であり、刺激に対して反応しやすくなることです。

つまり、PNFとは感覚受容器を刺激することによって神経や筋の働きを高め、身体機能を高めるテクニックであるといえます。医学的には、脳性麻痺や脳血管障害などによる神経障害や筋力低下、協調性の障害、関節可動域の制限などを改善したり、日常生活に必要な運動機能を獲得したりします。

感覚受容器に与える刺激は代表的なものには、触覚刺激、聴覚刺激(言葉による刺激)、視覚刺激、抵抗、牽引、圧縮、伸張、運動パターン、タイミング、放散があります。

・触覚刺激(manual contacts):徒手手技で圧を加えることによって皮膚に刺激を加えて運動を誘導し、筋の力強さを増します。

・聴覚刺激(command):頑張ってほしいとき、痛みがあるときに、声のトーンを変えて反応を起こさせます。

・視覚刺激(visual contact):アイコンタクトや動きを目で追わせて、運動を円滑に力強くします。

・抵抗(resistance):等尺性筋活動や等張性筋活動を起こさせて、筋活動の促通、筋力・持久力の促進、協調性の増大、運動認識を高めます。筋活動は正常な機能を回復・促通するために必須な方法です。

・牽引(traction)や圧縮(approxination):関節面を牽引したり圧縮したりして関節面にある受容器を刺激します。牽引は、筋反応を高め、運動をさらに促通するために用います。圧縮は、筋反応や安定性、抗重力筋の収縮を高めます。

・伸張(stretch):筋を伸ばすことで筋紡錘が刺激され、伸張反射が起こり、筋が反応しやすくなります。特に伸張反射が誘発される瞬間に随意努力をさせるとよい反応が得られ、また筋疲労を減少させます。

・運動パターン(pattern):螺旋的、対角線的な動きを特徴とした、正常で機能的な運動です。

・タイミング(timing):調和のとれた運動を生み出す一連の筋収縮の順序のことをいいます。最も強調された機能的な運動の正常なタイミングは、遠位から近位に向かって行われます。

・放散(irradiation):刺激によって自動的に起こる筋反応の広がりのことです。強い筋活動に由来する感覚刺激は、放散によって中枢神経系に興奮を広げ、より強い要素筋から弱い要素筋に向かってオーバーフローを起こさせます。そして、それは筋の協力を引き起こして協働筋を収縮させ、その結果、促通、抑制、リラクセー
ションを生じさせます。



下肢のPNFパターン例
aその場に立って、右脚を前方へ体を交叉するように持って行く。そして足先を右に向ける様にして脚を外旋する。これは大腿骨の屈曲、内転、外旋、足首の背屈と内反、そして足趾を伸展したポジションである。
c脚をゆっくりスイングし、内旋から始めて、脚を体の後方外側に持っていき、足先は左方向に向けて終わる。これは大腿骨の伸展、外転、内旋、足首の底屈と外反、そして足趾を屈曲したポジションである。

上肢のPNFパターン例
aその場に立って右腕を上方外側に持ち上げ、体の少し後方へ持っていく。そして腕は回旋し親指側を後方に向ける。これは上腕の屈曲、外転、外旋したポジションである。右の前腕は回外し、手首と手指は伸展する。
cスタートポジションから、刀を鞘に戻すように、ゆっくり対角方向に下方に腕を動かし、体を交叉させたポジションで終わる。





http://www13.plala.or.jp/itukamachi/page018.html